• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

作物群落レベルのソース・シンク能の新規評価系開発を通じたイネの多収要因解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K26887
補助金の研究課題番号 23H02194 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39020:作物生産科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

杉浦 大輔  名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)

研究分担者 岡村 昌樹  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (00757908)
荒井 裕見子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 上級研究員 (50547726)
宮沢 良行  九州大学, キャンパス計画室, 学術推進専門員 (80467943)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
キーワードマイクロコントローラー / 多収イネ / シンクソース / 近赤外分光 / サップフローセンサー / LAI / Arduino / ESP32 / 微気象 / イネ / 群落光合成
研究開始時の研究の概要

イネのさらなる多収化のためには、群落レベルのソース能・シンク能とその気象応答を正確に理解する必要がある。本研究では、マイクロコントローラーベースのIoTデジタルデバイスを駆使し、イネ群落レベルのソース能、シンク能、およびそれらの気象応答を非破壊・連続的に評価可能なローコスト・ハイスループットな新規評価システムを開発する。具体的には、LAIの非破壊連続計測が可能な新型光学センサー、蒸散速度の環境応答が評価可能なサップフローセンサーを開発する。従来および新規イネ多収系統を用いた連絡試験を通じて、これらの計測系の有用性と汎用性を実証し、気候変動下の作物生産の向上に貢献する。

研究実績の概要

イネのさらなる多収化のためには、群落レベルのソース・シンク能とその気象応答を正確に理解する必要がある。これまでの研究から、多収イネ品種北陸193号において、登熟期後期にLAI (葉面積指数) を高く維持することで、物質生産性も高く維持され、このことが高収量に大きく寄与していることが示唆された。一方で既存のLAIの計測システムではハイスループットなLAI計測が困難であった。そこで本年度は、マイクロコントローラー (Arduino、ESP32) 制御型の光学センサーによる計測システムを開発し、Wi-Fi経由で日本多地点のイネ群落LAIの連続・非破壊・リアルタイムモニタリング可能とすることを目的とした。

愛知県長久手市および新潟県上越市の圃場で栽培した北陸193号の群落内に開発した光学センサーを設置し、データをWi-Fi経由でリアルタイムモニタリング可能にした。本システムを小型ソーラーパネルで運用することで、5ヶ月間、5分間隔で計測・データ送信を行うことができた。移植から収穫まで約2週間おきに破壊的にLAIを計測し、LAIの実測値と光学センサーの計測値の関係に十分高い相関関係が得られた。これらの結果から、本システムを、イネ群落のLAIをローコスト・ハイスループットにリアルタイムモニタリング可能なシステムとして確立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究提案において、LAI(葉面積指数)のリアルタイムモニタリングは、作物の生育状況や水消費量を評価する上で極めて重要な要素である。従来、LAIの計測には高価な機器や人手を必要であったが、本研究では、マイクロコントローラーとローコストな分光センサーを組み合わせることで、LAIをリアルタイムかつ高精度にモニタリングできるシステムの開発に成功した。これにより、様々な作物のLAIの経時変化を容易に把握できるようになり、品種間差や施肥条件間差も捉えられることが期待できる。
さらに、本研究ではマイクロコントローラー制御型のサップフローセンサーの開発も完了した。これにより、従来困難であった個葉~個体レベルでの蒸散速度の連続計測が可能となり、特にイネの多収品種における登熟期間中の蒸散速度とその環境応答に関する詳細なデータ取得が可能となった。次年度は、サップフローセンサーを用いて出穂後から収穫までの多収イネの蒸散データの取得に挑戦する。

今後の研究の推進方策

イネ多収品種北陸193号を用いて、残り2年の研究期間中、愛知県長久手市および長野県須坂市において栽培試験を実施する。
具体的には、穂揃期以降に葉面積指数(LAI)に差が生じるような施肥条件を設定し、LAIの低下が収量に与える影響を詳細に調査する。これまでの研究から、高日射かつ気温の低い長野県において、LAIを高く維持することが高収量につながる可能性が示唆されており、この可能性を検証するために、新型光学センサーを用いてLAIを連続的かつ非破壊的に計測する。さらにサップフローセンサーを用いて個体レベルの蒸散量をリアルタイムモニタリングすることで、登熟期後半までイネの葉が光合成活性を維持しているのかを推定する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Exploring the responses of crop photosynthesis to CO2 elevation at the molecular, physiological, and morphological levels toward increasing crop production2024

    • 著者名/発表者名
      Sugiura Daisuke、Wang Yin、Kono Masaru、Mizokami Yusuke
    • 雑誌名

      Crop and Environment

      巻: 3 号: 2 ページ: 75-83

    • DOI

      10.1016/j.crope.2023.11.006

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Sink-source imbalance triggers delayed photosynthetic induction: Transcriptomic and physiological evidence2023

    • 著者名/発表者名
      Ozawa Yui、Tanaka Aiko、Suzuki Takamasa、Sugiura Daisuke
    • 雑誌名

      Physiologia Plantarum

      巻: 175 号: 5

    • DOI

      10.1111/ppl.14000

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 個葉・個体・群落スケールで評価する C3・ C4作物の気孔応答・水利用特性2024

    • 著者名/発表者名
      杉浦大輔
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 登熟期間中の高 LAI と夜間呼吸速度の抑制が多収イネ品種の高収量に貢献する2024

    • 著者名/発表者名
      杉浦大輔, 奥出聡美, 佐藤実栞, 岡本卓哲, 近藤始彦, 荒井 (三王)裕見子, 岡村昌樹
    • 学会等名
      日本作物学会第257回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] NHX1遺伝子が変動光・乾燥条件下のイネの水利用特性に与える影響の解析2024

    • 著者名/発表者名
      片岡優衣, 三屋史朗, 杉浦大輔
    • 学会等名
      日本作物学会第257回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi