研究課題/領域番号 |
23K26654
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補助金の研究課題番号 |
23H01961 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
野上 敏材 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60402963)
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研究分担者 |
佐々木 紀彦 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30962328)
永木 愛一郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80452275)
若森 晋之介 東京農業大学, 生命科学部, 助教 (90788134)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 環状オリゴ糖 / グリコシル化反応 / 電解合成 / チオグリコシド / 鎖状オリゴ糖 / フロー合成 |
研究開始時の研究の概要 |
オリゴ糖は糖が2つ以上つながった糖鎖であり、天然に大量に存在する多糖の部分構造であると同時に、それ自体が糖鎖として機能する有用な分子である。研究代表者らは電気化学的手法によるオリゴ糖合成が合成の自動化や効率化に有用であることを見出し、これまでに環状オリゴ糖を含む、様々なオリゴ糖の合成を達成してきた。本研究で単糖から環状オリゴ糖をフラッシュ合成する手法が確立できれば、オリゴ糖合成にイノベーションが起こると期待される。
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研究実績の概要 |
1. 配位効果を利用した環サイズ選択的合成 電解反応に用いる支持電解質と同じトリフラートアニオンを有するアルカリ金属トリフラートを添加剤に用いた電解グリコシル化重合を行い、生成する環状オリゴ糖を比較した。その結果アルカリ金属の種類によってほとんど環状オリゴ糖が得られなかったり、サイズの大きな環状オリゴ糖の収率が向上するといった興味深い結果が得られた。 2. 置換基効果を利用した環サイズ選択的合成 架橋型保護基である2,3-オキサゾリジノン保護基を用いた場合に1,6-脱水糖の生成が抑制され、環状2糖が選択的に得られた。しかし環状3糖以上のオリゴ糖は得られなかった。この他にも架橋型保護基が鎖状オリゴ糖の環化に影響を与えているような結果を得ており、今後精査する予定である。 3. 電解フローリアクターを用いた反応最適化・スケールアップ合成 初年の秋に電解フローリアクターを導入し、モデル単糖を用いたグリコシル化反応を行い、電流値や反応温度がコンバージョンや収率に与える影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環状オリゴ糖合成におけるアルカリ金属イオンの添加効果は興味深く、イオンの種類によって収率が向上したり、低下したりする点が特筆に値する。また、架橋型保護基による1,6-脱水糖の抑制は当初想定した架橋型保護基による糖ピラン環の配座固定が機能していることを示唆している。いずれも効果があることは分かったが、精密な環サイズ効果を達成するためには複数の効果を組み合わせたり、環サイズを考慮した緻密な反応制御が必要と考えている。電解フロー合成に関してはまだ装置を導入して日が浅いということもあるが、基本的な取り扱いについては習熟しつつある。次年度は共同研究者の協力も得て、より挑戦的な反応にトライする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
アルカリ金属イオンの添加効果については複数のイオンが作用している可能性もしている可能性もあるため、得られた環状糖については単離精製をすすめ、結晶化を試みる。並行して計算によるイオンとの相互作用のモデリングを行い、イオンサイズや種類による効果を明らかにする。置換基効果を利用した環サイズ制御においては2-3糖といったサイズの小さい環状糖の生成を抑制するために置換基どうしの立体的な効果を利用する。あるいはシクロカサオドリンの合成で実績のある鎖状糖のグリコシド結合異性化を経由した環状糖の合成を試みる。電解フロー合成による鎖状オリゴ糖の鎖長制御とスケールアップ合成にも取り組む。
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