研究課題/領域番号 |
23K26579
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補助金の研究課題番号 |
23H01886 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
田原 樹 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波先進研究センター, 主任研究員 (50709095)
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研究分担者 |
下馬場 朋禄 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20360563)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | インコヒーレントデジタルホログラフィ / 自然光フルカラー動画ホログラフィ / 自然光フルカラー動画ホログラフィカメラ / フィルタフリー偏光インコヒーレントホログラフィ / P4IDH / 自然光多次元デジタルホログラフィ / 位相シフト干渉法 / 多次元多重ホログラフィ / ホログラフィックマシンビジョン / ホロセンサ / 単一露光フルカラー自然光ホログラフィカメラ / 太陽光ホログラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
デジタルホログラフィシステムを移動体へ搭載し、ホログラフィを「機械の眼」とする多次元ホログラフィックマシンビジョンを創出する。移動体へ搭載できる様に軽量、コンパクト、高耐振動性で、高速に多次元情報の動画像計測を行ない、計測結果から移動体の行動判断に必要な特徴量抽出を迅速に行なうシステムを開発する。そして、移動体へ搭載しても太陽光等の自然光を光源として多次元デジタルホログラフィック動画像計測が可能であることを実証する。再生像から特徴量を抽出するシステムを構築した上で、移動体にフィードバック信号を与えて制御することで、機械装置等の移動体の視覚にデジタルホログラフィを適用できることを示す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、計画に掲げていた自然光多次元デジタルホログラフィシステムの開発に成功した。具体的には、(1)自然な光を用いてデジタルホログラムを動画記録する光学系と、(2)高速に像再生演算を行うシステムの両方の開発を行った。(1)では、重量、大きさ、記録速度の異なる複数の自然光ホログラフィカメラシステムを試作し、除振機構の無い環境下でフルカラーホログラフィック動画像記録可能であることを確認した。(2)については、GPUを用いるデジタルホログラフィシステムの開発において第一人者である千葉大学 下馬場朋禄教授を研究分担者に迎えて研究遂行した。組み込みGPUを用いたシステム開発により、ビデオレート以上で実時間像再生可能な、高速像再生演算システムの開発に成功した。(1),(2)の開発を通じて、可搬型で、自然光やLED光の照明を適用でき、フルカラー動画記録・像再生可能な、デジタルホログラフィシステムの開発を達成した。 また並行して、計画に掲げていた、自然光デジタルホログラフィの計測性能向上や多機能化に取り組み、記録速度の高速化、偏光情報記録、光利用効率向上を達成した。高速化においては、実時間ホログラム転送機能付き偏光高速度カメラを自然光デジタルホログラフィに採用し、自然光デジタルホログラフィ分野において世界最高速となる1,000fpsインコヒーレントデジタルホログラフィを達成した。また、偏光情報記録においては、多次元多重位相シフト干渉法(Computational coherent superposition: CCS)を適用する事でフィルタを用いずに偏光情報を多重センシングする自然光ホログラフィ法(P4IDH)を提案・実証した。本方式では、従来の自然光ホログラフィと異なり、偏光フィルタやハーフミラーを一切用いないため、原理的に世界最高の光利用効率を得られる光学システムの提案となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で掲げた、(1)自然光多次元デジタルホログラフィシステムの開発に成功し、(2)自然光デジタルホログラフィの計測性能向上や多機能化に取り組み、記録速度の高速化、偏光情報記録、光利用効率向上を達成しているため、おおむね順調に進展していると判断する。 (1)については、重量、大きさ、記録速度の異なる複数の自然光ホログラフィカメラシステムを試作し、除振機構の無い環境下でフルカラーホログラフィック動画像記録可能であることを検証済みである。また、組み込みGPUを用いた実時間像再生システムの開発に成功しており、可搬性に大変優れたホログラフィシステムを実現している。像再生システムにおいては、異なる奥行深さ位置における合焦像を同時に得られる、3次元カメラならではの性質を実時間デモンストレーションできる機能が付加されており、研究成果のアウトリーチ活動を考慮した設計がなされている。その上、像再生後の信号処理等を行うのに十分な計算速度を達成しているため、当該演算システムに更なる信号処理等を与えることが可能と判断している。そして、記録・像再生システムを統合して実時間フルカラー像再生を達成済みである。以上より、(1)のシステム開発は計画通りに行われている。 (2)については、計測の性能向上や多機能化に努めると言う努力目標であった。様々な指標を掲げた内、記録の高速化、偏光情報記録、光利用効率の向上を達成している。記録の高速化においては自然光デジタルホログラフィ分野で世界最高速を達成し、偏光情報記録においては偏光フィルタを一切用いない新しい自然光ホログラフィ法(P4IDH)の提案・実証を達成している。そして、P4IDH法は偏光フィルタやハーフミラー不要な新しい光学システムである事より、原理的に世界最高の光利用効率を得られる。これら、努力目標を複数達成している部分は、当初の計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書に記載の計画通り、本研究を遂行する。
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