研究課題/領域番号 |
23K26584
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補助金の研究課題番号 |
23H01891 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桐島 陽 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00400424)
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研究分担者 |
岡本 芳浩 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (70370369)
秋山 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (80746751)
横田 優貴 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (31001216)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 燃料デブリ / 逐次抽出 / 化学的安定性 / 福島第一原発事故 / 逐次抽出法 / 性状把握 |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原発の燃料デブリの安全な取り出しや保管、その後の処理・処分方策策定のためには、放射線量や核種組成の把握に加えて化学的安定性の定量的理解が必須である。そこで「燃料デブリ版・逐次抽出法」を新たに開発する。この目的のために種々の模擬デブリを合成し、これをXAFS分析等の先進手法を用いて構造解析をしたのちに逐次抽出に供する。そこから各模擬デブリ中のウランや重要核種であるマイナーアクチノイドが、どのような溶液条件でどの程度溶出するかを化学構造と結び付けて比較評価し、様々な燃料デブリの化学的安定性の指標化を実現する。
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研究実績の概要 |
福島第一原発の燃料デブリの安全な取り出しや保管、その後の処理・処分方策策定のため には、放射線量や核種組成の把握に加えて化学的安定性の定量的理解が必須である。そこで、地球化学分野で土壌等の化学特性を調べる際に用いられている逐次抽出法の概念を応用し、極微量のデブリから必要な化学的安定性情報を引き出せる「燃料デブリ版・逐次抽出法」の開発を行っている。ここでは、種々の模擬デブリを合成し、これをXAFS分析等の先進手法を用いて構造解析をしたのちに逐次抽出に供する。本年度は「最適な燃料デブリ版逐次抽出法の開発」を中心に研究を進めた。地球化学分野の逐次抽出法では、数グラムの土壌等の試料をカラムや遠沈管に入れ、そこに抽出液を投入し振とうする。その後、液相中への対象元素の溶出濃度の測定や残渣の分析を行う。これに対して、本研究では「燃料デブリ版逐次抽出法」を目指しているため、最終的には高線量かつ高発熱が予想される実際のデブリの分析現場での活用を視野に入れて、分析に用いる試料量は最小化し、かつ鉄セルといった遠隔操作でハンドリング可能なシンプルな体系を構築した。具体的には小型遠心フィルターユニットを使用して、模擬デブリ試料は30 mg程度、液相は500μlと少量で逐次抽出を実施した。抽出剤は始めに純水やNaCl溶液といったソフトな化学反応で溶出する成分の抽出から始め、順に錯化剤や弱酸による抽出を行い、最後に強酸+酸化剤といったハードな反応での抽出を試みた。本年度は主にデブリのマトリクス元素であるウランの抽出挙動を調査した。また、「模擬デブリ試料の合成と評価」の一環として合成した模擬デブリの分析を放射光施設を利用したμ-XAFS同時分析システムを使って試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
燃料デブリ版・逐次抽出法の主概念が固まり、マトリクス元素であるウランの抽出挙動を調べることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
二年度目となるR6年度は、R5年度に開発した逐次抽出法を用いて、「各種模擬デブリ試料の安定性評価」を開始する。ここでは、性状や由来の異なる模擬デブリを同じ方法で逐次抽出し、マトリクス元素であるUや他の構成元素の溶出率を評価することにより、幅広い溶液条件下での模擬デブリの安定性を、定量的に相互比較することを目指す。また、合成した模擬デブリ試料の性状評価の一環としてμ-XAFS同時分析システムの活用を進める。
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