研究課題/領域番号 |
23K26858
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補助金の研究課題番号 |
23H02165 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
山地 亮一 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (00244666)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | ビタミンA / レチノイン酸受容体γ / 肥大 / 分化 / 骨格筋 / レチノイン酸受容体 / 増殖 / 筋肥大 / 転写活性 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内でビタミンA (ATRA)に代謝されるβ-カロテンを摂取したマウスでは筋力増加と筋肥大が起こり、その分子機構にRARγが関与する可能性を見出した。また培養筋肉細胞でRARγアゴニストが筋肥大を促進することも見出した。しかし筋肥大とRARγの詳細な関係は不明である。本研究では骨格筋量調節におけるビタミンAの新規機能としてRARγを介した筋肥大促進作用機構を明確にすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
レチノイン酸応答配列(RARE)を有するレポーターアッセイにより生理的な濃度の全トランスレチノイン酸(ATRA)と同等のレチノイン酸受容体(RAR)転写活性を示すRARアイソタイプの選択的アゴニストの濃度を決定し、本実験で使用した。マウス由来筋芽細胞株C2C12細胞の増殖をRARγ選択的アゴニストは抑制し,ATRAとRARα選択的アゴニストは抑制する傾向を示した。筋芽細胞の筋管細胞への分化と融合に関しては、すべてのRARアイソタイプ選択的アゴニストが促進効果を示した。ATRAによる筋分化調節を解析し、RARαとRARγによって発現が制御されるLGR6が筋分化過程において筋融合前に一過的に発現し、筋分化の促進に関与することを明らかにした。筋管細胞のサイズに関しては、ATRAは影響を与えなかったが,RARα選択的アゴニストおよびRARβ選択的アゴニストは減少(筋管細胞萎縮)させ,RARγ選択的アゴニスト(CD1530とBMS961)は増加(筋管細胞肥大)させた。またRARα選択的アンタゴニストはATRA存在下で筋管細胞のサイズを増加させた。RARγのサブタイプ(RARγ1とRARγ2)を筋管細胞で高発現させると筋管細胞サイズが増加した。さらにRNAシークエンス解析から、筋管細胞においてATRAに応答せず、RARγ選択的アゴニストに応答する遺伝子が存在することが判明した。一方、骨格筋特異的にRargがノックアウト(KO)されるマウスを作製するため、骨格筋特異的にCreリコンビナーゼを発現するmCreマウスを作出した。ヘテロでloxP配列を有するRargflox/wtマウスを購入し、mCreマウスと交配させ、骨格筋でRargがKOされることを確認した。現在,骨格筋以外の組織におけるRargのノックアウトの有無を評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分化においてRARγ以外にRARαが関与することを見出した。RNAシークエンス解析から、ATRAに応答する遺伝子候補としてGタンパク質共役受容体の一種であるLeucine-rich repeat-containing G-protein-coupled receptor 6(LGR6)に着目して筋分化における役割を検討した。その結果、LGR6はRARαとRARγによって発現が制御され、筋分化過程において筋融合を調節する因子の発現が増加する前に一過的に発現し、筋分化促進に関与することを国際誌で報告するとともに、日本ビタミン学会誌で紹介した。さらにRNAシークエンス解析からRARγ選択的アゴニストによって特異的に発現の変動する遺伝子が存在することを見いだし、現在筋形成における役割を解析中である。また骨格筋特異的なRarg KOマウスの作出を予定通り進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム編集により各RARアイソタイプをKOした筋芽細胞を作製するとともに、KO細胞の作製が完成するまではsiRNAを使ったノックダウン細胞を使って、筋芽細胞の増殖と筋芽細胞の筋管細胞への分化におけるRARアイソタイプの役割を引き続き検討する。またRARγを高発現させた筋管細胞が肥大したため、RAREに結合できるがRARγの転写活性を発揮できないドミナントネガティブ体を作製し、筋管細胞のサイズに及ぼす影響を評価することで、RARγがゲノミック作用によって筋肥大を誘発するのか検証する。この際にRARαの役割についてもRARα高発現細胞またはRARα KO細胞を使って検証する。さらにRNAシークエンスで見出したRARγ特異的に発現の変動する遺伝子を筋管細胞で発現させ、筋管細胞のサイズを調節するかも検討する。またフラボノイドの一種がRAR転写活性を活性化することを見出したので、その分子機構を解析する。さらに骨格筋特異的RARγ KOマウスを作出し、骨格筋の量的・質的解析を行う。
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