研究課題/領域番号 |
23K26739
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補助金の研究課題番号 |
23H02046 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北條 元 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90611369)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 異相界面 / 触媒 / 透過電子顕微鏡 / エピタキシャル薄膜 / 金属担体相互作用 / 担持金属触媒 / 電子エネルギー損失分光 |
研究開始時の研究の概要 |
異なる結晶相が接する異相界面は、例えば半導体材料におけるダブルへテロ構造など新しい性質・機能の発現する舞台である。本研究では、申請者が独自に開発を進めているモデル触媒・モデル薄膜を対象として、原子分解能の透過電子顕微鏡法と第一原理計算を駆使し、異相界面について、原子構造・化学結合状態の観点からアプローチを行う。実用触媒を用いた解析では不可能であった異相界面を定量化することで、触媒設計の新しい方法論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
担持金属触媒における金属と単体の界面や、異なる結晶相が析出した固体触媒における異相界面は、触媒特性発現のためにしばしば重要な役割を果たすことが知られている。本研究では、申請者が独自に開発を進めているモデル触媒・モデル薄膜を対象として、原子分解能の透過電子顕微鏡法と第一原理計算を駆使し、これらの異相界面について原子構造・化学結合状態の観点からアプローチを行う。実用触媒を用いた解析では不可能であった異相界面を定量化することで、触媒設計の新しい方法論の構築を目指す。 本年度はPt/CeO2モデル触媒に関する研究を発展させ、サイズの異なるPtナノ粒子が担持されたCeO2 (001)面について系統的な走査透過電子顕微鏡(STEM)-電子エネルギー損失分光(EELS)測定を行った。Ptナノ粒子サイズが2-3 nmのときに比べて、5-6 nmのときはPtナノ粒子周辺に形成されるCe3+の量は少ないことが明らかとなった。第一原理計算の結果、Ptナノ粒子が大きくなるにつれて酸素空孔形成エネルギーは増加すること、PtからCeO2への電荷移動量も増加することが示唆された。以上の結果は、Ptナノ粒子が2-3 nmのときにPtナノ粒子周辺に観察されたCe3+はPtからCeO2への電荷移動による寄与よりも、酸素空孔形成による寄与が大きいことを示している。酸素空孔はモデル触媒を作製する際に行う水素による還元処理時に水素のスピルオーバーによりに生じていると考えられることから、今回得られた結果は水素のスピルオーバー能にPtナノ粒子の大きさ依存性があることを示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pt/CeO2モデル触媒においてPtナノ粒子周辺のCeO2上のCe3+量には粒子サイズ依存性が存在することを明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデル触媒については、水素のスピルオーバーの全容解明を目指し、水素のスピルオーバーにより担体の還元が生じる範囲を明らかにする。Pt/CeO2モデル触媒において、多くの酸素空孔が形成されることが確認できているCeO2の(001)面に着目し、(001)面のファセットが広範囲に広がり、かつ孤立したPtナノ粒子が担持されている領域についてSTEM-EELS測定を行う。 また、エピタキシャル酸化物薄膜を担体としたモデル薄膜の開発も進める。STEM-EELS測定により担持金属周辺の酸化物担体上の酸素空孔量を定量化し、第一原理計算による評価も行う。XPS測定により担持金属の帯電状態も評価する。小型フローセルを用いてこれらのモデル薄膜の触媒活性を評価し、触媒活性と微構造・電子状態の相関を明らかにする。
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