研究課題/領域番号 |
23K26635
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補助金の研究課題番号 |
23H01942 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 (2024) 国立研究開発法人理化学研究所 (2023) |
研究代表者 |
岡田 大地 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (10880346)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 光と物質の強結合 / 非線形光学応答 / ポラリトン / 光ガルバノ効果 / 共振器ポラリトン / キラリティ / 非線形光学 / バルク光起電力効果 / 円偏光ガルバノ効果 |
研究開始時の研究の概要 |
対称性の破れた構造を有するペロブスカイト半導体を用いて共振機ポラリトン状態を形成させた後、その非線形光学応答および光電流特性の評価を行う。初年度は、主に、共振器ポラリトン状態における非線形光学応答の評価を行い、次年度、最終年度で、光→電流変換、光→スピン偏極電流変換特性の評価を行う。光共振器を用いたこれまでにない、電子/スピンデバイスの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、光と物質の強結合状態である共振器ポラリトン状態を用いることで、物質の非線形光学応答性を増大させ、光ガルバノ効果の増大に繋げることである。初年度の目標は、共振器ポラリトン状態を用いることで、光ガルバノ効果に重要な、二次の非線形光学応答の増大効果を観測することであった。 キラリティ有する層状ペロブスカイトを2枚のミラーにて挟むことで、共振器を作成した。作成した共振器を角度分解反射スペクトルにて評価し、明確なラビ分裂およびエネルギー準位の反交差スペクトルを観測した。近赤外の波長変調可能なパルスレーザーを基本光とし、二次の非線形光学応答の一種である第二次高調波発生(SHG)を評価したところ、SHG強度が、ラビ分裂の高エネルギー側のピークにて、一桁ほど増大することが明らかになった。また、本研究で用いた材料はキラリティを有しているため、右/左巻きの円偏光に対して非対称な応答を示すが、SHGの増大効果同様、ラビ分裂高エネルギー側のピークにて、円偏光に対する応答性が大きく変調できることを見出した。この変調効果には、非線形光学過程における磁気双極子遷移過程の寄与の大きさが変化しているためであることを、4/λ波長板の回転角依存性により明らかにした。 本実験にて、初年度の目標であった、ポラリトン状態によるSHGの増大に加え、キラリティが関与した非線形光学応答の変調を実現し、光共振器の非線形光学応答における有用性を示せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、共振器ポラリトン状態を用いることで、光ガルバノ効果に重要な、二次の非線形光学応答の増大効果を観測することであったが、その目標はおおむね達成できたためである。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、キラリティを有するペロブスカイト材料に着目し、共振器ポラリトン状態下にて、実際に非線形光学応答が効率化することを確認した。そして、次のステップである電流特性の評価へと展開するために、真空プローバー系を調達したところで初年度を終えた。 今後は、基本光をポラリトンバンドに合わせた場合のSHG変換特性の評価を進めると同時に電流測定を行う。異動により研究環境がこれまでと変わってしまったため、まず光学部品の調達および光学系の設置など実験系の準備を行う必要がある。異動先に可視から赤外までの可変パルスレーザーがあるため、そのレーザーを光源とし、電流測定用のソースメーターを新たに調達することで、非線形光学応答と光電流の測定が同時に行えるシステムを構築する。そして、共振器ポラリトン状態における非線形光学応答の評価および光電流測定の評価を行う。おそらく、次年度は、測定システムの構築に時間を費やしてしまうと考えられるため、最終年度は、測定に集中し、さまざまな条件(偏光や波長、光入射角度など)において、共振器ポラリトン状態がどのように物性を変化させるかを詳しく調査する。そして、目的である、共振器ポラリトン状態を用いた、これまでにない、電子/スピンデバイスの構築を目指す。
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