研究課題/領域番号 |
23K26730
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補助金の研究課題番号 |
23H02037 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 洋平 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60608785)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | スルースペース電荷移動 / 熱活性化遅延蛍光 / π空間 / 有機EL |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、適切なπ空間デザインに基づいたスルースペース電荷移動を活用することで、研究代表者がこれまでに独自に開発してきた熱活性化遅延蛍光(thermally activated delayed fluorescence: TADF)分子を飛躍的に発展・深化させる。本研究では、新奇なスルースペース型TADF分子の創製および分子設計の妥当性評価・指導原理を解明する。さらに、理論科学による分子設計の妥当性の検証や、高効率・高色純度・ 低エネルギー領域発光を示す有機EL材料としての実装にも挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者がこれまで独自に開発してきた熱活性化遅延蛍光 (thermally activated delayed fluorescence: TADF) 分子を飛躍的に発展・深化させて、空間的な軌道相互作用を介した電荷移動の活用に着眼した新規なTADF発光材料を創製し、系統的な構造ー物性相関を明らかにすることで、分子設計指針を確立することを目指すものである。 今年度は、これまでD-A-D型のTADF分子として実績のあるU字形ジベンゾフェナジンを独自の電子アクセプターとして活用して、これに種々の電子ドナーとπリンカーを連結させた分子を設計し、その合成ルートを開発した。また、その基礎物性を調査した。電子ドナーとしてカルバゾールおよびフェノキサジンを有する分子の合成法を様々検討した結果、それらの合成ルート開発に成功した。これらの希薄溶液における光物性を調べた。吸収波長およびスペクトル形状は有機溶媒の極性にほとんど依存しない一方で、フォトルミネッセンス波長は溶媒の極性の増大に伴い、顕著に長波長化したことから、溶液中における発光は電荷移動励起状態からの輻射であることが示唆された。すなわち、π空間を介した電荷移動が生じていることを実験的に示すことができた。さらに、非極性高分子をホスト材料とする薄膜を作製し、そのフォトルミネッセンス挙動を調べたところ、真空下において、遅延発光が観測され、合成した分子が薄膜中においてTADFおよび室温リン光を示すことを見出し、次年度以降の研究推進に有益な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、これまでD-A-D型のTADF分子として実績のあるU字形ジベンゾフェナジンを独自の電子アクセプターとして活用して、これに種々の電子ドナーとπリンカーを連結させた分子の合成ルートの確立に成功し、その基礎物性を調査し、計画通りπ空間を介した電荷移動を鍵とするTADFを示すことを見出した。すなわち、次年度以降、研究を計画通り推進するための有益な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度確立できた合成法を基に、様々な新規スルースペース型電荷移動TADF分子を合成し、その構造ー物性相関を明らかにするとともに、有機EL素子における発光材料としての評価を実施する。
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