研究課題/領域番号 |
23K26819
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補助金の研究課題番号 |
23H02126 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
邊見 久 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (60302189)
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研究分担者 |
伊藤 智和 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (90584970)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | イソプレノイド / メバロン酸経路 / 古細菌 / 発酵生産 / 大腸菌 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らが最近発見した古細菌型メバロン酸経路は、既知経路と比べてエネルギー低消費型の代謝経路であり、同経路の微生物への導入は、様々な有用物質の発酵生産の強化に役立つと期待されている。しかし同経路には酸素が豊富に供給される条件において機能が低下するという弱点が存在し、それは同経路に特異的な酵素の酸素感受性に起因すると予想されている。本研究では酸素供給量の違いにより蓄積する中間体を調べることによって同経路の機能低下の原因を究明し、その原因となっている酵素の発現量を増やすこと、もしくは同酵素に酸素耐性を付与することにより、同経路の応用上の弱点の克服を目指す。
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研究実績の概要 |
古細菌型メバロン酸経路を本来同経路を持たない大腸菌に導入し、揮発性テルペン化合物であるファルネセン、カロテノイド色素であるリコペンをそれぞれ指標として用いることで、同経路の導入がイソプレノイド生産に与える影響を検証した。まずファルネセンを指標とした検証の結果、同経路は研究の進んだ真核生物型メバロン酸経路と比較可能なレベルで大腸菌におけるイソプレノイド生産性を向上させうることを明らかにした。このイソプレノイド生産性の向上は好気的な培養条件で失われることが、過去の研究により見出されていたが、リコペンを指標とした系において、古細菌型メバロン酸経路特有の酵素であるホスホメバロン酸デヒドラターゼの発現量を上昇させることにより、振盪により酸素がある程度供給される培養条件であってもイソプレノイド生産性の向上が維持できることが示された。 また、古細菌型メバロン酸経路特有な酵素であるホスホメバロン酸脱水酵素およびホスホトランスアンヒドロメバロン酸脱炭酸酵素の遺伝子を未培養真正細菌のメタゲノム解析由来ゲノム配列に見出し、これらを大腸菌に発現させることで、同経路が一部真正細菌において機能していることを示唆する結果を得た。また、ホスホトランスアンヒドロメバロン酸脱炭酸酵素、および同酵素に補酵素を供給するプレニル化フラビンモノヌクレオチド合成酵素について酵素学的解析を進め、前者については補酵素によるホロ化機構の解析や速度論解析などの酵素学的解析、後者については基質特異性解析や立体構造解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古細菌型メバロン酸経路が既知のメバロン酸経路と比べても遜色ないレベルで大腸菌のイソプレノイド生産性を向上させることを複数の化合物を指標として示すことができた。さらに、イソプレノイド生産性の向上の鍵となる酵素がホスホメバロン酸脱水酵素であることを特定し、その発現強化の効果を明らかにできている。また、同経路に特有な、ほとんど研究の進んでいない酵素群を対象として生化学的な解析を進め、様々な新しい知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
ホスホメバロン酸脱水酵素に対して変異導入を行い、酸素に対する耐性が向上した変異型酵素を取得する。また、既知の同酵素とは異なる種類の鉄硫黄クラスターを有すると予想されるホモログについて、酵素機能を確認するとともに、酵素学的性質および鉄硫黄クラスターの構造を解析する。これまでの研究対象とは異なる種の古細菌や、未培養真正細菌から得た古細菌型メバロン酸経路関連酵素についても酵素学的解析を進め、既知酵素との性質の違いを明らかにする。また、ホスホアンヒドロメバロン酸脱炭酸酵素の補酵素であるプレニル化フラビンモノヌクレオチドの古細菌における供給機構を明らかにする。
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