研究課題/領域番号 |
23K26842
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補助金の研究課題番号 |
23H02149 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増口 潔 京都大学, 化学研究所, 助教 (00569725)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2027年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 植物ホルモン / ストリゴラクトン / 生合成 / イネ |
研究開始時の研究の概要 |
ストリゴラクトン(SL)は、根寄生植物の種子発芽誘導物質として発見されたカロテノイド由来の化合物群である。また、SLは根圏で植物と菌根菌の共生を促進し、植物体内では枝分かれなどを制御する植物ホルモンとして多面的に機能している。 SLの化学構造は多様であり、A環からD環までの四環を有する典型的SLが様々な植物から同定されてきた。一方、最近、D環のみが保存された非典型的SLの報告例も相次いでいる。しかし、「なぜ1つの植物種の中でさえも、典型的SLと非典型的SLが生合成されるのか?両者の生理機能には相違点があるのか?」という謎が未解明である。本研究では、主にイネを材料にして、この疑問点を追究する。
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研究実績の概要 |
ストリゴラクトン(SL)は、根圏で植物とアーバスキュラー菌根菌の共生を促進し、植物体内では枝分かれなどを制御する植物ホルモンとして多面的に機能するカロテノイド由来の化合物群である。SLの化学構造は多様であり、A環からD環までの四環を有する典型的SLが様々な植物から同定されてきた。一方、最近、D環のみが保存された非典型的SLの報告例も相次いでいる。しかし、「なぜ1つの植物種の中でさえも、典型的SLと非典型的SLが生合成されるのか?両者の生理機能には相違点があるのか?」という謎が未解明である。さらに、これまでに植物ホルモンとして機能するSLの活性本体も明らかにされていない。本研究では、典型的SLや非典型的SLの生合成遺伝子の欠損変異体などを有効的に利用しながら、これらの疑問点を明らかにする。 本年度は、各種SL生合成遺伝子の欠損変異体のライン整備を行い、各遺伝子について独立した2系統以上の変異体を取得した。また、典型的SLと非典型的SLの両者を欠損させた植物体の作出を目的として、両分子種の生合成における鍵酵素の多重欠損変異体の作製を行った。 さらに、KLと呼ばれる未知の植物ホルモンのシグナル伝達経路が、イネのSL生合成を正に制御するという知見、及びシトクロムP450のCYP711Aサブファミリーに属するOs1900とOs5100が、イネにおいてカーラクトンからカーラクトン酸への変換を担う主要酵素であるという知見を論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、各種SL生合成遺伝子について独立した2系統以上の変異体を取得し、2024年度以降の表現型観察や生化学実験に必要な種子数を確保することが出来た。また、CRISPR-Cas9システムを利用して、典型的SLと非典型的SLの生合成における鍵酵素の多重欠損変異体の作製を行い、現在ホモラインを選抜中であり、2024年度中に多重欠損変異体ホモラインの表現型観察や生化学実験が可能な状況である。 また、各種SL生合成遺伝子の欠損変異体については、分げつ数測定やSL生合成中間体の内生量分析などの予備試験を終えている状況であり、今後、反復実験を行い、データの精度を高めることにより、各種変異体の特徴付けが完了する見込みである。 そのため、2024年度以降はこれらの変異体を利用しながら、詳細な表現型観察、アーバスキュラー菌根菌との共生試験、植物ホルモンとして機能する未知のSL活性本体の探索といった実験へと展開可能であり、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の結果を基に、下記の実験を実施する。 (1)各種SL生合成遺伝子の欠損変異体を用いて、詳細な表現型解析や典型的SLや非典型的SLの内生量分析(SL生合成中間体の内生量分析も含む)を行い、各種変異体の特徴付けを行う。SL生合成は栄養条件(特にリン)によって制御されていることが知られているため、様々な栄養条件での表現型解析も行う。 (2)各種SL生合成遺伝子の欠損変異体を用いて、アーバスキュラー菌根菌との共生試験を開始する。野生型やSL生合成上流が遮断されたd10変異体やd17変異体、SL生合成が亢進しているd14変異体を比較対照区として利用する。 (3)植物ホルモンとして機能する未知のSL活性本体の内生量が増加していると考えられる変異体を材料にして、当該化合物の探索を開始する。まず、SL活性を評価するアッセイ系を確立し、本系を利用しながら未知の活性本体を追究する。 (4)上述の実験と並行して、本研究で利用する未発表のSL生合成酵素に関する論文発表準備を進める。
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