研究課題/領域番号 |
23K26674
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補助金の研究課題番号 |
23H01981 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
島 隆則 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (60391976)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 窒素分子活性化 / 不飽和炭化水素 / アルキルアミン / 有機ヒドラジン / ヒドリド錯体 / チタンヒドリド / ヒドラジン誘導体 / 不飽和カルボニル化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者が進めてきた多金属ヒドリド錯体による不活性小分子の活性化と物質変換反応の研究を展開し、豊富に存在し、容易に入手可能な窒素分子と不飽和炭化水素を用いた含窒素有機化合物への変換反応を開発する。具体的には、これまでに開発した多核チタンヒドリド錯体などを利用して、窒素分子・不飽和炭化水素の活性化、アルキルアミン、有機ヒドラジンなどの含窒素有機化合物の合成、およびその反応プロセス解明を行う。本研究により、新しい反応プロセスによる窒素分子と炭化水素を利用した含窒素有機化合物合成研究の進展が期待できる。
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研究実績の概要 |
今年度は、「チタンヒドリド錯体を用いた窒素分子と不飽和カルボニル化合物からヒドラジン誘導体の合成」に関する研究について取り組んだ。 空気中の8割を占める豊富な資源である窒素分子(N2)は非常に安定しており、窒素源として化学合成に利用することは困難である。一般的には、ハーバー・ボッシュ法により得られたアンモニア(NH3)が窒素源として合成に利用される。しかし、ハーバー・ボッシュ法は高温・高圧条件を必要とし、多くのエネルギーを消費する。従って、温和な条件で窒素分子から有用な含窒素有機物を直接合成することは、省資源・省エネルギーの観点から重要である。 これまで、構造が明確なさまざまな分子性の金属化合物が開発され、これらを用いて窒素分子を利用した含窒素有機物の合成が試みられてきた。中でも、窒素分子を金属化合物で還元した後、炭素を含む多重結合(不飽和結合)を付加させる手法は、最も効率よく窒素-炭素結合を形成させることが可能である。しかし、炭素―炭素二重結合を含む不飽和炭化水素を窒素へ付加させる反応についてはほとんど研究されていない。 我々は、剛直なピンサー型配位子を持つチタンヒドリド化合物に着目し、窒素分子および一酸化炭素との反応で得られた二窒素化合物と、炭素-炭素二重結合を持つ不飽和カルボニル化合物を用いてさまざまな含窒素有機物の合成研究に挑んだ。その結果、温和な条件で窒素分子のN≡N結合を還元し、さらに不飽和カルボニル化合物を付加させることで、新たに窒素-炭素結合を形成させ、有機ヒドラジン誘導体の合成に成功した。 今後、このような多金属ヒドリド化合物に加え、窒素分子と不飽和カルボニル化合物などの多様な不飽和炭化水素類を用いた含窒素有機物の合成研究が進展することで、不活性分子の切断・形成を鍵とする新しい物質変換反応への展開が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、窒素分子からより付加価値の高い含窒素有機化合物の合成に取り組み、チタンヒドリド錯体によって窒素分子と不飽和カルボニル化合物からヒドラジン誘導体を合成することに成功するなど、ヒドリド錯体を用いた新たな物質変換反応の展開が見られ、概ね順調に研究は進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、金属ヒドリド錯体による窒素分子からの直接的含窒素有機化合物合成に取り組む。特に、窒素分子と汎用的な炭化水素類を用いた含窒素有機物合成に力を入れる。
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