研究課題/領域番号 |
23K26853
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補助金の研究課題番号 |
23H02160 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 大阪青山大学 |
研究代表者 |
水野 雅史 大阪青山大学, 健康科学部, 教授 (00212233)
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研究分担者 |
湊 健一郎 名城大学, 農学部, 教授 (10341728)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 乳酸菌 / 小腸上皮細胞 / 抗炎症 / 制御性T細胞 / 炎症抑制マクロファージ / 皮膚炎発症モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、免疫細胞を可視化できるKikGRマウスを用いて乳酸菌経口投与による回腸と結腸間でTregの移行を明らかにし、クロストークによる炎症抑制機構をあきらかいにする。さらに、Toll like receptor 2のリガンドであるリポタイコ酸に着目し、活性維持に起因するリポタイコ酸を同定する。これらの結果から、IBD抑制効果が期待できる新規乳酸菌探索の足掛かりも創成したい。
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研究実績の概要 |
本申請研究では、小腸上皮細胞を介して小腸粘膜固有層に多く存在する免疫担当細胞をあらかじめ活性化して待機させ、ひとたび炎症が発症した際には炎症部位へ活性化した細胞をリクルートさせることで、瞬時に炎症を軽減させることを可能にしているという新規防御機構の解明を目指している。それらを証明するため、本年度はLP22A-3株の炎症抑制効果として,炎症性腸疾患およびアレルギー性皮膚炎の抑制作用について調べた。炎症性腸疾患モデルとしてDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)投与マウスを,皮膚炎発症モデルとして、DNFB(ジニトロフルオロベンゼン)塗布マウスを用いた。乳酸菌LP22A-3株を両モデルマウスに、腸疾患マウスには2週間、皮膚炎マウスには3週間投与した(1×108個/匹/日)。その結果、皮膚炎に対する抑制効果は認められた。また、小腸-炎症組織間での細胞クロストークに関して、KikGRマウスを用いた実験によって検証した。その結果,乳酸菌の抑制効果が確認できた皮膚炎モデルにおいては、炎症抑制には炎症抑制性マクロファージ(M2)の関与が示唆された。なお、制御性T細胞の関与に関しては、本年度はTh9細胞(CD4陽性IL-9陽性細胞)の動向を調査した。Th9細胞は炎症促進に関与することが示唆されているが、本年度の結果は、乳酸菌LP22A-3株の経口投与により、生体においてTh9細胞への分化が抑制される傾向であることが示された。KikGRマウスを用いた乳酸菌の経口投与による炎症抑制作用における組織間クロストークの検証については、LP22A-3株の経口投与により小腸固有層からのM1マクロファージの移動が抑制されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、腸炎発症に対しては顕著な抑制効果が認められなかったため、次年度は投与期間を再検討して同様の実験をおこなう事が必要である。その一方で予定していなかった皮膚炎発症C57BL/6マウスにおける免疫担当細胞の動向について、自然免疫系としてマクロファージ、獲得免疫系としてTh細胞の分布をFACSにより測定・解析を前倒しして行った結果、皮膚炎に対する乳酸菌LP22A-3株の抑制効果が確認され、Th細胞においては,炎症反応における正の制御性細胞でもあるTh9について,CD4およびIL-9を分化マーカーとして検出・測定した。これらの結果から、腸炎に関しては再検討が必要であるが、その一方で皮膚炎抑制という新たなら知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
腸炎発症に対しては顕著な抑制効果が認められなかったため,次年度は投与期間を再検討して同様の実験をおこなう。今回認められたTh9細胞の作用においては、マスト細胞の活性化や樹状細胞の遊走誘導を促進するという報告がある一方で、免疫制御性細胞の活性化といった,それらとは逆の作用も示唆されている。そのため、LP22A-3株の投与により分化誘導されるTh9細胞の役割について、次年度詳細に検討する必要がある。KikGRマウスを用いた乳酸菌の経口投与による炎症抑制作用における組織間クロストークの検証については、各シグナル伝達因子の測定をおこないより詳細なメカニズムの検討が必要である。
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