研究課題/領域番号 |
23K26545
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補助金の研究課題番号 |
23H01852 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森井 克行 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい教授 (70303352)
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研究分担者 |
宍戸 厚 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (40334536)
武田 洋平 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60608785)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | 応力 / フレキシブル / 発光 / 歪み / フィルム素子 / 薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『応力により発光色が変わる極薄膜フレキシブル発光素子(歪み応答型発光素子)』の創成に関する。曲げる度合いにより発光色が呼応して変化する“柔らかいデバイス”だからこそできる次世代発光デバイスである。本研究最大の特徴は、「薄膜素子内において、曲げ応力が分子スケールでどのように伝搬しているか」という基礎的な問いに取り組み、ナノからマクロへの物性の伝達を論理的に構築する。その中身は、新開発“蛍光歪み観測システム”の構築を礎とし、観測対象には分子レベルの制御(nmでの制御)とフィルムのヤング率などに着目した専用素子設計(μmでの制御)によるフィルムデバイスを用い、観測と素子化を両立させる。
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研究実績の概要 |
本研究は、外部刺激に対する薄膜素子内の分子挙動の観察を第一の目的として据え、この達成が第二の目的である歪応答型発光デバイスの創成につながるように設計されている。そのため初年度は、従来は無かったミクロに起こる歪の定量化とそれに連動した発光が観察できる専用システムの設計および構築することが最大の目的であった。併行して、2年目以降のサンプル作製のための技術構築ならびに分子設計指針決定も目的となる。本研究を構成する3領域にわけて詳細を以下に説明する。 <①観測での実績>分担者が独自に開発してきた薄膜表面歪を定量的に評価できる装置の薄膜曲げ装置部分を切り出し、縦置きにし、蛍光顕微鏡下に置くことで定量的な歪生成と顕微鏡での観察に適した位置決めを実現する設計とした。本システムの構築および原理確認は完了している。 <②“nmでの制御”での実績>歪み(局所的な応力)を分子に直接伝達し、発光色を変化させる分子設計として、分担者が独自に開発してきたメカノ応答性発光分子への分子配列制御能を付与するためにメソゲンの導入を検討し、メソゲン含有ドナー・アクセプター・ドナー分子の合成ルートの確立に成功した。次年度、分子集合状態解析・デバイス応用へ向けた準備が整った。 <③“μmでの制御”での実績>市販フィルムとパリレン製膜を駆使し、100μmオーダーからμmオーダーまでの膜厚を有し、かつその中の膜厚方向の素子位置を自在に操作したフィルム構成の作製方法構築に注力した。入手可能極薄の再調査、そしてフィルムパリレン製膜の協業先選定を行い、後者についても横田准教授(東大)ラボでの実施が決定し、次年度への準備は整った。 今年度の到達点の目標であった”蛍光歪み観測システムの構築”は完了した。さらに、それを用いた100μmオーダー以下のさまざまなヤング率下の多様なフィルム構成の作製への目途はたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ想定の範囲内で進捗している。 初年度の主目的で合った観察において、部品の調達の遅れから、完成に時間を要したが、最終的には想定の範囲内のものが構築できていることは確認済みである。できれば実サンプルでの観察結果までを初年度で達成しておきたかったが、R6年度に必要な分子設計および膜作製のための準備も完了していることから、R6年度に合わせて進めることで全体としては問題ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績同様、本研究を構成する3領域にわけて詳細を以下に説明する。 <①観測>μmでの制御が行われたサンプルの測定を行い、本目的に対して高精度な定量性を実現するべく、結果を踏まえて改良を行い、システムとしての完成を目指す。同時に、歪に対する発光物性データの蓄積を行う。 <②nmでの制御>実績内に示したメソゲン含有ドナー・アクセプター・ドナー分子の合成ルートの確立に成功しており、R6年度は、まずは分子としての物性評価(液晶性などの分子集合状態解析など)を行い、その結果を下にさらなる分子設計考案そして合成へとつなげる。一方で、デバイス展開のために相当量の合成にも着手する。 <③μmでの制御>R5年度で構築した技術を用いて、現状ある分子歪応答型発光性分子を用いてμmでの制御がされた薄膜サンプルを作製し、観察、そしてその結果に基づく再作製を繰り返し、高精度なサンプル作製の基盤を確立する。併行して、合成される新規分子の適用ならびにそのデバイス化を検討する。 今年度の到達点として、”μmでの制御された薄膜を用いて定量的発光データの取得が可能になっており、分子歪応答型発光性分子について幾つか合成できており、それらのデバイス構成について設計指針が立っている”を目指す。
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