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器官間コミュニケーションを介した植物の鉄欠乏ストレス適応戦略の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K26805
補助金の研究課題番号 23H02112 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
研究機関明治大学 (2024)
名古屋大学 (2023)

研究代表者

田畑 亮  明治大学, 農学部, 専任准教授 (30712294)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
キーワード植物栄養学 / 鉄欠乏ストレス応答 / 器官間コミュニケーション / ペプチド / 鉄欠乏応答 / ペプチド分子
研究開始時の研究の概要

植物は、生育に必要な14種類の無機栄養を土壌から吸収し成長する。そして、体中に張り巡らされた維管束を利用し、根と葉のコミュニケーションによって様々な環境ストレスに柔軟に適応する力を備えている。しかし、土壌の栄養が欠乏した時に「植物はどのように空腹を感知し、その情報を全身に伝え、栄養吸収を促すことで成長を維持しているのか?」は、未解明な点が多い。本研究では、光合成に必須の「鉄」に着目し、分析化学・ライブセルイメージング解析・有機合成化学の手法を駆使して、根から空腹を伝える「空腹シグナル」と、根へ栄養吸収を促す「指令シグナル」の2つの分子を中心とした制御系を支えるメカニズムの解明を目指す。

研究実績の概要

本研究では、土壌中の「鉄」欠乏に応答した植物の空腹・指令シグナルに着目し、根と葉の間の器官間コミュニケーションの分子メカニズムを明らかにし、これにより、根と葉という離れた器官を連動させ環境に柔軟に適応する植物は、どのように生命機能を生み出し維持しているのかを解明することを目的とした。
これまで、Split-root「鉄」欠乏培養法によるシロイヌナズナ時系列RNA-seq解析から、「葉から根」へ移動して「根」における鉄吸収を促進する指令シグナル候補分子として中分子ペプチドIRON MAN(IMA)を単離してきた。IMA八重変異体(ima8x)では、不均一な鉄欠乏に応答した鉄吸収関連遺伝子の相補的なmRNA発現上昇制御が完全に阻害されていた。シロイヌナズナ接木実験により、このima8xにおける不均一鉄欠乏環境での相補的な遺伝子発現制御の不全は、ima8xの地上部を野生型に置き換えることで回復した。さらに、GFP-IMA融合タンパク質発現個体を使用した接木実験から、IMAの葉から根への移動性が示唆されたため、地上部で発現誘導されたIMAsは地下部へと移動し、まわりに鉄が十分に存在する根において相補的な遺伝子発現応答を引き起こすことが考えられた。加えて、ima8xに対してIMA1とIMA3を回復させたima6x変異体では、不均一な鉄欠乏での相補的な遺伝子発現応答が野生型と同様のレベルにまで回復した。したがって、鉄関連遺伝子の相補的発現制御には、シロイヌナズナが持つ8個のIMAペプチドのうち、特にIMA1とIMA3が重要であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

土壌中の局所的な鉄欠乏に応答して、「葉から根」へ移動して「根」における鉄吸収を促進する指令シグナル候補分子として中分子ペプチドIRON MAN(IMA)に着目した。IMA八重変異体(ima8x)では、不均一な鉄欠乏に応答した鉄吸収関連遺伝子の相補的なmRNA発現上昇制御が完全に阻害されていた。シロイヌナズナ接木実験により、このima8xにおける不均一鉄欠乏環境での相補的な遺伝子発現制御の不全は、ima8xの地上部を野生型に置き換えることで回復した。さらに、GFP-IMA融合タンパク質発現個体を使用した接木実験から、IMAの葉から根への移動性が示唆されたため、地上部で発現誘導されたIMAsは地下部へと移動し、まわりに鉄が十分に存在する根において相補的な遺伝子発現応答を引き起こすことが考えられた。加えて、ima8xに対してIMA1とIMA3を回復させたima6x変異体では、不均一な鉄欠乏での相補的な遺伝子発現応答が野生型と同様のレベルにまで回復した。したがって、鉄関連遺伝子の相補的発現制御には、シロイヌナズナが持つ8個のIMAペプチドのうち、特にIMA1とIMA3が重要であることが明らかとなった。このように、土壌中の局所的な鉄欠乏に応答した植物の器官間コミュニケーションを介した鉄獲得戦略について、IMAの重要性が明らかになりつつあるため、順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

局所的な鉄欠乏に応答した器官間コミュニケーションの仕組みにおいて、IMAがどのようにして「葉から根」へ移動するかイメージング解析を実施する。また、葉から根へと移動してきたIMAが、どのように鉄輸送体IRT1の転写を活性化するか明らかにするため、質量分析装置を用いた解析により、指令シグナルと細胞内シグナル伝達を繋ぐハブとなる新規分子同定を試み、その制御メカニズムを解明する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Regulation of the iron-deficiency response by IMA/FEP peptide2023

    • 著者名/発表者名
      Tabata Ryo
    • 雑誌名

      Frontiers in Plant Science

      巻: 14 ページ: 1107405-1107405

    • DOI

      10.3389/fpls.2023.1107405

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] PECT1, a rate‐limiting enzyme in phosphatidylethanolamine biosynthesis, is involved in the regulation of stomatal movement in Arabidopsis2023

    • 著者名/発表者名
      Negi Juntaro、Obata Tomoki、Nishimura Sakura、Song Boseok、Yamagaki Sho、Ono Yuhei、Okabe Makoto、Hoshino Natsumi、Fukatsu Kohei、Tabata Ryo、Yamaguchi Katsushi、Shigenobu Shuji、Yamada Masashi、Hasebe Mitsuyasu、Sawa Shinichiro、Kinoshita Toshinori、Nishida Ikuo、Iba Koh
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: - 号: 2 ページ: 563-576

    • DOI

      10.1111/tpj.16245

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Nicotiana benthamiana XYLEM CYSTEINE PROTEASE genes facilitate tracheary element formation in interfamily grafting2023

    • 著者名/発表者名
      Huang Chaokun、Kurotani Ken-ichi、Tabata Ryo、Mitsuda Nobutaka、Sugita Ryohei、Tanoi Keitaro、Notaguchi Michitaka
    • 雑誌名

      Horticulture Research

      巻: - 号: 6 ページ: 1-12

    • DOI

      10.1093/hr/uhad072

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 鉄欠乏ストレス応答性分泌型システインリッチペプチドの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      和久茉厘那, 井本駿平, 神谷岳洋, 菅野茂夫, 戸田陽介, 中道範人, 木羽隆敏, 榊原均, 田畑亮
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 鉄欠乏ストレス応答性分泌型システインリッチペプチドの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      塩谷太一, 井本駿平, 神谷岳洋, 木羽隆敏, 榊原均, 田畑亮
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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