研究課題/領域番号 |
23K26572
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補助金の研究課題番号 |
23H01879 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上向井 正裕 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80362672)
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研究分担者 |
片山 竜二 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40343115)
谷川 智之 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90633537)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 窒化物半導体 / モノリシック光集積デバイス / 単一モードレーザ / 光子対発生 / 光量子コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
室温動作・長い量子ビット緩和時間などの利点を有する光量子コンピュータは自由空間光学系で実証が進められているが、より実用的なシステムとするためにはこれを構成する励起光源・量子光源・量子回路を小型化・集積化する必要がある。 極性窒化物半導体であるGaNは大きな光学非線形性を有し電気光学効果もあることから、同種材料で構成要素のすべてを実現できる。本研究では、小型で実用的な1チップ量子情報処理用GaNモノリシック光集積デバイスを実現することを目的とする。
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研究実績の概要 |
InGaN量子井戸単一モード半導体レーザについては、リッジ構造に周期的に溝を形成した周期スロットレーザとリッジ構造の両側にグレーティングを形成したLaterally Coupled DFBレーザを作製した。前者から0.55 nmの波長可変範囲にわたってサイドモード抑圧比26 dB以上の単一モード発振が得られ、青色領域で初めて波長可変単一モードレーザの実現に成功した。後者からは出力光パワー300 mW以上の良好な単一モード発振が得られた。 光子対発生導波路については、励起用単一モードレーザの出力や導波路損失を考慮して励起光波長を405 nmから460 nmに変更し、線形/非線形材料擬似位相整合導波路の再設計を行った。同時に窒化物半導体を用いた横型擬似位相整合波長変換デバイスを作製し、波長変換特性を詳細に評価した。得られた成果を光子対発生導波路の設計および特性評価に反映する。 電界印加型マッハツェンダ干渉計においては、励起光波長の変更にともなって方向性結合器の再設計を行った。また自由空間光学系のマッハツェンダ干渉計を構築し、その動作確認を行った。これにより位相シフタの特性を単独で評価できるようになり、貴重なレーザ用エピタキシャルウェハを節約し電界印加型位相シフタの詳細な評価が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題で作製する光集積デバイスは集積化前においてもその作製に多くのプロセスを必要とし、特に波長可変レーザの作製は非常に複雑である。波長可変レーザ、光子対発生導波路、マッハツェンダ干渉計の作製に共通して必要な微細加工用ICP-RIE装置のターボ分子ポンプの故障やSiO2堆積用プラズマCVD装置のヒータの断線などが重なり、これが進捗の遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
単一モード半導体レーザにおいて周期的スロット構造を採用した世界初の青色波長可変レーザの連続波発振に成功したが、作製プロセスの最適化によりさらなる高出力化と波長可変範囲拡大を目指す。 光子対発生導波路ではInGaNレーザ用導波路に周期的に深溝を形成しそこに高屈折率誘電体を埋め込んだ線形/非線形材料擬似位相整合構造の作製プロセスの改善を進め、これに青色レーザ光を導波させて導波路損失を調べる。必要あれば電流注入用の電極を形成し、励起光を増幅しつつ近赤外光子対発生を実証する。 電界印加型マッハツェンダ干渉計では、ビーム伝搬法を用いたシミュレーションにより設計した方向性結合器の分波特性を実験的に調べるとともに、新たに構築した干渉光学系を用いて位相シフタ位相変化量の印加電圧依存性を調べる。その後これらを集積したマッハツェンダ干渉計を作製し、その変調特性を詳細に評価する。 最終的にこれらを1チップに集積した量子情報処理用光集積デバイスを構築し、その動作を実証する。
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