研究課題/領域番号 |
23K26686
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補助金の研究課題番号 |
23H01993 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30292501)
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研究分担者 |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
江坂 幸宏 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (70244530)
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 試料前処理 / 呼気ガス分析 / 呼気凝縮液分析 / 流れ分析法 / 呼気診断 |
研究開始時の研究の概要 |
呼気分析は血液分析に代わる非侵襲な病態診断法として注目されている。定量目的物質としては呼気ガス(EBG)が一般的であり,その一成分であるNOガスは気道炎症の程度を診断するバイオマーカーとして既に臨床応用されている。一方,呼気凝縮液(EBC)は,呼気中のエアロゾルが凝縮したものであり,水溶性化合物が多数含まれている。よってEBG及びEBC分析を同時に行うことにより,定量目的物質がガス成分から不揮発性の水溶性化合物に拡張され,より実用的な呼気診断につながる。本研究はEBC・EBG中のごく微量の潜在的バイオマーカーを捕集濃縮する前処理剤を合成し,流れ分析法によって定量する方法論の開発を行うものである。
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研究実績の概要 |
呼気分析は血液分析に代わる非侵襲な病態診断法として有力視されている。定量目的物質としては呼気ガスが一般的であり,その一成分であるNOガスは気道炎症の程度を診断するバイオマーカーとして臨床応用されている。一方,呼気凝縮液(Exhaled Breath Condensate,EBC)は,呼気中のエアロゾルが凝縮したものであり,水溶性化合物が多数含まれている。よってEBC分析を行うことにより,定量目的物質がガス成分から不揮発性の水溶性化合物に拡張され,より実用的な呼気診断につながる。本研究はEBG中のごく微量の潜在的バイオマーカーを捕集濃縮し,流れ分析法によって定量する方法論の開発を行うおうとするものである。 近年のオミクス研究の一つとして注目されるリン酸化プロテオームでは,リン酸化されたタンパク質であるリン酸化ペプチドが定量される。生体試料としては,細胞組織がよく用いられるが,EBGを扱う報告はほとんどない。しかしその濃度は極めて低濃度であることが予想されるため,本年度は金属酸化物としてのアルミナ(酸化アルミニウム,Al2O3)を用いる試料前処理法の基礎検討を行った。模擬試料としてリン酸イオンを用いて吸脱着作用を検討したところ,良好な結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下で成果を説明するように,リン酸イオンやホスホン酸塩を金属酸化物によって捕捉できることが示されたことから,おおむね順調に進展していると判断する。 エンプティーカートリッジにアルミナを充填し,これを固相抽出SPEカートリッジとした。ここにリン酸イオン,アミノメチルホスホン酸(AMPA)水溶液を通液しSPEを行い,通過液,洗浄液,NaOH aqによる溶出液を得た。これらの溶液をペルオキソ二硫酸による酸化分解/モリブドりん酸青吸光光度法基づくフローインジェクション分析(Flow Injection Analysis,FIA)システムに導入し,アルミナのSPE特性を評価した。 FIAシステムから送液するペルオキソ二硫酸濃度を変化させ,AMPAが定量的にリン酸イオンに酸化分解されるかを調べた。その結果,AMPAはほぼ100 %酸化分解され,リン酸イオンとして検出された。次にアルミナ充填のSPEカートリッジによってリン酸イオンあるいはAMPAのSPEを行ったところ,いずれも良好な回収率を得た。
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今後の研究の推進方策 |
金属酸化物によるリン酸イオン・ホスホン酸塩のSPE: 前年度までに確立したバッチマニュアルによるSPE操作を自動化するために流れ分析法の一つであるシーケンシャルインジェクション分析(Sequential Injection Analysis,SIA)システムに導入する。SPE操作がSIAシステムによって首尾よく行われる条件を設定したのち,検出システムであるFIAと接続し,SPE前処理と検出の一体型分析システムを確立する。 逆相/強酸性陽イオン交換(Reversed-Phase/Strong Cation Exchange,RT-SCX)ミックスモード型SPE剤の開発と応用: セレン(IV)(Se(IV))は酸性条件下の2,3-ジアミノナフタレン(DANH+)と反応して,Se(IV)-DAN錯体を形成し,適切な条件下で蛍光を発する。したがってこの蛍光強度から微量Se(IV)を定量することができる。これまでSe(IV)-DAN錯体と未反応のDANH+を分離することを目的とし,RT-SCX)ミックスモード型SPE剤を合成し,両成分を分離することに成功している。これを応用し,環境試料を始め,呼気に含まれる揮発性セレン化合物の定量を目指す。 呼気サンプリング法の標準化: これまで粒子状のSPE剤をSIEMAシステムにオンライン化し,O-(4-シアノ-2-エトキシベンジル)ヒドロキシルアミン(CNET)を用いるアルデヒド類の蛍光誘導体を濃縮するシステムを開発してきた。この技術を発展させてEBC分析装置を開発する。この装置を用いて呼気サンプリング法の差異を明らかにする。
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