研究課題/領域番号 |
23K26633
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補助金の研究課題番号 |
23H01940 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
阿部 二朗 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70211703)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 光化学 / フォトクロミズム |
研究開始時の研究の概要 |
準安定状態を含む複数の異性体間を光照射により可逆的に変換できるフォトクロミック分子は、材料科学分野や生命科学分野における光応答システムを構築するための重要な基盤要素であるが、赤色光や近赤外光を励起光として、照射光波長や照射光強度に依存するフォトクロミック分子は未だ開発されておらず、単一の光応答部位を用いて実現することは原理的に困難である。本研究では、可視光や近赤外光に応答する逆フォトクロミズムを示すビナフチル架橋イミダゾール二量体ユニットから構築されるバイフォトクロミック分子を基盤として、単一のフォトクロミックユニットのみでは実現不可能な革新的協働光応答機能の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者が独自に開発した可視光や近赤外光に応答する逆フォトクロミズムを示すビナフチル架橋イミダゾール二量体(BN-ImD)ユニットや、ビナフチル架橋フェノキシル-イミダゾリルラジカル複合体(BN-PIC)ユニットから構築されるバイフォトクロミック分子を基盤として、単一のフォトクロミックユニットのみでは実現不可能な革新的協働光応答機能の開拓を目指す。令和5年度は、2ユニットのBN-PICを組み込んだ大環状バイフォトクロミック分子を合成し、そのフォトクロミック特性について分光学的および量子化的研究を行なった。研究成果は光化学国際会議、フォトクロミズム国際会議、アジア光化学会議などの国際会議で発表するとともに、国内会議である光化学討論会、基礎有機化学討論会、日本化学会春季年会で発表した。さらに、学術論文としてまとめ、海外の専門学術誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆フォトクロミック分子である BN-PIC を2ユニット組み込んだ大環状バイフォトクロミック分子 Macrocyclic-bisBN-PICを合成し、そのフォトクロミック特性を解析した。あわせて環構造を持たない直線状バイフォトクロミック分子Linear-bisBN-PICを合成し、その光異性化挙動と比較することで、異性化に伴い大きな構造変化を伴うBN-PICを環状構造に組み込んだことで、一方の異性化に付随して変化する環構造の歪みが、他方のBN-PIC部位のフォトクロミック特性に大きな影響を与えることを明らかにした 。Macrocyclic-bisBN-PICの1段階目(CC体→CCL体;Cはフォトクロミック部位が着色異性体構造、CLは無色異性体構造を表す)の光異性化反応効率は、2段階目(CCL→CLCL)の光異性化反応効率より3倍程度大きいことがわかり、一方のフォトクロミック部位の光異性化が、他方のフォトクロミック部位の光異性化効率に大きな影響を与えることを見いだした。また、また熱戻り反応についても 2段階目(CCL体→CC体)の速度定数が、1段階目(CLCL体→CCL体)の速度定数より数倍程度大きいことがわかった。このように、Macrocyclic-bisBN-PICは、可視光応答性逆フォトクロミック部位を導入して環歪みの構造干渉を利用した非線形応答を示す初めてのバイフォトクロミック分子であり、 BN-PIC のような異性化によって大きな構造変化を伴うフォトクロミック分子を1分子内に2つ組み込むバイフォ トクロミック分子の設計において、ビナフチル基のような構造変化の自由度が小さい架橋基を用いた大環状構造の形成は非線形的な光スイッチを実現する有用な手法であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究で、当初計画していた逆フォトクロミック部位を2ユニット組み込んだ大環状バイフォトクロミック分子の合成に成功し、非線形的な光スイッチ機能を有することがわかったので、今後は、異なる形状のバイフォトクロミック分子を合成し、光反応効率の向上と光応答速度の高速化を目指す。
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