研究課題/領域番号 |
23K26865
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補助金の研究課題番号 |
23H02172 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
亀井 宏泰 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (00610362)
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研究分担者 |
鹿島 誠 東邦大学, 理学部, 講師 (10780562)
小林 功 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (30774757)
伊藤 昭博 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40391859)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 体成長 / 神経堤細胞 / ゼブラフィッシュ / 幹細胞 / 追いつき成長 |
研究開始時の研究の概要 |
動物の成長はその生育環境の悪化で遅滞するが、多くの場合、適切な環境に戻るだけで急速に成長し、速やかに齢相応の体サイズに復帰する。これは「追いつき成長」と呼ばれヒトを含めた多くの動物で保存された現象だが、その詳細な制御機構は未だ不明な点が多い。本研究では、代表者が近年ゼブラフィッシュ胚を用いた研究で追いつき成長に必要であった「多能性細胞」とそこで働く「幹細胞制御因子」に着目し、成長の急加速現象の詳細な分子機構の解明と、その制御が可能な低分子量化合物の同定を目指す。得られる成果は、動物の成長補償の分子メカニズムと多能性維持を司る転写因子の新規生理機能の理解や利用に資すると考えている。
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研究実績の概要 |
本年度は全身でtfcp2l1遺伝子がノックアウトされた実験動物系統の樹立に成功した。また、ゼブラフィッシュtfcp2l1遺伝子の発現変動を解析したところ、この遺伝子のmRNAは母性因子として受精卵に蓄積されていることが示された。その遺伝子発現量は受精直後が最も高く、受精後12hpfまでは1/100以下に減少し、その後漸増した。追いつき成長中のゼブラフィッシュtfcp2l1遺伝子の発現には、哺乳類と同様に転写因子Stat3の関与があることも分かった。加えて、マウスES細胞(mESCs)を用いて、酸素の低下と再供給によりtfcp2l1遺伝子がどの様に発現変動を示すか調べたところ、tfcp2l1の発現は低酸素下では有意に低下していたが、再酸素化後12時間の細胞では、常時常酸素下の細胞と比較して上昇していた。常時常酸素件下のESCsではMapk経路の阻害によりtfcp2l1の発現が有意に上昇したが、低酸素後に酸素を再供給した場合にはMapk経路の阻害を行なっても(阻害なしと比較して)tfcp2l1の発現に増減は認められなかった。ゼブラフィッシュの神経堤細胞では、低酸素後に酸素を再供給した場合にはMapk経路の下流でtfcp2l1の発現の顕著な上昇が起こるため、ゼブラフィッシュ神経堤細胞とmESCの間にはこの遺伝子の発現変化を考える上で重要な差があることも示唆された。さらに、本年度は神経堤細胞がGFPラベルされた系統とtfcp2l1遺伝子のノックアウト系統を掛け合わせ、tfcp2l1遺伝子のノックアウトされた神経堤細胞の取得に有用な実験魚の作出を進めた。また、三種類の合成ペプチドを用いてゼブラフィッシュTfcp2l1に対する特異抗体の作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はFLAGタグ付きTfcp2l1をコードする合成 mRNAを、樹立済みのTg(sox10:GFP)の1-2細胞期の受精卵に導入してFALG-Tfcp2l1が過剰発現したゼブラフィッシュ胚の調製を試みた。現在、咽頭胚期のステージ(受精後24時間)までに死滅・発生不全を起こさずFLAG-Tfcp2l1が最も多く検出される条件を探っている。同時に、神経堤細胞特異的なFLAGタグ付きtfcp2l1遺伝子のノックイン魚系統およびゼブラフィッシュTfcp2l1抗体の作成を開始した。今後、得られる神経堤細胞集団試料から細胞抽出液を調製し、FLAG抗体を用いた免疫沈降に供し、Tfcp2l1のバンドと追いつき成長の実験群で特異的に出現・消失(あるいは通常成長群のそれと比較して2倍以上増加・減少)するTfcp2l1の結合分子のバンドをIP-MS解析で同定する予定である。また、全身でtfcp2l1遺伝子がノックアウトされた実験動物系統の樹立にも成功し、Tg(sox10:GFP) 系統と掛け合わせることで今後の研究に必要な実験動物の準備にも取り掛かることができた。全身でtfcp2l1遺伝子がノックアウトされた実験動物に見られる表現型も複数項目同定でき、現在それに関する論文執筆を進めている。当該遺伝子の上流領域の解析に関しては、5kbpのtfcp2l1プロモーターにLuciferaseを連結したプラスミドの構築を試みたが、特徴的な一部の配列が問題となりPCRによるクローニングを断念し化学合成により目的配列を得る方針に変更した。加えて、東邦大学の鹿島誠博士に新たに研究チームに参加いただき、追いつき成長時及びその後の過程で全身で発現変化する遺伝子の網羅的解析も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、タグ抗体及びTfcp2l1抗体を用いた免疫沈降を行い、追いつき成長時の神経堤細胞におけるTfcp2l1の結合分子を同定する。なお、LC-MS/MS解析では一定のスコア(MSCOT score 250以上)を示す分子を結合分子候補として同定する。スコア上位の10分子程度を対象に、それぞれをHEK293T細胞においてタグ付きTfcp2l1と共に過剰発現させ、タグ抗体(あるいは作成予定のTfcp2l1抗体)を用いた共免疫沈降で相互作用が確認できる分子を選抜する。この際に、常時常酸素環境条件(酸素濃度21%)に限らず、追いつき成長を模倣した培養条件(酸素濃度1%未満の低酸素8時間処理後に酸素を再供給して4時間の追培養を行う)での結合も調べる。また、ESCsの研究で既知のTfcp2l1の相互作用分子(CDK1,bTrCP, Tet2など)に関しても結合の有無を調べる。加えて、抗FLAG抗体を用いたChIP-seq解析およびATAC-seq解析で追いつき成長時のNCCsにおけるTfcp2l1のゲノム局在の解析も行う。さらに、tfcp2l1遺伝子がノックアウトされたTg(sox10:GFP) 系統を用いて、分取したNCCsをRNA-seq解析に供し追いつき成長時にTfcp2l1依存的に2倍以上発現変化する遺伝子群を明らかにする。上流領域の合成が完了し次第、哺乳類細胞のLucアッセイシステムを用いてゼブラフィッシュtfcp2l1遺伝子の上流領域の解析とその制御化合物の探索も行う。
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