研究課題/領域番号 |
23K26596
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補助金の研究課題番号 |
23H01903 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
椋平 祐輔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (60723799)
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研究分担者 |
末吉 和公 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20965107)
渡邉 則昭 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (60466539)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 水圧破砕 / 機能性流体 / 透水性 / 資源開発 |
研究開始時の研究の概要 |
地熱,油・ガス,CCS等の地下開発の分野での地下岩石の破壊・利用は,常に地殻応力に支配されてきた。本研究は地殻応力の支配から解放さ れた新たな岩石の破砕方法を提案する。ここでは,造成したき裂の透水性を一時的に低下させることで,坑井内の水圧を再度上昇させ,主応力 に関わらず多方向に水圧破砕き裂を造成することを目指す。本研究は,これまでの水圧破砕法での岩石の破壊様式を一変させるゲームチェンジ ングとなり,資源へのアクセス確率を格段に向上させる他,地下開発の大きなコストである多数の坑井掘削の必要性を劇的に低減させる効果も 大いに見込まれる。
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研究実績の概要 |
1 室内岩石実験による多方位水圧破砕き裂造成の再現 造成した水圧破砕き裂の析出等による一時的な透水性低下を可能にする水圧破砕作動流体を調査する。本目的には,先行実験でも使用したせん断増粘流体の使用が最も適していると判断した。これは,ずり速度に応じて粘度が劇的に変化する。つまり流体が,粘性流体から,準個体へと変化する。種々の研究課題がクリアされた際には,より低コストであったり,ナチュラルアナログな機能性流体の使用も検討する。 一軸圧縮条件下で,せん断増粘流体を用いた水圧破砕実験を行い,多方位水圧破砕き裂が造成できるかを検証する。同条件下の様々な軸圧で水圧破砕実験を行い,軸圧が弱く,それによる摩擦が低い状況,つまり造成したき裂が開口やすい状況では多方向水圧破砕が生じないことがわかった。担当している学生と共に,実験方法に習熟してきており,今後様々な応力条件での実験がスムーズにいく事が予想される。 2 数値シミュレーションによる多方位水圧破砕き裂造成メカニズムの検証 個別要素法(DEM)をベースとした,流体からの析出・流路の閉塞が模擬可能なシミュレータを開発する。水圧破砕の挙動評価に実績があるDEMソフトウェアをベースにする。本年度は,まず,せん断増粘流体の効果を既存のDEMコードの流体力学計算部分に粘度変化の計算を,モデル化を行った上で組み込んだ。この効果により,流速の変化に応じた粘度変化を実現する事が確認できた。担当している学生はDEMの習熟も進んでおり,今後DEMを用いたメカニズムの解明に進む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1 室内岩石実験による多方位水圧破砕き裂造成の再現 本年度は,一軸圧縮条件下で,せん断増粘流体を用いた水圧破砕実験にのみ注力し,本項目を担当する学生に,本試験機を用いた実験の実施方法・ノウハウを教え込んだ。最初の数回の実験は,水圧のリークが多く,意義のある実験として成立しない事例が多かったが,配管系統を全て自分で設計させ,組み込みも行ったところ,一気に成熟度が増し,その後は安定して実験実施が可能となった。よって,予想以上に多数の実験回数が実施できて,本項目は計画以上の進展を見せた。 2 数値シミュレーションによる多方位水圧破砕き裂造成メカニズムの検証 研究室で所有する個別要素法(DEM)をベースとし,せん断増粘流体の増粘効果を実装することに注力した。ここでは,数ある流路全てにおいて非ニュートン流体の詳細な計算を行うことはせず,簡易的にモデル化することに成功した。これにより,シミュレーション全体で効率的に計算を進行する事ができるようになった。一方で,一連のコードの解読にそれなりに時間が,かかりやはり全体像を把握するのにはまだ時間を要する。よって本項目の進捗は概ね計画通りかと言える。
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今後の研究の推進方策 |
1 室内岩石実験による多方位水圧破砕き裂造成の再現 次年度は,前年度の一軸圧縮条件下ではなく,二軸圧縮下,もしくは真三軸圧縮下での水圧破砕実験を実施し,多方向水圧破砕の再現を目指す。本年度,判明したき裂の開口を妨げようとする力が小さい際には,多方向破壊が発生しないことも見出した。多方向破壊の発生条件の検証も,異なる応力状態下で検証する。さらに,玄武岩など,花崗岩以外の岩石にも実験対象を広げる。 2 数値シミュレーションによる多方位水圧破砕き裂造成メカニズムの検証 本年度で,せん断増粘流体の増粘挙動を既存のDEMに実装できた。次年度は,このせん断増粘挙動の機能を水圧破砕シミレーションの中で使用し,これまで実験で得られている多方向水圧破砕の再現を試みていく。ここで再現するべき現象は,1)複数の坑井圧力低下と,2)多方向水圧破砕である。これらの再現と同時に,その現象を起こすに至った,せん断増粘流体の粘度分布,それによる流体圧分布と,破壊に伴う応力再配分を解析し,そのメカニズムの解明に挑む。
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