研究課題/領域番号 |
23K26851
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補助金の研究課題番号 |
23H02158 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菅原 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (70378818)
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研究分担者 |
安藤 晃規 京都大学, 農学研究科, 助教 (10537765)
石川 寿樹 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20598247)
真鍋 祐樹 京都大学, 農学研究科, 助教 (20730104)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | スフィンゴ脂質 / 食品機能 / 消化吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
真菌類や高等植物には、ホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質が相当量含まれていることが知られているが、これらについては通常の脂質抽出法では抽出できないため、食品成分としての評価は皆無に等しい。本研究課題は、ホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質にとくに焦点を当て、その食品成分としての意義を解明するために、消化吸収や食品機能性を評価しようとするものであり、独自性と創造性の高い課題といえる。本研究では、そのために、①食品中に含まれる組成と含有量、②消化管吸収機構、③食品機能性をそれぞれ評価し、明らかにすることを目標とする。
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研究実績の概要 |
スフィンゴミエリンやグルコシルセラミドなどのスフィンゴ脂質は、生体膜構成成分であることから、様々な食品素材に普遍的に含まれており、食品機能性成分としても注目されている。一方で、高等植物には、複雑な糖鎖を有するホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質(GIPC)が相当量含まれていることも知られているが、食品成分としての情報はほとんどない。そこで本研究では、スフィンゴ脂質の構成成分であるスフィンゴイド塩基の定量解析法を応用し、食品に含まれるスフィンゴ脂質を包括的に定量解析することを目的とした。 様々な農畜水産物を試料として、スフィンゴ脂質を分解したときに生じるスフィンゴイド塩基を定量することで、スフィンゴ脂質含有量を導いた。凍結乾燥した試料を、そのまま、あるいはFolch法によって上層(中間層を含む)と下層に分画した。これらの画分について、それぞれ酸加水分解を行い、生じたスフィンゴイド塩基を蛍光誘導体化し、蛍光HPLCで定量した。得られたスフィンゴイド塩基の組成と定量値に基づき、推定スフィンゴ脂質含有量を算出した。 農産物の場合、Folch下層のみならず、上層からも相当量のスフィンゴイド塩基が検出され、GIPC由来と推定された。このとき、上層ではトリヒドロキシ型が主要であり、下層ではジヒドロキシ型のスフィンゴイド塩基も多く検出された。一方、畜水産物の場合には、ガングリオシドなどに由来すると考えられるFolch上層に含まれるスフィンゴイド塩基量は、下層に比べて極めて少量であった。これらの値を用いて、1人1日あたりのスフィンゴ脂質摂取量を推定したところ、スフィンゴミエリンやグルコシルセラミドなどの主要な脂溶性スフィンゴ脂質90 mg程度に加えて、GIPCなどの極性の高い水溶性スフィンゴ脂質110 mg程度を摂取していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、食品分野において未開拓であるホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質 に焦点を当て、その食品成分としての意義を解明しようとするものである。当初の目標として、① 食品中に含まれる組成と含有量を調べ、推定の摂取量を把握する。②消化管吸収機構を調べ、 体内利用性を明らかにする。③食品機能性を評価し、新たな高度利用の可能性を探る。を掲げている。今年度は①に関して順調にデータを蓄積しており、②の予備実験にも着手しており、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に食品に含まれるホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質の解析を進め、データを蓄積することに加え、質量分析計を活用した化学構造解析も試みることで、食品中のホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質の把握を目指す。また、菌体に含まれるホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質についても解析を進め、安定同位体ラベル化物の作成を行う。 経口摂取された複合スフィンゴ脂質は、消化管内でスフィンゴイド塩基にまで分解された後に吸収されると考えられてきたが、ホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質の消化特性については全く知見がない。そこで前述の試料を用いて、実験動物(マウスやラット)の臓器や組織を粗酵素源として反応させ、分解生成物を調べることで、ホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質の消化特性を探る。
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