研究課題/領域番号 |
23K26815
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補助金の研究課題番号 |
23H02122 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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研究分担者 |
西山 啓太 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40756029)
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70262079)
角田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80345032)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | リボヌクレアーゼ / リボソーム / バイオフィルム / プロバイオティクス / 有用細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、大腸菌において、バイオフィルム形成能を顕著に向上させる機構を見出した。細菌はバイオフィルムを形成して環境に定着することから、これらの知見が、有用細菌の定着性向上に応用できると考えた。そこで本研究では、腸内細菌を「定着性のモデル」とし、上記で述べた成果、およびバイオフィルムに関するこれまでの研究から学び得たことを応用し、「(1) 細菌に共通して利用可能であること」「(2) 細菌叢バランスを損なわないこと」「(3) 細菌を複合系として定着させられること」を可能とする、細菌の定着性強化技術を開発する。将来的には、有用細菌に利用可能な技術へと発展させることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、RNase I欠損株が、野生株に比べて顕著にバイオフィルムを形成することを、腸管を模した流体デバイス(腸管チップ)を用いて再確認した。以前は、未標識大腸菌を使用したが、今回は可視化の便宜を踏まえ、GFPをそれぞれの株で発現させた。その結果、RNase I欠損株がバイオフィルムを形成する様子が経時的に観察出来た。一方、同条件において、野生株はバイオフィルムを全く形成しなかった。 細胞同士の連結実験に関して、大腸菌をモデルとして予備実験を行った。RNase I欠損株、および野生株の細胞表面に、それぞれ蛍光標識した短鎖ペプチド抗体、およびこれの抗原を提示する株を作製した。コントロールとして、蛍光タンパク質のみを提示する野生株も実験に供した。バッチ法によりバイオフィルム形成能を測定すると、短鎖ペプチド抗体を提示するRNase I欠損株と抗原を提示する野生株を組み合わせて培養した場合、バイオフィルム形成能の上昇が見られた。しかし、コントロールと比較して、その差はわずかであることから、実験手法が適切でないと判断した。現在、バイオフィルム観察用フローセルを用いた手法に置き換えて実験を行っている。 上記連結実験において実際に使用する有用細菌の選抜を、免疫応答性を指標に行った。そこで、2種の乳酸菌、および1種のビフィズス菌を候補とし、これらの死菌を培養細胞に添加し、LPS刺激に対するTNF-alpha、IL-6、IL-10の発現量をリアルタイムPCRにより定量した。しかし、全ての株で明確な差異が見られなかった。そこで、細胞の培養、およびLPS添加の条件を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本実験に用いる乳酸菌、ビフィズス菌の選抜が済んでおらず、改変細菌の作製に至っていないため。また、本研究で最も注目している、細胞の連結実験が期待通り進行していないため。
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今後の研究の推進方策 |
乳酸菌、ビフィズス菌の選抜を継続すると共に、これらのうち、遺伝子改変が比較的容易なビフィズス菌について改変株の作製を開始する。また、細菌の連結実験に関して、バイオフィルム観察用フローセルを用いて実験を進める。
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