研究課題/領域番号 |
23K26659
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補助金の研究課題番号 |
23H01966 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 大介 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (00509929)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | グリコシル化反応 / 1,2-cis フラノシド / 立体選択的 / ホウ素化合物 / 配糖体天然物 |
研究開始時の研究の概要 |
1,2-cis フラノシドは、様々な天然生物活性糖質に含まれており、これら化合物の効率的合成法の開発が強く求められている。そこで本研究では、申請者らが独自に開発してきたホウ素媒介アグリコン転移反応を基盤技術とし、1,2-cis フラノシド結合を位置及び立体選択的に構築する新たなグリコシル化反応の開発、及びオリゴ1,2-cis フラノシド構造を立体選択的かつ連続的に構築するワンポットグリコシル化反応の開発を行う。さらに、開発した手法を用いて、植物ペプチドホルモン及びアレルギー抑制複合糖質などの有用生物活性糖質を合成し、本手法の有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、様々な生物活性糖質の部分構造に見られる1,2-cis フラノシド結合を位置及び立体選択的に構築する新たなグリコシル化反応の開発とオリゴ1,2-cis フラノシドを立体選択的かつ連続的に構築するワンポットグリコシル化反応の開発、及びこれらの手法を用いた有用糖質合成への応用を目的としているが、申請者は、本研究の予備実験および初年度の研究で、以下の成果を得ている。 【予備実験結果】1,2-アンヒドロ-D-アラビノフラノース1と4,6-ジオール受容体2とのグリコシル化反応を、4-ニトロフェニルボロン酸(3)を用いて検討した。その結果、反応が望みの位置及び立体選択的に進行し、D-Arafβ(1-6)Glc 4が92%の高収率で得られることを初めて見出した。さらに、糖供与体として1の光学異性体の1,2-アンヒドロ-L-アラビノフラノース5を用いて、同条件下で検討した結果、予測通り位置選択性が逆転し、L-Arafβ(1-4)Glc 6が高収率かつ高位置及び立体選択性で得られることも明らかにした。 【初年度の実験結果】(i)上記反応の位置選択性が、DFT計算を用いた申請者らの予測モデルと合致したことから、本反応がDFT計算により予測された遷移状態を経由して進行することが示唆された。(ii)各種ジオール糖受容体及び無保護糖を用いて、触媒3の存在下、5とのグリコシル化反応を検討し、対応する1,2-cis-L-アラビノフラノシドが予測通りの高い位置選択性で得られることを実証した。以上の結果により、本手法の糖受容体に関する基質一般性を明らかにするとともに、本手法が1,2-cis フラノシド結合の結合位置を予測・制御しながら、位置及び1,2-cis-立体選択的にフラノースを付与する新手法であることを実証した。なお、ここまでの研究成果をまとめ、学術誌への掲載とプレスリリースを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(i)本研究で目的としている位置および1,2-cis立体選択的アラビノフラノシル化反応の開発に成功したため。 (ii)本反応の位置選択性を事前に予測するための予測モデルの構築に成功したため。 (iii)各種ジオール糖受容体及び無保護糖が本反応に適応可能であることを実証し、本反応の基質一般性の拡張に成功したしたため。 (iV)本研究のこれまでの成果を取りまとめ、学術誌への掲載とプレスリリースを行うことで積極的に社会・国民へ発信できたため。
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今後の研究の推進方策 |
(i)ワンポット1,2-cisアラビノフラノシル化反応の開発を行い、サツマイモ由来の植物ペプチドホルモンIbHypSys IVの合成に着手する。 (ii)昨年度までに開発した位置および1,2-cis立体選択的アラビノフラノシル化反応を用いて、アレルギー抑制活性が期待される数種類のアラビノガラクタン部分糖鎖の合成と合成した部分糖鎖とキャリアタンパク質BSAとを複合化した複合糖質の合成を行う。 (iii)本年度に得られた結果を取りまとめ、国内外の学会で成果発表を行う。また、学術誌への掲載を通して、積極的に社会・国民へ発信する。なお、今後の研究の障害となる問題点はない。
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