研究課題/領域番号 |
23K26807
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補助金の研究課題番号 |
23H02114 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
押木 守 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90540865)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 嫌気性アンモニウム酸化 / anammox / 亜硝酸還元酵素 / ヒドロキシルアミン / 亜硝酸還元 / タンパク質精製 |
研究開始時の研究の概要 |
嫌気性アンモニウム酸化(anammox)反応は亜硝酸(NO2-)とアンモニウムから窒素ガスを生成する微生物反応であり、地球上で生成する窒素ガス の6割がanammox反応を経由している。一方、anammox反応で窒素ガスが生成する反応メカニズムは未解明であり、特に第一番目の反応であるNO2 -還元反応がどのように進むのか明らかでない。本研究ではanammox反応のNO2-還元反応を触媒する酵素(タンパク質)を分離・精製し、本酵素 の特徴(機能・構造)を明らかにする。また、本酵素を大腸菌などに大量発現させ、バイオ産業で利用するための基盤研究を行う。
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研究実績の概要 |
R5年度は計画通り嫌気性アンモニウム酸化細菌からの亜硝酸還元酵素の精製を実施した。実験室で培養した菌体(Candidatus Brocadia sinica)を材料とし、菌体破砕、液体クロマトグラフィーを用いて亜硝酸還元酵素の精製を行った。精製度はポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Native/SDS-PAGE)で確認し、異なる精製モード(イオン交換、疎水性相互作用、ゲル濾過クロマトグラフィー法)を組み合わせながら精製度の高い亜硝酸還元酵素の精製を行った。精製物について、トリプシン消化を行った後、精密質量分析とデータベース照合を行ったが、夾雑物の影響により単一分子の同定には至っておらず、ひきつづき精製を進めている。 粗精製には成功しているため、粗精製画分を用いて亜硝酸還元酵素の機能、物性測定を行った。機能に関する測定として、比活性試験を実施した。メチルビオロゲンMVを電子供与体とした亜硝酸還元試験を実施し、粗精製物が高い亜硝酸還元活性を有することを確認した。物性測定としては分光測定(UV-VIS測定)と電子スピン共鳴測定を実施した。分光測定は室温条件で密閉石英キュベットを用いて行ったが、粗精製物はヘムタンパク質、特にシトクロムcに特徴的な酸化/還元スペクトルを示した。これは亜硝酸還元酵素がヘム分子を持つ、ヘムタンパク質であることを示している。亜硝酸還元酵素に配位するヘム分子についてさらに調査を行うため、溶媒液液抽出を行った。その結果、亜硝酸還元酵素に配位するヘムはヘムcであることが明らかとなった。電子スピン共鳴測定は粗精製物を石英管へ分注、脱気後に極低温下で測定を行った。標準品からはESRスペクトルが得られたものの、測定サンプルのタンパク質濃度が不足していたため、粗精製物からは良好なESRスペクトルを得るには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で計画していた年度計画の内容と進捗を予定通り進めることができているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は当初計画通り研究を開始する。すなわち、粗精製物を用いた機能・物性測定、構造解析、異種発現系の構築に取りかかる。機能・物性測定についてはR5年度から継続した取組として、ESR測定、比活性の測定を行う。構造解析については、R6年度後半から酵素の結晶化条件のスクリーニングを開始する。異種発現系については大腸菌を宿主としたタンパク質発現ベクターに遺伝子クローニングを行い、目的タンパク質の発現・亜硝酸還元活性の調査を行う。これまでのところおおむね順調に研究計画を進めることができており、これが継続できるように今後も研究計画に従って研究を推進する。
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