研究課題
基盤研究(B)
光照射後の分子の運動や緩和過程など、電子状態と原子核の運動が強く相関する領域の量子ダイナミクスの計算手法を新たに開発し、従来手法から指数関数的な高速化を達成することで数十原子系に対する第一原理的な核波束ダイナミクス計算を実現する。励起直後の核波束運動はその後の光反応の進路を決定づけるなど、光化学反応の本質的な理解のために重要であるが、量子系特有の指数関数的な次元増大の問題に阻まれ、多原子系への応用が限られている。そこで本研究では電子状態において成功を収めたテンソルネットワーク理論を核波束の問題に展開し、核波束がどのような形式に縮約可能な数理的構造を持つのか、その本質を明らかにする。