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ケミカルバイオロジーで迫るオルガネラ配置制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 23K26799
補助金の研究課題番号 23H02106 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

佐藤 良勝  名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (30414014)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
キーワード化合物スクリーニング / オルガネラ
研究開始時の研究の概要

緑色植物において、葉緑体は光合成を行う生命維持に欠かせないオルガネラである。また、葉緑体は光の色、強さに反応して細胞内での配置を変化させる葉緑体光定位運動という現象が見られる。しかし、葉緑体光定位運動を引き起こすには、葉緑体が細胞膜に係留されている必要性がある。本研究では、葉緑体の基礎的な細胞内配置制御機構の解明を目指した研究である。

研究実績の概要

細胞機能を支えるオルガネラは、細胞の分化状態や外部環境に応じて適切な「時」に適切な「場」に適切な「量(数)」分布する。オルガネラの分布状態は細胞の機能発現に重要であり、緑色植物では葉緑体の細胞内分布の異常は、植物の発生、分化、環境応答に深刻な影響をもたらす。しかし、その細胞内分布の制御機構については不明な点が多い。本研究では、化合物ライブラリースクリーニングによって得られたヒット化合物の標的タンパク質を同定し、その機能解析を行うことにより葉緑体の細胞内配置制御機構の解明とその生理学的意義を紐解くことを目的としている。
我々は、未知の葉緑体の細胞内配置制因子を同定するため、20,000化合物に及ぶ大規模なハイスループット化合物スクリーニングを行い、そのリード化合物の解析をしている。リード化合物を固相化することによるアフィニティー精製によりターゲットを同定するべく、リード化合物を起点とした様々な化合物修飾を行ってきた。その過程において、ヒット化合物の構造活性相関解析から明らかになった置換基の制約が少ない部位を起点にアフィニティ担体に結合させて標的タンパク質を精製する予定であったが、ヒット化合物の共通骨格と独立骨格を結ぶを結ぶN-C結合が分解されやすいことが分かった。そこで、CHD1の構造修飾については様々な部位に置換基を導入した化合物合成を行うとともに、その活性を確認し、アフィニティー担体に結合させる化合物候補を探っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は5種類のヒット化合物の構造活性相関解析から明らかになった置換基の制約が少ない部位を修飾を加えることにより、アフィニティ担体に結合させ、標的タンパク質を精製実験に移行できると考えていた。しかしながら、ヒット化合物の共通骨格と独立骨格を結ぶを結ぶN-C結合が分解されやすく、独立の骨格の部分は細胞内で切断され、共通骨格であるCHD1の活性を見ているものと思われた。実際に、もともと分解しない形で置換基を入れたところ、活性を失っていた。そこで、当初予定していなかったCHD1の様々な部位に置換基を導入して、活性を維持しつつアフィニティー担体に結合させる分子をを探る実験が必要となったため、研究の進捗はやや遅れていると言わざるを得ない。それでも、現在までに25 種類に及ぶ CHD 類似化合物の合成と活性評価を完了しており、修飾を加えても活性が維持される部位を見出しつつある。今後は、修飾を伸ばし固相化した後、ターゲットIDを行う予定である。

今後の研究の推進方策

現段階では、活性を維持した状態でのアフィニティー担体に結合させる官能基化は成功していないが、今年度も引き続き固相化にむけた化合物修飾に取り組む。並行して、化合物修飾を必要としない方法、すなわち標的タンパク質と化合物-標的タンパク質複合体のサーモライシン処理に対する分解抵抗性の違いをSDS-PAGEで検出し、LC-MS/MSの質量パターンから標的タンパク質を同定するDARTS法を進める。さらに、葉緑体の細胞内配置制御に関わる因子として知られるKAC(kinesin-like protein for actin-based chloroplast movement)のTurboID法、免疫沈降法を用いて相互作用因子の同定を行う。昨年度までにKAC2-TurboID融合遺伝子発現株、KAC2-3xMyc融合遺伝子発現株、KAC2-Citrine融合遺伝子株は作出済みである。KAC1欠失株においてKAC2遺伝子にノックインさせる形で形質転換株を作出しており、KAC1KAC2遺伝子欠失株特有の葉緑体凝集は見られていないことを確認しており、これらの融合遺伝子産物がKAC2機能を有していることを確認している。今年度は実際に質量分析により相互作用因子候補を得る予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Plasma membrane damage limits replicative lifespan in yeast and induces premature senescence in human fibroblasts2024

    • 著者名/発表者名
      Suda Kojiro、Moriyama Yohsuke、Razali Nurhanani、Chiu Yatzu、Masukagami Yumiko、Nishimura Koutarou、Barbee Hunter、Takase Hiroshi、Sugiyama Shinju、Yamazaki Yuta、Sato Yoshikatsu、Higashiyama Tetsuya、Johmura Yoshikazu、Nakanishi Makoto、Kono Keiko
    • 雑誌名

      Nature Aging

      巻: 4 号: 3 ページ: 319-335

    • DOI

      10.1038/s43587-024-00575-6

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Near‐infrared imaging of phytochrome‐derived autofluorescence in plant nuclei2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshinari Akira、Isoda Reika、Yagi Noriyoshi、Sato Yoshikatsu、Lindeboom Jelmer J.、Ehrhardt David W.、Frommer Wolf B.、Nakamura Masayoshi
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: - 号: 5 ページ: 1699-1712

    • DOI

      10.1111/tpj.16699

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Root-knot nematode modulates plant CLE3-CLV1 signaling as a long-distance signal for successful infection2023

    • 著者名/発表者名
      Nakagami Satoru、Notaguchi Michitaka、Kondo Tatsuhiko、Okamoto Satoru、Ida Takanori、Sato Yoshikatsu、Higashiyama Tetsuya、Tsai Allen Yi-Lun、Ishida Takashi、Sawa Shinichiro
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 9 号: 22

    • DOI

      10.1126/sciadv.adf4803

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] An ABCB transporter regulates anisotropic cell expansion via cuticle deposition in the moss Physcomitrium patens2023

    • 著者名/発表者名
      Zhang Liechi、Sasaki‐Sekimoto Yuko、Kosetsu Ken、Aoyama Tsuyoshi、Murata Takashi、Kabeya Yukiko、Sato Yoshikatsu、Koshimizu Shizuka、Shimojima Mie、Ohta Hiroyuki、Hasebe Mitsuyasu、Ishikawa Masaki
    • 雑誌名

      New Phytologist

      巻: 241 号: 2 ページ: 665-675

    • DOI

      10.1111/nph.19337

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 細胞内オーキシン動態制御因子のケミカルスクリーニング2024

    • 著者名/発表者名
      青山 剛士、南保 正和、栗原 大輔、佐藤 綾人、土屋 雄一朗、佐藤 良勝
    • 学会等名
      第65回 日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ケージドプローブを用いたオーキシン細胞間移動の可視化2023

    • 著者名/発表者名
      青山 剛士、南保 正和、Gwee Eunice、土方 優、佐藤 良勝、土屋 雄一朗
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 葉切片ライブイメージングによるC4植物葉肉葉緑体凝集運動の解析2023

    • 著者名/発表者名
      加藤 優太、大井 崇生、佐藤 良勝、谷口 光隆
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 使用している検出器のスペックを知ろう2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 良勝
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会 関連集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 植物成長の自動監視のための深層学習に基づく根の長さ自動測定ツールの開発2023

    • 著者名/発表者名
      王 成、鵜飼 優子、林 雄一郎、小田 昌宏、佐藤 良勝、森 健策
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 胚珠にある植物新組織の発見とその新組織を利用した新しい植物種子形成学の黎明2023

    • 著者名/発表者名
      劉 暁燕、中島 耕大、伍 小燕、アドヒカリ パラカッシュ バブ、朱 紹威、岡田 健太郎、黒谷 賢一、石田 喬志、中村 匡良、佐藤 良勝、謝 礼洋、黄 陳、何 嘉楽、澤 進一郎、東山 哲也、野田口 理孝、笠原 竜四郎
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] マイクロ流路で顕在化する花粉管の潜在能力2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 良勝
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Observation of chloroplast movement in the C4 plant by live leaf-section imaging.2023

    • 著者名/発表者名
      Yuta Kato, Takao Oi, Yoshikatsu Sato, Mitustaka Taniguchi
    • 学会等名
      The 20th International Microscopy Congress
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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