研究課題/領域番号 |
23K26913
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補助金の研究課題番号 |
23H02220 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
篠田 徹郎 福島大学, 食農学類, 教授 (10355620)
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研究分担者 |
平 修 福島大学, 食農学類, 教授 (30416672)
吉永 和明 福島大学, 食農学類, 准教授 (40724802)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 幼若ホルモン / JHAMT / 昆虫 / 進化 / 節足動物 |
研究開始時の研究の概要 |
幼若ホルモン(JH)およびメチルファルネソエート(MF)は、長い間昆虫および甲殻類に特有のホルモンと考えられてきた。しかし、近年、JH/MFは想定より遥かに古い起源を持ち、動物界に広く存在するホルモンである可能性が示唆されている。本研究では、動物群横断的に、生体のJH/MF分析、JHAMTホモログの酵素学的機能解析、イメージングMSによるJH/MF合成器官の同定を行い、動物界におけるJH/MFの普遍性と特殊性を明らかにし、昆虫JHの起源に迫ろうとする。
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研究実績の概要 |
幼若ホルモン(JH)およびメチルファルネソエート(MF)は、長年昆虫および甲殻類に特有のホルモンと考えられてきた。しかし、近年、鋏角類や環形動物からもMFが検出されている。また、JH/MF生合成のキー酵素である幼若ホルモン酸メチル基転移酵素(JHAMT)のホモログが棘皮動物や脊索動物等のゲノムからも見つかってきた。このことから、JH/MFは想定より遥かに古い起源を持ち、動物界に広く存在するホルモンである可能性が示唆される。しかし、昆虫・甲殻類以外の動物種においては、生体JH/MFの検出はわずか数例しかなく、JHAMTホモログのJH/MF合成活性や、JH/MF生合成器官については未解明のままである。本研究では、昆虫および主要動物群におけるJHAMT遺伝子の機能解析、JH/MFの分布、およびJH/MF合成器官の同定を試み、動物界におけるJH/MFの普遍性と特殊性を明らかにし、昆虫JHの起源に迫ることを目的としている。 初年度である本年度は、動物群横断的にJHAMTホモログの酵素学的機能解析を行うため、JHAMTホモログの分子系統解析に基づき、主要動物群の代表種からJHAMTホモログを選択し、大腸菌によるタンパク質発現に最適化した人工遺伝子を合成した。また生体中のJH/MF分析のために、標準品となる各種JHおよびJH関連化合物を調製し、JH分析に適したLC/MS/MSのセッティングを進めた。さらにイメージングMSによるJH/MF合成器官の同定に向けて、チャバネアオカメムシを用いたイメージングMSによるJH関連化合物の検出、およびin situ hybridization(ISH)によるJHAMTホモログ発現組織の検出を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画においては、JHAMTホモログの機能解析では、主要動物群の代表的JHAMTホモログ遺伝子の合成、およびそのうち一部のJHAMTホモログについて組換えタンパク質の発現と酵素活性の解析までを目標としていたが、後半部分については未実施となった。生体JH/MFの高度機器分析については、JH/MFの抽出法、およびLC/MS/MSを用いた高感度微量分析系の確立と最適化を目標としていたが、分析条件の検討にとどまった。イメージングMSを用いたJH/MF産生器官の同定に関しては、チャバネアオカメムシの凍結切片を用いたJH類縁化合物の検出、およびwhole mount ISHによるチャバネアオカメムシのJHAMTホモログの発現部位の検出において良好な結果が得られている。以上を総合的に判断し、進捗状況はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
JHAMTホモログの大腸菌による組換えタンパク質の発現および酵素学的解析については、今年度、本予算により専用の組換えタンパク質調製用の振とう恒温機および密閉型超音波破砕機を設置できたことで、多数の遺伝子の同時発現およびタンパク質が可能となっている。また、LC/MS/MSによる生体JH/MFの微量分析に関しては、より新しい簡便なJH/MF抽出・分析手法の情報を得ており、本法を応用することで、分析法の最適化が達成できることが期待される。以上のように、今後は研究を加速化し、初年度の遅れを取り戻すことが可能であると考えている。そのため、現時点で当初の研究計画・目標を変更する必要はない。
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