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細菌の細胞死誘導におけるミトコンドリア型呼吸酵素の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23K26814
補助金の研究課題番号 23H02121 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関東京大学

研究代表者

新井 博之  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70291052)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2027年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
キーワードシトクロムc酸化酵素 / 細胞死 / 活性酸素 / 好気呼吸 / 緑膿菌
研究開始時の研究の概要

緑膿菌は複数の好気呼吸鎖末端酸化酵素を持ち、生育環境によってそれらを使い分けることで感染病巣を含めた様々な環境で生存可能である。このうち、ミトコンドリアの呼吸酵素と近縁のcaa3型シトクロムc酸化酵素はエネルギー生産効率が高いが、飢餓時でのみ特異的に発現し、高発現すると活性酸素(ROS)が発生して増殖が極度に低下するなどの特徴がある。本研究では、caa3はROSを生成することで細胞死誘導や増殖阻害により細胞数を制御することで、飢餓等のストレス環境での生残に積極的に寄与していると予想し、caa3によるROS発生と細胞死誘導のメカニズムを実験的に明らかにする。

研究実績の概要

緑膿菌は生育環境に応じて複数の好気呼吸鎖末端酸化酵素を使い分けている。特に、cbb3型シトクロムc酸化酵素の複数のアイソフォームを生産し、これらを主要な呼吸酵素として利用する特徴がある。一方で、ミトコンドリア型酵素であるcaa3型シトクロムc酸化酵素も持っている。caa3はエネルギー生産効率が高いが、飢餓条件でのみ特異的に発現し、高発現すると活性酸素(ROS)が発生して生育阻害や細胞死が起こることで増殖が極度に低下する。本研究では、caa3が飢餓等のストレス環境下での生残に寄与すると当時に、細胞死誘導や増殖阻害により細胞数を制御する役割があると予想し、caa3によるROS発生と増殖抑制のメカニズムを実験的に明らかにすることを目的とした。
caa3による個体数制御の仕組みを明らかにするために、蛍光色素を用いたLive-Dead染色とコロニーカウントによる生菌数測定を組み合わせた定量的解析を行う。本年度はこの解析を行うための蛍光プレートリーダーの導入、および、蛍光タンパク質でラベルしたcaa3の遺伝子破壊株や単独発現株の構築を試みた。また、導入した蛍光プレートリーダーを用いて、発生するROSの分子種を特定するための測定条件の検討を行った。
緑膿菌だけでなく他菌においても、飢餓条件で特異的に発現するミトコンドリア型酵素はC末端側にヘムc結合部位を含むドメインを持ち、一般的なaa3型酵素とシトクロムcが融合した形になっている。このシトクロムcドメインの役割を検証するため、ヘムc結合部位を破壊した組換え酵素を発現する菌株の作製を試みた。
caa3が機能する条件での細胞死には、他の呼吸酵素の機能阻害や発現抑制を伴うため、緑膿菌が持つcaa3以外の呼吸酵素であるcbb3の各アイソフォーム、bo3型キノール酸化酵素、bd型キノール酸化酵素のROSや呼吸阻害物質に対する感受性を調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

緑膿菌のcaa3の単独発現株は極度に生育が悪いため、細胞数を定量解析するための蛍光タンパク質でラベルした変異株や、caa3の変異タンパク質を発現する菌株の作製が困難であったため、bd型キノール酸化酵素と共存させることで、増殖できると同時にシトクロムc酸化酵素活性測定が可能な菌株を作製することとした。このため、菌株の作製と細胞死の定量解析の進捗が遅れている。ヘムc結合部位を欠失した変異型酵素の作製については、変異タンパク質をコードする遺伝子断片の作製は完了しており、bd型キノール酸化酵素と共発現する菌株を構築中である。一方で、低酸素条件および定常期で主要に働くcbb3型酵素のアイソフォームの1つが極度に過酸化水素に対して感受性が高いことが明らかになり、これがROSによる細胞死の要因の一つであると考えられた。また、これまで役割が不明であったbo3型キノール酸化酵素が特定の阻害物質に対して耐性が高いことが明らかになった。これらの結果から緑膿菌の好気呼吸に関して新たな知見が得られており、トータルとしては順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

1.caa3型酵素による細胞死および増殖阻害の定量的解析
caa3型酵素の発現と細胞死の関係を蛍光解析により定量化するための実験を引き続き行う。特に、caa3とbd型キノール酸化酵素が共存する条件でアッセイする条件検討と菌株作製を中心に進める。
2.シトクロムcドメインの機能解析
caa3のヘムc結合部位を欠失した変異タンパク質を発現する変異型遺伝子断片をbd型キノール酸化酵素の単独発現株に導入して機能的発現を試みる。caa3型酵素の機能的発現には複数のアクセサリー遺伝子が必要であり、これらを共発現させることで、その役割についての解析も行う。
3.他の呼吸酵素のROSや呼吸阻害剤に対する感受性解析
緑膿菌野生株の細胞死には、caa3以外の呼吸酵素のROS感受性も重要であることが見えてきたので、cbb3型シトクロムc酸化酵素の各アイソフォームやbo3型キノール酸化酵素、bd型キノール酸化酵素について、ROSや呼吸阻害物質に対する感受性の解析を引き続き行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 緑膿菌の硝酸イオン及び亜硝酸イオンの膜輸送機構に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 洸彰, 亀谷 将史, 石井 正治, 新井 博之
    • 学会等名
      第17回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 緑膿菌の硝酸イオン/亜硝酸イオントランスポーターNarK1とNarK2の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 洸彰, 亀谷 将史, 石井 正治, 新井 博之
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 緑膿菌の硝酸イオン及び亜硝酸イオンの膜輸送機構に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 洸彰, 亀谷 将史, 石井 正治, 新井 博之
    • 学会等名
      第22回東京大学生命科学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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