研究課題/領域番号 |
23K26603
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補助金の研究課題番号 |
23H01910 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
永岡 章 宮崎大学, 工学部, 准教授 (70784271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 熱電変換材料 / バルク単結晶成長 / 多元系化合物 / 粒界 / 異相 / 化合物半導体 / 多結晶材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、従来の熱電材料開発における電荷キャリア輸送とフォノン輸送のトレードオフ関係を打破するために、目的材料に適した機能性粒界の探索と制御に注目した。キャリアを流すがフォノンは散乱するという熱電材料に必要な粒界を支配的にすることによって、材料固有の特徴を活かした新たな開発戦略が提示できる。粒界は様々な無機材料において切り離すことができない要素であり、粒界特性の知見は他の材料開発への横展開も期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、従来の熱電材料開発における電荷キャリア輸送とフォノン輸送のトレードオフ関係を打破するために、目的材料に適した機能性粒界の探索と制御に注目した。キャリアを流すがフォノンは散乱するという熱電材料に必要な粒界を支配的にすることによって、材料固有の特徴を活かした新たな開発戦略が提示できる。粒界は様々な無機材料において切り離すことができない要素であり、粒界特性の知見は他の材料開発への横展開も期待される。本年度の研究により新たに得られた結果を下記に示す。 新規熱電材料として、カルコパイライト化合物ZnSnAs2多結晶を開発した。最適な結晶成長条件とZn/Sn比の組成変化による点欠陥制御によって、Zn/Sn比が0.81においてZnSnAs2は375 Kで高い出力因子2890 μW/mK2を達成した。このことから200 ℃未満の低温域における排熱回収に高いポテンシャルを有していることを明らかにした。 高い熱電性能を示すケステライトCu2ZnSnS4材料において、アクセプターであるCu空孔とZnサイトCu欠陥の形成エネルギーは、ドナー欠陥の形成エネルギーよりも低く、これらが支配的であるためp型伝導を示す。Cu2ZnSnS4をベースとした熱電モジュールを開発するためには、n型材料が必要である。Agを混晶した(Cu1-xAgx)2ZnSnS4多結晶において、x > 0.4の組成でn型化に成功した。 機能性粒界の観点において、冷却速度を制御する事でCu2ZnSnS4結晶中にミリメートルオーダーの粒界を作製する事に成功した。走査型プローブ顕微鏡よりΣ5粒界は負に帯電しているであることを定量的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新たな多結晶熱電材料として、カルコパイライト化合物ZnSnAs2の開発に成功した。この材料は、実用化されているBi2Te3材料に匹敵するパワーファクターを有しているため、今後の粒界制御研究により更なる熱電特性の向上が期待出来る。これまでp型伝導しか示さなかったCu2ZnSnS4材料において、Ag混晶による点欠陥制御によってn型伝導化に成功した。これによって、Cu2ZnSnS4をベースとした高効率な熱電モジュールを開発が期待出来る。本研究のモデル材料であるCu2ZnSnS4中に様々な粒界を作製するために、結晶成長中の冷却速度を100℃/hとすることで制御した。Σ5粒界は負に帯電していることから、熱電特性向上を考慮した機能性粒界としては不適であることを明らかにした。上記の研究成果から、当初の研究計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作製に成功した熱電材料中の粒界に関して、走査型プローブ顕微鏡から界面のバリアの情報を収集し、熱電特性と相関関係を調査する。これによって熱電特性向上に有効な機能性粒界を明らかにする。応用研究として、すでに得られている材料を用いて熱電デバイスの試作も実施する。実験的に得られている熱電特性を用いたシミュレーションにより変換効率の予測やデバイス構造の最適化も検討する。
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