研究課題/領域番号 |
23K26634
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補助金の研究課題番号 |
23H01941 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
湯浅 順平 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (00508054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 超分子 / 光化学 / 光応答性分子 / 希土類錯体 / キラリティー / 多核構造 / 光応答性 / 超分子化学 / ホストゲスト化学 / 発光 / supramolecule / lanthanide / channel / ion |
研究開始時の研究の概要 |
目的:本申請研究の目的は、4核環状希土類錯体の柔軟性を活かし、異なる個数のゲスト交換を可能にする動的チャネル構造を創出することである。 着眼点:天然の動的超分子ホストは化学的なエネルギーを利用して異なる個数のゲスト交換を伴う特異なホストーゲスト化学が達成されている。本研究:本研究で開発する動的チャネル構造は光反応によって内部チャネル構造を転移させ、プロセス①2個のNa+を放出し、1個のLi+を取り込むことができる。 この構造転移は可逆的であり、熱反応によって内部のチャネル構造が元に戻ることで、プロセス②1個のLi+を放出し、再び2個のNa+を取り込むことができる。
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研究実績の概要 |
本申請研究の目的は、4核環状希土類錯体の柔軟性を活かし、異なる個数のゲスト交換を可能にする動的チャネル構造を創出することである。天然の動的超分子ホストは化学的なエネルギーを利用して異なる個数のゲスト交換を伴う特異なホストーゲスト化学が達成されている。例えば生体内のNa+/K+ポンプはATPを1分子消費して、3個のNa+を放出し、2個のK+を取り込むことができる。本研究では天然のチャネル構造のユニークな構造特徴と動的なゲスト取り込み能力に着目し、動的なゲスト取り込み機能をもつ新規超分子ホスト錯体の構築を中心に研究を進めている。本研究のビルディグユニットとなる希土類イオンは錯体化学的には酸素系の配位子と強固な配位構造体をつくる傾向にある、本研究でも複数の希土類イオン核をつなぐ架橋配位子としてビスジケトナート配位子を使い、その中心スペーサー部分に光応答性部位としてアゾベンゼン骨格をもつ新規光応答性架橋配位子をビルディング配位子としてデザインし合成した。この新規光応答性架橋配位子は、その分子形状の違いに応じて2核以上の多核超分子構造を与えることを、これまでの継続的な研究から明らかにした。また、対称実験として使用する目的で、希土類イオン以外の金属イオン(亜鉛イオン(Zn2+)およびパラジウムイオン(2+))を複数もつ新規多核光応答性ケージ超分子錯体についても合成をおこなった。合成した新規多核光応答性ケージ超分子錯体の光機能特性について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように本申請研究の目的は、4核環状希土類錯体の柔軟性を活かし、異なる個数のゲスト交換を可能にする動的チャネル構造を創出することである。そのため、研究達成の目安となる中核の項目としては、多核希土類構造を基盤とする超分子ホスト構造の構築および、その多核希土類ホスト構造のNa+/K+イオンをゲストとして取り込むことのできるホスト性および、金属イオン選択性の有無が重要となる。そのうち、多核希土類構造を基盤とする超分子ホスト構造については、中心にNa+/K+イオンとの結合サイトを有する4核ホスト環状希土類錯体の合成および、その単結晶構造解析に成功している。さらにこの4核ホスト環状希土類錯体のホスト性を調整する部位として、光異性化能をもつアゾベンゼンの導入を検討し、既に配位子の合成単離、同定に至っている。この新規光応答性架橋配位子と希土類イオンとの錯体形成について19 FNMR等の分光法から検討をおこなっており、希土類イオン核2以上の多核超分子錯体の構築を示唆する結果を得ている。以上の研究上から上記のような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
上記の【現在までの進捗状況】で記載したように、ホスト構造となる多核希土類錯体の合成および単離には既に成功している段階にあり、また、そのホスト構造に対して光応答性を付与することについても部分的に達成されている。このような本研究状況を踏まえて、【今後の研究の推進方策】としては主にこれまで合成をおこなったホスト構造(多核希土類錯体)のNa+/K+イオンの取り込みに関する系統的な検討および、光照射前後における多核希土類錯体のホスト機能性変化を調べることである。具体的には、19 FNMRを用いて、多核希土類錯体に由来する19F NMRシグナルがNa+/K+イオンの濃度を連続的に変化させた際にどのように変化(シフト)するかを調べることで、ホスト構造(多核希土類錯体)とNa+/K+イオンとの相互作用およびその結合定数を調べる。特にNa+/K+イオンとの結合定数が光応答部位を付与した多核希土類錯体に対して光照射をおこなった前後で増大、減少する光スイッチ性があるかを明らかにしていく。
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