研究課題/領域番号 |
23K26570
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補助金の研究課題番号 |
23H01877 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 分子科学研究所 (2024) 京都大学 (2023) |
研究代表者 |
金井 恒人 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 特任講師 (00442947)
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研究分担者 |
時田 茂樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (20456825)
岡崎 大樹 京都大学, 化学研究所, 助教 (50976925)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 高次高調波分光 / アト秒物理学 / 中赤外レーザー / 光パラメトリック増幅器 / 素粒子物理学 / 高次高調波発生 / KTA光パラメトリック増幅器 / Fe:ZnSeマルチパス増幅器 |
研究開始時の研究の概要 |
アト秒物理学の急速な発展の中,この方法論では原理的に素粒子・原子核物理学の様な基礎物理学の研究が出来ないと考えられてきた.一方基礎物理学においては加速器の更なる大型化が困難となったため従来とは違った方法論が求められている.本研究では,ポジトロニウムの様な基礎物理学において非自明な不安定粒子の寿命をアト秒の精度で測定することで基礎物理学の諸問題を直接的に検討するという新奇方法論を確立する.本研究で開発する新奇なアト秒・ゼプト秒分光システムを用い,不安定粒子の寿命測定,超高速イメージング [T. Kanai et al., Nature 435, 470 (2005)] などを展開する.
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研究実績の概要 |
アト秒物理学の急速な発展の一方で,この方法論では素粒子・原子核物理学の様な基礎物理学の研究ができないと考えられてきた.私達は,ポジトロニウムや湯川中間子の様な基礎物理学において非自明な不安定粒子の寿命をアト秒の精度で測定することで,基礎物理学における諸問題を直接的に検討するという新奇方法論を世界で初めて提案し[T. Kanai et al., CLEO/IQEC, paper CG-P.7 (2013)],その素過程であるポジトロニウム負イオンの光脱電子過程の観測に成功している[K. Michishio, T. Kanai et al., Nat. Commun. 7, 11060 (2016).].本研究計画では,本新奇方法論による「アト秒素粒子物理学の開拓」を目指し,分光システムの開発と実証実験[T. Kanai et al., Nature 435, 470 (2005)型など]までを行う. 初年度である今年度は, 4ミクロン帯のKTA光パラメトリック増幅器をシード光としたFe:ZnSe中赤外チャープパルス増幅器の開発と,高次高調波発生用チェンバー及び分光器の高度化を行った[(招待講演) T. Kanai et al., ASSL/LAC, Tacoma, Washington, USA, Oct. 9th-12th, 2023. 等].前者については,ウィーン工科大A. Baltuskaグループとの共同研究を通じKTA光パラメトリック増幅器をまず行い,次に本レーザーをシード光としたFe:ZnSeマルチパス増幅器によるサブmJ程度までの増幅,400fs程度までのパルス圧縮,さらに応用実験としてZnS結晶中における第9次高調波発生を観測した.後者については,アト秒パルスの検出効率の向上のため,代表者が過去に開発した高次高調波発生及び分光器に最先端のX線CCDを導入した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である今年度は,当初の計画通り4ミクロン帯のKTA光パラメトリック増幅器をシード光としたFe:ZnSe中赤外チャープパルス増幅器の開発と,高次高調波発生用チェンバー及び分光器の高度化を行った.本研究成果は当該分野に大きな波及効果をもたらし,実際研究代表者は,本分野における最も権威がある国際学会の一つである,Advanced Solid State Lasers Conference (ASSL)/Laser Applications Conference (LAC)において招待講演を行った. [(invited) T. Kanai et al., ASSL/LAC, Tacoma, Washington, USA, Oct. 9th-12th, 2023. ]. 研究進捗の前者については,予定通りウィーン工科大A. Baltuskaグループとの共同研究を通じKTA光パラメトリック増幅器をまず行い,次に本レーザーをシード光としたFe:ZnSeマルチパス増幅器によるサブmJ程度までの増幅,400fs程度までのパルス圧縮,さらに応用実験としてZnS結晶中における第9次高調波発生を観測した.後者については,アト秒パルスの検出効率の向上のため,代表者が過去に開発した高次高調波発生及び分光器に最先端のX線CCDを導入した.
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今後の研究の推進方策 |
京都大学においては引き続き4ミクロン帯のKTA光パラメトリック増幅器をシード光としたFe:ZnSe中赤外チャープパルス増幅器の開発を行う.ポンプ光からの変換効率が高いCPAを最終段増幅器に用いることにより,中赤外光パラメトリック増幅器を最終段増幅器として用いた場合には困難であった,超テラワットクラスの4ミクロンパルスを発生させることが可能となることが期待され,応用として2023年度実現された固体中の高次高調波発生実験のみならず気体からの高次高調波発生を実証する計画である. また申請者が2023年3月に分子科学研究所に異動になったことを活かし,分子科学研究所に既設の高出力フェムト秒レーザーと研究代表者が持つ数サイクル中赤外レーザー技術,アト秒物理の方法論の融合を開始する.素粒子物理学と凝縮系物理学は歴史的に互いの概念のアナロジーに注目して発展してきた.本研究計画の方法論を統一的な枠組みで展開することにより素粒子物理学のみならず,分子科学研究所が得意とする凝縮系・表面物理学への展開を試みる.
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