研究課題/領域番号 |
23K26883
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補助金の研究課題番号 |
23H02190 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
遠藤 真咲 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (40546371)
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研究分担者 |
横井 彩子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10760019)
雑賀 啓明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (20435613)
土岐 精一 龍谷大学, 農学部, 教授 (80212067)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | ゲノム編集 / 塩基置換 / Deaminase / T7 RNA polymerase |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム編集技術の発展により、高等植物においてもデザイン通りに遺伝子を改変することが可能になりつつある。遺伝子破壊であれば標的遺伝子を切断するだけでよいが、発現量や酵素活性、基質特異性を制御したい場合、標的遺伝子をどのように変えれば目的の性質を付与できるか、その情報を如何にして入手するかが鍵となる。そこで、本研究では、植物の特定の内在遺伝子にランダムな変異を導入する高効率in planta変異創生システムを構築し、標的遺伝子が改変された植物を直接スクリーニングすることで、望ましい形質を付与する変異を迅速に同定するシステムを確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、CRISPR/Cas9システムを基にした方法では達成不可能な、配列依存性のない標的遺伝子特異的な塩基置換導入系の確立を目指す。2023年度は、改変したい遺伝子の近傍またはintronにT7 promoter配列(18塩基)を挿入した植物材料の作出を行うとともに、T7 RNA polymerase-deaminase融合タンパク質発現コンストラクトを作成し、変異導入実験に着手した。具体的な実験は以下の通り。 ① Prime editingによるT7 promoter配列の挿入:変異の効果を簡便に評価可能な遺伝子として、いずれも、アミノ酸置換により除草剤耐性を付与しうる、イネALS遺伝子、チューブリン遺伝子を標的遺伝子として選定し、Prime editingにより、intron中または開始コドンの上流にT7 promoter配列を挿入した。 ② T7 RNA polymerase-deaminase融合タンパク質発現コンストラクトの作成:塩基置換導入コンストラクトとして、トウモロコシユビキチンプロモーターとT7 RNA polymerase、cytidine deaminaseまたはadenosine deaminase遺伝子のどちらか一方、または両方を連結させたベクターを構築した。 ③ T7 RNA polymerase-deaminase融合タンパク質を用いた変異導入と変異検出:①で作成したイネカルスに対して②で作出した変異導入用ベクターを形質転換し、Nanoporeを用いてT7 promoterの下流 3kbの領域における変異を解析した。Deaminase由来である可能性のある変異も検出されたが、それ以外の変異も高頻度で検出され、検出法の検討ならびに、変異導入ベクターの改良が必要なことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの実験は遂行できているため、これまでのところは概ね順調に進展していると言える。しかし、先行論文から期待していたほどの変異率ではなかったため、系の改良が必要なことが判明したため、次年度以降は、deaminaseの種類を変える、T7 promoterのみでなく、T7 terminatorも挿入し、T7 polymeaseの転写を繰り替えし誘導するような改良を加える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Deaminaseに由来する変異はCからTまたはAからGへの置換であるが、2023年度の解析結果では、カルスから抽出したDNAを用いてPCR、Nanoporeによって変異検出を行なった場合、シークエンスエラーや培養変異に由来すると考えられる上記の方向性以外の変異も高頻度で検出された。Deaminase由来の変異頻度が有意に高いと言える結果ではなかったため、変異頻度を向上させる改良と、解析法の変更が必要であると考えられた。 現在の実験系では改変したいイネ遺伝子にT7 promoterのみ挿入しているが、T7 terminatorも加えることにより、T7 RNA polymerase-deaminaseの再利用が促進される可能性があるため、実験材料の改良を行う。また、RNA polymeraseの進行時には部分的にDNA二重螺旋構造が解けると考えられるため、一本鎖DNAを認識するdeaminaseを用いているが、T7 RNA polymeraseのhelicase活性が効果を及ぼす距離が不明であるため、二本鎖DNAを認識する別種demimaseを用いた変異導入コンストラクトも作成する。また、変異検出に関しては、PacBioの利用を検討する。
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