研究課題/領域番号 |
23K26755
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補助金の研究課題番号 |
23H02062 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川山 巌 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10332264)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / テラヘルツ波 / キャリアダイナミクス / 分極構造 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト(PVK)太陽電池の直流からTHz領域にわたる超広帯域での電流の時間的・空間的変化、およびヘテロ界面における分極構造を可視化できる新規計測システムを開発する。本システムを用いて、生成したキャリアの拡散・ドリフトおよび再結合などのミクロな素過程とマクロな出力電流・電圧との相関を明らかにすることにより、PVK太陽電池の性能向上に貢献するとともに、本手法をPVK太陽電池の評価法として確立する。
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研究実績の概要 |
次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト(PVK)太陽電池の直流からTHz領域にわたる超広帯域での電流の時間的・空間的変化、およびヘテロ界面における分極構造を可視化できる計測するため、研究代表者独自の手法であるレーザーテラヘルツ放射顕微鏡/分光(LTEM/LTES)をより高速・高感度手法である新規計測システムを開発する。本年度は、上記の高速・高感度検出の基盤整備として、特に高繰り返し周波数のTHz検出システムの開発を行った。従来のシステムでは、THz波検出器である光伝導アンテナからの信号は励起レーザーの繰り返し周波数である80MHzのパルス信号を、機械的に数kHz程度の変調信号に変換しロックイン検出していた。本年度は、レーザーの変調に音響光学変調器(AOM)、光伝導アンテナからのパルス信号の積算にBoxcar 積分器を用いて、信号検出を行った。本年度は、そのための光伝導アンテナの出力特性評価を行なった。その結果、AOM を用いて,8, 16, 40 MHz でのポンプ光の変調を行い, それと Boxcar 積分器を組み合わせたシステムの構築および計測ソフトウェアの開発を行い、THz 電磁波の計測が可能であることを示した。しかし、AOM によって高速変調されたポンプ光を用いて測定されたTHz 波形は, 機械式チョッパーにより2 kHz で変調した場合と比較して, ロックイン検出の場合は 11dB~22dB 程度, Boxcar 積分器の場合は, 15 dB~22 dB 程度 信号雑音比(SNR)が低いことが分かった。今後、テラヘルツ検出器とアンプのマッチングの改善などを行い、SNRを向上させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に書いたように、ポンプレーザー光にAOMを用い、信号の積算にBoxcar積分器を用いた新規な計測システムを構築し、THz波の波形計測に成功した。現状では、SNRがまだ十分ではなく改良が必要であるが、電流アンプの改善などによって今後、十分なSNRを確保し高速計測システムとして完成させる予定である。また、研究協力者の産業技術総合研究所・望月主任研究員よりガラス基板上にペロブスカイト太陽電池を作製した試料の提供を受け、従来システムで予備実験を開始し、THz波の検出に成功している。励起レーザーの波長を変化させ、吸収層と電荷移動層界面における分極やキャリアの動的振る舞いを今後計測する予定である。このように、初年度に置いて計測システムの構築が8割程度終わり、試料の測定も開始できており、概ね当初の予定通りのスケジュールで推移している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から引き続き、THz検出システムにおける高速・高感度検出システムの開発を行う。2023年度には、レーザーを高速変調するために音響光学変調器(AOM)をシステムに組み込み40MHzでのサンプリングを可能とし、さらにアナログ帯域400MHz高速電流アンプおよび帯域600MHzのボックスカー積分器によりテラヘルツ信号を増幅・検出可能なシステムを構築した。2024度は、本計測システムの特性評価および測定条件の最適化を行い高スループット計測を行う。さらにシステムにXYステージを組み込むことにより、THz 放射イメージング機構を追加する。ペロブスカイト太陽電池にバイアス電圧を印加しその依存性を計測することにより、界面ポテンシャル(界面バンド構造)が変化し、キャリアのドリフト速度が変化するため、ドリフト電流と拡散電流を分離して、生成電流量・方向に与える影響を検証する。また、高周波電流測定で得られた光電流量と比較することによりピコ秒からミリ秒までの電流のバイアス電圧、励起レーザー光強度・波長依存性を測定する。励起子の解離からキャリア輸送層への電荷分離にいたるまでの高速成分と、電荷輸送層におけるトラップや再結合などの低速成分に分離した測定を行う。
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