研究課題/領域番号 |
23K26560
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補助金の研究課題番号 |
23H01867 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 良太 京都大学, 工学研究科, 助教 (60737047)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | 超ワイドギャップ半導体 / 励起子 / 深紫外分光 / フォトルミネッセンス / 窒化アルミニウム / 窒化アルミニウムガリウム / 深紫外発光ダイオード / 両極性電気伝導 / 磁場下分光 |
研究開始時の研究の概要 |
超ワイドギャップ半導体(バンドギャップが極めて大きい半導体)の両極性電気伝導制御は極めて難しく,この困難は原理的困難に起因すると考えられている.この困難を打破するためには,超ワイドギャップ半導体の物理限界を真に見極め,同時に新しい原理の提案・実証が不可欠である.そこで本研究では超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導可能性を磁場下深紫外分光法によって評価する.同時に,非平衡良電気伝導性準安定電子状態の探索と,赤外光活用による両極性電気伝導制御により,物性の理解および制御の両観点から,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導の発現に挑戦する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導を阻んでいる物性の理解とその制御により,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導を発現することにある. 本年度は,窒化アルミニウムのp型電気伝導可能性を分光の観点から調べることに注力した.非常に純度の高い窒化アルミニウム薄膜をベースとして,意図的にSiおよびMgが添加された窒化アルミニウム薄膜の極低温下フォトルミネッセンススペクトルを比較することで,窒化アルミニウムの深紫外発光線の包括的な帰属を行い,それとともに窒化アルミニウムにおけるMgアクセプタ束縛エネルギーが従来信じられていた値よりも非常に小さい値であることを提案した.また深紫外LEDの発光層として採用されている窒化アルミニウムガリウム量子井戸構造の温度可変時間分解フォトルミネッセンス測定を行い,本試料の輻射再結合寿命と非輻射再結合寿命を定量するとともに,これらの温度依存性を理解するための物理的指針を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで不可能と考えられてきた窒化アルミニウムのp型電気伝導制御可能性を見出した点で,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導制御に関する極めて重要な発見ができたと考えている.また深紫外発光ダイオードの発光層として用いられている窒化アルミニウムガリウム量子井戸構造の温度可変時間分解フォトルミネッセンス分光を行うことにより,熱ドループ現象に輻射再結合効率(radiative recombination efficiency)の温度依存性が直接関与していることを示し,輻射再結合寿命および非輻射再結合寿命の温度依存性の解釈に新たな観点を提供した.これは今後の高効率深紫外発光ダイオード設計の指針になると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に導入した光学測定用超伝導マグネットと,深紫外分光測定系を融合させることで,超ワイドギャップ半導体を評価するための深紫外磁場下分光測定系をまず構築する.これによって,窒化アルミニウム・ダイヤモンド・六方晶窒化ホウ素の深紫外発光が外部磁場によってどのように応答するかを観測・解明し,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導制御に向けた指針を獲得することを目的とする.同時に,短パルスレーザ照射非平衡熱処理技術の確立による超ワイドギャップ半導体良電気伝導性準安定電子状態の探索と,赤外光活用による超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導制御の提案および原理実証により,超ワイドギャップ半導体の両極性電気伝導の発現に挑戦する.
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