研究課題/領域番号 |
23K26771
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補助金の研究課題番号 |
23H02078 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 淳平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (70754935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | ペプトイド / 中分子 / 代謝 / 創薬 / 膜透過性 / ミクロソーム / ペプチド / 酸化代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、膜透過性の高い中分子として注目されるペプトイドについて、代謝安定性の評価と代謝反応の分子基盤の解明を行い、その知見に基づいて、代謝安定性が高く創薬上有用な人工中分子の創出を目指す。 具体的には、がん関連タンパク質であるMDM2を阻害するペプトイドをモデルとして、肝ミクロソーム中での代謝安定性と代謝を受けやすい構造の同定を行う。さらに、得られた知見に基づき、代謝安定性の高いペプトイドの設計を行う。こうした研究を通して、高い代謝安定性と膜透過性を示す創薬上有用なペプトイド構造を見出し、生体応用可能な新規中分子の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、生体内で利用できる中分子を創出することを目指して、膜透過性に優れる分子として知られるペプトイドについて、その代謝安定性の評価を実施し、その結果に基づいて、生体内で安定な中分子を創成することを目指している。 これまでに、我々は、独自に開発してきたMDM2を阻害するペプトイドについて、その代謝安定性を評価してきた。この結果に基づき、本年度はまず、このペプトイドの代謝安定性の定量的な評価と代謝を受けやすい部分構造について調査を行った。これらを実施するために、代謝の結果生成すると推定されたペプトイド構造のいくつかを標品として合成し、これらとの比較を行いながら研究を実施した。その結果、ペプトイドの肝ミクロソーム中での代謝速度を決定し、さらに、この特定のペプトイドについて代謝を受けやすい部分構造について明らかにした。続いて、このペプトイド以外の異なる構造のペプトイドについても、肝ミクロソームを用いた代謝安定性の評価を実施した。その結果、構造によって差はあるものの、他のペプトイドも比較的代謝を受けて分解されやすいことが確認された。また、この代謝反応は、CYP450が触媒する酸化反応によるものであることが示唆された。これらの複数のペプトイドの代謝産物の推定を行った結果、ペプトイドにおいて代謝を受けやすい構造が推定された。本年度の結果を受けて、今後は、ペプトイドの肝ミクロソーム中での代謝安定性を向上させるための構造の改変や化学修飾を考案し、設計した誘導体の代謝安定性評価を通じて、代謝安定性の高い中分子構造の追求を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、代謝安定性の評価を行い、代謝反応速度の定量や代謝産物の同定を行うことに成功したため、おおむね順調に進展しているといえる。また、こうした実験を通じて、本研究計画に必要な実験系や評価系が整ってきており、今後の研究を推進していく上でも、順調な進行であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、肝ミクロソーム中での代謝安定性に優れたペプトイドの創出を目指して構造展開を行っていく予定である。今年度の結果から、ペプトイドにおいて、代謝安定性が低くなる要因となる構造が特定されてきたので、その結果に基づいてペプトイドの部分構造の改変や修飾を行う。特に、すでに細胞内での阻害活性を示すことが明らかになっているMDM2阻害ペプトイドを基盤骨格として、構造展開を行っていく。この際、代謝安定性向上のためにペプトイド構造の改変を行なっていくと、標的タンパク質であるMDM2との結合親和性や細胞内で活性を発揮するために必要な膜透過性が下がってしまう恐れがあるため、各誘導体についてこられの性質についても評価を行なっていくこととする。具体的には、MDM2との結合親和性については蛍光偏光法を用いた評価を実施し、膜透過性については人工膜ベースの評価系であるParallel artificial membrane permeability assay (PAMPA) を用いた評価を実施していく予定である。これらの結果を受けて、標的タンパク質との結合親和性や膜透過性を損なうことなく代謝安定性を向上できるようなペプトイドの構造修飾を見出していく。有望な性質を示すことがわかったペプトイドについては、培養細胞での阻害活性が維持されているかについても評価する。具体的には、p53の安定性を評価するウェスタンブロッティングやアポトーシス誘導能を評価するアネキシンアッセイなどを用いた実験を行なっていく予定である。
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