研究課題/領域番号 |
23K26695
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補助金の研究課題番号 |
23H02002 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松宮 正彦 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (00370057)
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研究分担者 |
佐々木 祐二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (20354839)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 白金族金属 / イオン液体 / 抽出分離 / 電解析出 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、白金族金属等の希少金属の安定供給策は国家規模で重要視されており、我が国独自の希少金属回収技術の開発は喫緊の課題である。これまでに新規の「イオン液体系抽出-電解法」を駆使して、実廃棄物:自動車排ガス触媒から白金族金属を効率回収するプロセスを検証してきた。特に白金族金属は資源的価値が高く、高純度化が極めて重要である。故に、本研究では電気化学水晶振動子マイクロバランス法により電析機構を解明することを第一の目的とする。また、イオン液体系で「溶媒抽出法」と「電解析出法」を連携し、白金族金属を高純度化した上で、効率回収できるプロセス技術の確立を第二の目的とする。
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研究実績の概要 |
白金族金属等の希少金属の安定供給策は国家規模で重要視されており、我が国独自の希少金属回収技術の開発は喫緊の課題である。2023年度は「新規アミド系抽出剤の創製及び抽出挙動解析」及び「加温式EQCM法によるイオン液体界面挙動・電解析出挙動の解明」を主体的に実施した。 1.新規アミド系抽出剤の創製及び抽出挙動解析 触媒成分の希少金属(Pt,Pd,Rh,La,Ce)からの白金族元素の選択的分離では、研究分担者:佐々木が独自に研究開発を進めてきた新規のアミド系抽出剤の研究成果を活用し、アミド系抽出剤の創製を進めた。ここで、配位子:Nはソフトドナーによる白金族元素の選択性向上、配位子:Oは特異的な選択性発現のために構成されており、白金族元素の中でもPtに対して、三座配位による特異的抽出が可能となった。また、Ptの選択的抽出ではイオン対抽出機構を活用した。特に、イオン対抽出の進行により、イオン液体中に荷電錯体が逐次形成されていくため、効果的な抽出分離が実現できた。また、電気伝導性の向上にも寄与しており、抽出分離後の電解析出過程にも結び付けることができた。
2.加温式EQCM法によるイオン液体界面挙動・電解析出挙動の解明 ホスホニウム型イオン液体:[P222X][TFSA],(X=5,8,12)を利用した抽出系では、Pt(IV)抽出錯体に対して、加温式電気化学水晶振動子マイクロバランス法(EQCM法と略記)を適用した。EQCM解析結果において、電流-電位曲線(CV)からPt(IV)抽出錯体はPt(IV)+2e-→Pt(II), Pt(II)+2e-→Pt(0)の二段階還元で進行することを明らかにした。また、電極界面の微小重量変化(Δm)からPt(II)/Pt(0)の電解析出過程では、見かけの分子量:Mapp=193.7と算出され、理論値:195.8に対して矛盾していないことを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に提示した以下の2つの研究項目を計画通り実施できたため。 1.新規アミド系抽出剤の創製及び抽出挙動解析 2.加温式電気化学水晶振動子マイクロバランス法によるイオン液体界面挙動・電解析出挙動の解明
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究項目に着目して、研究を進めていく。 1.Rh(III)抽出-電解挙動の解明 白金族元素の中でもRh(III)は抽出分離が極めて困難であることが知られているが、新規抽出剤:NTAamide(C6)にプロトン付加させた抽出系において、Rh(III)抽出率が顕著に高いことを予備試験段階で確認しているため、Rh(III)抽出-電解挙動の解明を主体的に実施する。次に、Rh(III)抽出錯体に対して、電気化学的分解を抑制可能な電解条件の探索を試みる。これは高純度化技術を確立する上で重要な研究要素の1つである。ここで、分解生成物を生じない過電圧、電流密度等の電解条件を把握し、電流効率:80%以上、電析物純度:90%以上を目指す。さらに、SEM/EDX,XPS,XRDにより、電析物の組成及び化学結合状態を評価し、白金族金属に対する高純度化技術の確立を目指す。 2.実廃棄物からの高純度化プロセスの適用性検討 基礎研究成果に基づき、実際の自動車排ガス浄化触媒を利用し、前処理~溶媒抽出~電解析出に至る一連のプロセスを実施する。ここで、抽出分離工程では白金族元素(Pt,Pd,Rh)の抽出率、分配比、分離係数を定量的に評価する。また、電解析出工程ではカソード電流効率、回収率、電析物の純度を主体的に評価する。
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