研究課題/領域番号 |
23K26850
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補助金の研究課題番号 |
23H02157 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
板倉 正典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70803162)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中断 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ヒストン / マクロファージ / AGEs / タンパク質修飾 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
抗酸化性食品成分は明確な健康機能性を示す一方で、易代謝性の特徴を持つものが多く、既知の作用機序だけでは機能性を十分に説明することはできない。本研究では、抗酸化性食品成分によって修飾を受けたタンパク質がヒストン結合性を示すという研究結果に基づき、1)食品由来ヒストン結合分子によるエピジェネティック制御の検討 2)食品訓化マクロファージによる疾患発症制御の検討 3)食品成分複合摂取モデルの解析を実施し、食品由来ヒストン結合分子によるマクロファージの機能変化に関する研究を展開する。これにより「食による自然免疫記憶」を実証し、食品成分のタンパク質修飾を介した新たな機能性発現機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
抗酸化性食品成分は明確な健康機能性を示す一方で、易代謝性の特徴を持つものが多く、既知の作用機序だけでは機能性を十分に説明することはできない。本研究では、申請者らが近年明らかにした「抗酸化性食品成分によって修飾を受けたタンパク質がヒストン結合性を示す」という研究結果に基づき、食品由来ヒストン結合分子によるエピジェネティック制御を介したマクロファージの機能変化に関する研究を展開する。 初年度は抗酸化性食品成分としてビタミンCを用い、酸化型ビタミンC修飾アルブミン(AGEs)による核内移行を介したマクロファージ表現型解析を行った。J774A.1細胞および骨髄由来マクロファージ(BMDM)においてAGEsが核内移行し、ヒストンに結合することを明らかにした。また阻害剤を用いた検討から、AGEs核内移行はファゴサイトーシスおよびリソソーム分解に依存することが示された。炎症性細胞応答への影響としてBMDMにおいてインフラマソーム活性化を誘導し、サイトカイン分泌量を測定したところ、AGEs核内移行条件下においてIL-1beta分泌量が減少することが明らかとなった。 さらにAGEs核内移行阻害法の開発を目的としてデコイ受容体発現細胞の構築を試みた。AGEs結合配列を含むタンパク質をコードする遺伝子配列をクローニングし、CRISPR/Cas9を用いてJ774A.1細胞のRosa26ゲノム領域にノックインし、モノクローナル細胞を得た。ライブセルイメージングおよび免疫沈降、ウエスタンブロットの結果、デコイ受容体発現細胞においてデコイ受容体とAGEsが細胞質内で共局在し、AGEsの核内移行およびヒストン結合が抑制されることが明らかとなった。 以上の結果より、AGEs核内移行により炎症性サイトカイン分泌が制御されること、また核内移行メカニズムとその制御方法の一端が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していたマクロファージ表現型の解析を実施し、酸化型ビタミンC修飾タンパク質(AGEs)のマクロファージ特異的な細胞内取り込みと核内移行が確認され、AGEs核内移行による炎症性サイトカイン分泌制御の可能性が見出された。さらにAGEs核内移行メカニズムの解析と核内移行制御法の開発については当初の予想以上の知見が得られた。本知見により研究手法の幅が広がり、今後の研究のさらなる進展が予想される。一方で、初年度および翌年度の実施を計画していたエピジェネティック変化の解析において、AGEs核内移行によって影響を受ける遺伝子および転写制御因子の同定には至っていない。そのため全体の進捗状況として「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後引き続き、in vitroにおける抗酸化性食品成分修飾タンパク質によるマクロファージのエピジェネティック変化の詳細な解析を実施し、AGEs核内移行によって影響を受ける遺伝子および転写制御因子の同定を試みる。また次年度からex vivo、in vovo実験による疾患発症への関与について研究を展開する。具体的には食品訓化マクロファージの移植実験および疾患モデル(敗血症、アルツハイマー病、脳卒中モデル)の作製に着手する。また食品成分大規模スクリーニングについても着手し、本研究で明らかにする抗酸化性食品成分の新規活性発現機構の普遍性についての検討を進める。
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