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宿主による腸内細菌叢の制御を媒介する腸上皮細胞由来microRNAと食餌要因

研究課題

研究課題/領域番号 23K26845
補助金の研究課題番号 23H02152 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分38050:食品科学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

園山 慶  北海道大学, 農学研究院, 教授 (90241364)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
キーワード腸内細菌叢 / microRNA / 遺伝子サイレンシング / 腸上皮細胞 / Enterococcus / フルクトオリゴ糖 / 腸管オルガノイド
研究開始時の研究の概要

腸内細菌叢が宿主の生理に影響する際にmicroRNA(miRNA)によ る遺伝子サイレンシングが重要な役割を果たす。それとは逆に宿主が腸内細菌叢に影響する際にもmiRNAが関わるかもしれない。本研究では、「宿主由来のmiRNAが腸内細菌叢のホメオスタシス維持に寄与する」という仮説を立て、動物実験、組織培養、および腸内細菌培養を用いてこれを証明する。また、このことに食品がどのような影響をおよぼすのか、を明らかにする。これにより、腸内細菌叢と宿主のクロストークを理解し、食品が腸内細菌叢を介して健康機能を発揮する際の細胞・分子基盤を解明することに貢献する。

研究実績の概要

本研究では、「宿主由来のmicroRNA(miRNA)が腸内細菌叢のホメオスタシス維持に寄与する」という仮説を立て、今年度は以下のように検証を進めた。
1) 腸上皮由来のmiRNAが腸内細菌叢の構成と機能に影響することを証明するために、マウスの腸内容物から分離した細菌を培養し、腸内容物から分離したsmall RNAを添加した際の細菌叢の構成変化をメタ16SおよびqPCRにより解析するとともに、培養上清中の有機酸をHPLCにより定量した。その結果、small RNA添加により細菌叢の構成が変化し、とりわけEnterococcus属細菌が増加すること、短鎖脂肪酸構成が変化することが明らかとなった。また、small RNAを限外濾過により分画し、10 kDa以下の画分がEnterococcus属細菌の増加作用を有することが示された。さらに、マウスやヒトのmiRNAと配列相同性を有さないmiRNAはEnterococcus属細菌の増加作用を示さなかった。以上のことから、宿主由来のmiRNAが配列依存的に腸内細菌叢の構成および代謝に影響することが示唆された。
2) 食品が腸上皮細胞由来のmiRNAのプロファイルと機能に影響することを証明するために、難消化性オリゴ糖の一種であるフルクトオリゴ糖(FOS)の摂取が腸内容物中のmiRNAプロファイルに影響を及ぼすか否か、ならびにそのmiRNAが培養腸内細菌叢に及ぼす影響を変化させるか否かを調べた。マイクロアレイ解析の結果、FOSの摂取が腸内容物中のmiRNAプロファイルを変化させることが明らかとなった。また、培養腸内細菌のメタ16S解析の結果、FOSの摂取は腸内容物中のmiRNAが培養腸内細菌叢の構成に及ぼす影響を変化させることが示された。すなわち、宿主由来のmiRNAによる腸内細菌叢の構成変化は食餌に影響されることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究目的として、1) 腸上皮細胞由来のmiRNAが腸内細菌叢の構成と機能に影響することを証明すること、および、2) 腸内細菌叢が腸上皮細胞由来のmiRNAのプロファイルと機能に影響することを証明すること、を挙げた。このうち、研究実績の概要1に記載した通り、目的1は達成できたと言える。一方、目的2に関しては、通常マウスと無菌マウスとの比較、ならびにマウスの腸管オルガノイドを用いた解析を実施する予定であったものの、これらは達成できていない。しかしながら、研究実績の概要2に記載したFOS摂取の影響に関しては、このものが腸内細菌叢の構成を変化させることはよく知られている事実であるため、FOS摂取が腸内細菌叢の構成を変化させることを介してmiRNAのプロファイルと機能に影響したと考えると、研究実績の概要2は目的2の達成に一部寄与するということができる。

今後の研究の推進方策

本研究は概ね順調に進展している。したがって当初の計画通りに研究を推進していく。具体的には下記の通りである。
1) 腸管オルガノイドの培養上清から分離したmiRNAを腸内細菌培養系に添加することにより、腸上皮細胞が放出するmiRNAが腸内細菌叢の構成と機能に影響することをex vivoで証明する。
2) 腸管オルガノイドへの菌体成分や代謝産物を添加し、miRNAプロファイルを分析することにより、腸内細菌叢が腸上皮細胞由来のmiRNAのプロファイルに影響することを証明する。
3) 肥満を伴う2型糖尿病を自然発症するKK-Ayマウスを用いて解析することにより、宿主の病態がmiRNAのプロファイルと機能に及ぼす影響を明らかにする。
4) 培養したEnterococcus属細菌にマウス腸内容物由来miRNAを添加した際の遺伝子発現を網羅的に解析することにより、宿主由来のmiRNAが腸内細菌叢の構成と機能に影響する分子機序を解明する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 腸内細菌叢と腸管免疫系のクロストークを媒介するマイクロRNA2024

    • 著者名/発表者名
      園山 慶
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 62 ページ: 169-174

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Murine fecal microRNAs alter the composition of cultured gut microbiota2023

    • 著者名/発表者名
      Ohsaka Fumina、Yamaguchi Mayuko、Teshigahara Yuka、Yasui Moeka、Kato Eisuke、Sonoyama Kei
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 685 ページ: 149184-149184

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.149184

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of microRNAs in the crosstalk between the gut microbiota and intestinal immune system2023

    • 著者名/発表者名
      SONOYAMA Kei、OHSAKA Fumina
    • 雑誌名

      Bioscience of Microbiota, Food and Health

      巻: 42 号: 4 ページ: 222-228

    • DOI

      10.12938/bmfh.2023-027

    • ISSN
      2186-3342
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] マウス盲腸内容物microRNAは配列依存的に腸内細菌叢の構成を変化させる2023

    • 著者名/発表者名
      山口 万柚子、逢坂 文那、加藤 英介、園山 慶
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 高脂肪食およびフルクトオリゴ糖はマウスの盲腸内容物中microRNAのプロファイルと腸内細菌への影響を変化させる2023

    • 著者名/発表者名
      安井 萌香、逢坂 文那、加藤 英介、園山 慶
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 宿主と腸内細菌叢のクロストークを媒介する宿主由来のmicroRNA2023

    • 著者名/発表者名
      園山 慶
    • 学会等名
      第19回日本食品免疫学会学術大会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 宿主と腸内細菌叢のクロストークを媒介するmicroRNA2023

    • 著者名/発表者名
      園山 慶
    • 学会等名
      第111回日本栄養・食糧学会関東支部シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] マウスにおいてフルクトオリゴ糖の摂取は 盲腸内容物中のmicroRNAが培養腸内細菌叢の構成に及ぼす影響を変化させる2023

    • 著者名/発表者名
      安井 萌香、山口 万柚子、逢坂 文那、加藤 英介、園山 慶
    • 学会等名
      第28回日本食物繊維学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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