研究課題/領域番号 |
23K26871
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補助金の研究課題番号 |
23H02178 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 克典 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (60273926)
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研究分担者 |
川上 慶 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00722836)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | DNA複製 / DNA複製タイミング / 遺伝子発現制御 / 分裂酵母 / ヘテロクロマチン |
研究開始時の研究の概要 |
DNA複製タイミングは酵母からヒト細胞まで保存された現象であるが、その生物学的な意義は長年不明なままである。近年の研究から、胚発生 の過程やがん細胞において、DNA複製タイミングの変化に伴い遺伝子発現の変化が起こることが報告されている。研究代表者は、DNA複製タイミング に乱れを生じた分裂酵母変異体で、複製起点周辺の遺伝子の転写が活性化されることを見いだしている。本研究では、人為的なDNA複製タイミ ング操作とゲノムワイドなRNA発現およびヒストン修飾解析を組み合わせることで、「適切なタイミングでの複製開始」が「複製起点周辺の遺 伝子発現の正確な制御」に重要であることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまでに分裂酵母deletion libraryを用いた網羅的スクリーニングにより、DNA複製、RNA転写、核内構造などの機能を持つ遺伝子がサブテロメアのヘテロクロマチン構造維持に寄与することを明らかにしてきた。DNA複製因子にはRif1およびMrc1といった、DNA複製のタイミングを調節する因子が含まれていた。 今回Mrc1に着目し、Mrc1変異株におけるヘテロクロマチンの遺伝子サイレンシングおよびクロマチンの状態をRT-PCRやクロマチン免疫沈降法を用いて解析した。その結果、Mrc1がサブテロメアヘテロクロマチンにおける遺伝子サイレングに必須の機能を持つこと、ヒストンH3K9のメチル化の維持に重要であることを見出した。H3K9me2とH3K9me3に着目してそれぞれの抗体でChIPを行ったが、結果に差はなく、Mrc1はdiメチル、triメチルに関係なくその維持に貢献することが分かった。 また、Mrc1のドメイン解析を行った結果、C末端側に存在するHBSドメインがヘテロクロマチンの維持に重要な機能を持つことを明らかにした。Mrc1変異株において、ヘテロクロマチンにおけるヒストンH3K9のメチル化が低下し、ヒストンH3K14のアセチル化レベルが上昇することを見出した。ヒストンH3K14の脱アセチル化酵素であるMst2とMrc1の二重変異株を作製して解析した結果、H3K9meレベルが野生株と同程度に回復した。これらのことから、Mrc1がH3K14のアセチル化を抑制することで、ヘテロクロマチンの維持に貢献することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部、当初の計画通りに進んでいない計画もある。ただ、それはヘテロクロマチンの維持におけるMrc1のの役割に関して、新たな進展が得られたためである。よって、研究全体としては概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の点に着目し、研究を行う (1) 脱アセチル化酵素Clr3を含むSHREC複合体とMrc1の関係性を解析する。(1-1)Mrc1変異体におけるSHREC構成サブユニットのヘテロクロマチン局在量を定量する。(1-2)SHREC構成サブユニットとMrc1の遺伝学的相互作用を解析する。二重変異体を作製し、ヘテロクロマチンのサイレンシングの状態を解析する。(1-3) Mrc1とSHRECとの物理的相互作用を解析する。 (2)ヘテロクロマチン制御におけるMrc1のphosphodegron配列の関与を検証する。 Mrc1のHBSドメインは複製のタイミングを制御するドメインであり、ヘテロクロマチンのサイレンシングに関与するが、HBSドメインの中にリン酸化依存的に分解が誘導されるphosphodegron配列が存在する。HBSを欠損させた結果、Mrc1のタンパク質が安定化することが分かっている。そのため、ヘテロクロマチン制御におけるMrc1のHBSドメインに含まれるphosphodegron配列の関与を検証する。
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