研究課題/領域番号 |
23K26734
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補助金の研究課題番号 |
23H02041 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
吉川 浩史 関西学院大学, 工学部, 教授 (60397453)
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研究分担者 |
清水 剛志 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 特命助教 (50845386)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | ナトリウムイオン電池 / アゾ化合物 / 電荷移動錯体 / 水素結合性有機構造体 / 正極材料 / 有機ポリマー / 正極 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有機材料を用いた高性能なポストリチウムイオン電池は可能か、また、それを可能にするサイエンス(新しい原理・現象)とは何か、を学術的問いとして、高性能有機ポストリチウムイオン電池の開発を目的に、研究代表者が最近得た知見を基に、酸化還元活性なアゾ部位を含む有機高分子および1次元空孔を有する有機電荷移動錯体高分子を創製するとともに、これら2種の有機材料を正極に用いて、高分子化による電解液への溶解制御に基づいた安定なサイクル特性と高容量を有するナトリウムイオン電池の開発を行う。
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研究実績の概要 |
資源やコストの問題から、リチウムイオン電池に代わる次世代二次電池(ポストリチウムイオン電池)の開発が需要となっている。本研究課題では、そのようなポストリチウムイオン電池として、ナトリウムイオン電池に着目し、それに適した有機正極材料の探索とその電極特性を目的とする研究を行った。 今年度は、そのような有機材料として、水素結合性有機構造体(HOF)を用いた。HOFは、有機分子が水素結合をすることによって形成された多孔性構造体で、分子が規則的に連結された高い結晶性材料である。特に酸化還元部位含有HOFは、資源・環境・コストなどの視点から、次世代二次電池の新規正極材料として大変魅力的である。しかしながら、その正極活物質への応用例は限られているといっても過言ではない。 ここでは、構造異性体を有するテトラチアフルバレン部位含有HOF(PFC-77,78)とトリアジン部位含有HOF(PFC-11,12,13)に着目し、それらを正極活物質とするリチウムイオンおよびナトリウムイオン電池(LIB, SIB)特性を検討するとともに、構造異性体の電極特性への影響を調べた。 その結果、PFC-77とPFC-78 を正極とする LIBのサイクル特性より、200サイクル後の容量保持率を考えると、それぞれのHOFの放電容量はLIBでは23~30%程度保持されており、両者に大きな違いは無かった。組成式当たり2電子の酸化還元反応が起きると考えた理論容量(約78.4 mAh/g)に対して実際に得られた最大容量の比率を考えると、PFC-78が比較的高いと分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究概要でも述べたように、ポストリチウムイオン電池の代表格であるナトリウムイオン電池の正極に適した多孔性有機材料を見出し、それが、有機材料としては非常に良いナトリウムイオン電池正極特性を示すことを明らかにしている。このことは、当初設定した研究目的を達成するものとして、研究が順調に進展していることを示す。
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今後の研究の推進方策 |
良いナトリウムイオン電池正極特性を示すことを明らかにしたものの、あくまで容量面においてであり、サイクル特性に関してはまだ問題を抱えている。今後は、サイクル特性を安定にする方法を考えるとともに、機構解明に関する研究も推進していく予定である。
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