研究課題/領域番号 |
23K26749
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補助金の研究課題番号 |
23H02056 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山田 哲也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50823142)
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研究分担者 |
松下 真太郎 東京工業大学, 工学院, 助教 (20883036)
田島 真吾 明治大学, 理工学部, 専任講師 (70862308)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 固体酸化物形燃料電池 / マイクロリアクター / レーザー加工 / マイクロ流体 / ジルコニア / 燃料電池 / セラミックスレーザー加工 / エタノール水蒸気改質 / 断熱構造 / 耐熱構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は平板状の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を搭載できるマイクロリアクターを開発し、定置用電源として利用されてきた平板状SOFCに可搬性を付与させる。本研究は申請者が行ってきたマイクロデバイスの研究から着想を得ており、マイクロ流路と平板状SOFC、改質機構、電力制御機構、燃料供給機構を一つの基板内に集積したマイクロリアクターを作る。燃料供給機構にはマイクロ空間で起こる毛細管力とベンチェリー効果を利用する。マイクロリアクター内部で起こる燃料の流れをスーパーコンピュータでシミレーションすることで構造最適化を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、高断熱・耐熱構造(片持ち梁構造)を持つマイクロリアクターを作り、その内部にマイクロ流路と平板状セル設置部位、改質機構(NiO触媒)、電力制御機構、燃料供給機構を集積した、可搬性を有する固体酸化物形燃料電池を作ることである。 本年度は、上記すべての機構を集積したマイクロリアクターの設計に取り組み、そのシミュレーションを行った。また、エタノールを使った燃料供給機構や改質触媒性能などの機能別の性能を評価した。マイクロリアクターにはYSZをレーザー加工することで燃料や電極が通るための流路を作った。マイクロリアクターは燃料電池を動かすために高い耐熱性を有することが必要になるが、熱応力を緩和させる構造を作ることで700℃程度の温度域でも耐えられる高い耐熱構造を作ることができた。 毛細管力を使った燃料供給機構では1-10 W(量論比換算)を発電するためのエタノール燃料を供給できることがわかった。ニッケル触媒を使ったエタノールの改質反応評価では、マイクロリアクター内部で水素や一酸化炭素、二酸化炭素に変換できることを確認した。しかし、マイクロ流路内で流体を流した場合には音速に近い流速に達成する場所があり、圧力により触媒が破壊されるという課題が見つかった。この改質触媒の課題に対し焼結条件を最適化する必要がある。 マイクロリアクターにセルを搭載し発電特性を評価したところ、水素ガスを流すことで起電力が1.03 Vと十分な起電力が確認された。しかし、アノードまたはカソード部分での接触抵抗が高く十分な性能が得られていない。今後は電極の前処理や集電体の最適化により発電効率を向上させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の計画通り順調に実験を実施することができている。 実施内容としては、1.流路の形状(流路断面積や長さ)とエタノール導入圧、導入量の関係を調べ、2.酸素ポンプを使わずに導入できる構造や熱交換効率の高い構造をシミュレーションにより決めた。さらに、3.YSZをレーザープロセスにより加工しマイクロリアクターの試作を行った。4.リアクター内部に設置したエタノールの改質触媒性能をガスクロマトグラフィーにより評価し、5.平板セルをリアクターに搭載し電池の性能を評価した。 改質触媒に関しては想定した以上の圧力がリアクター内部で発生するため、緻密で機械的強度を向上させた改質触媒の作製に着手した。また、発電性能は電池の内部抵抗や接触抵抗が大きいためが十分な性能を得られていないが、本年度(2024年)に条件の最適化を進めて本研究の最終目標である1-10 Wを達成予定である。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションで酸素を導入するための構造を決めた。本年度は、3Dプリンターで流路を作製しマイクロ流体による酸素導入が可能であるかをガスクロマトグラフィーにより調べる。実験データが取得でき次第、シミュレーションと比較し設計の修正と構造最適化を行う。 マイクロリアクターに設置した改質触媒性能評価を継続する。エタノールの改質能につい ては水素や一酸化炭素への変換効率や選択性をガスクロマトグラフィーにより調べる。排熱の利用効率についてはリアクター表面の温度分布を赤外線カメラによりモニタリングし、熱交換効率を算出する。マイクロリアクターの性能については起電力測定、I-Vカーブ測定、アレニウスプロット、インピーダンス測定により評価する。上記の実験すべてに対して600-850℃の範囲でリアクター温度を変化させ、温度と燃料供給速度、エタノールの改質効率、熱交換効率、発電効率、電力の関係を調べる。 温度と燃料供給速度、エタノールの改質効率、熱交換効率、発電効率、電力の関係をもとに制御アルゴリズムを作る。このアルゴリズムによりマイクロリアクターを動作させた場合の高効率化・最適化が達成される。最終的には、小型ドローンの走行距離や走行時間を調べ、既存のリチウム電池との統合を進める。
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