• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

オスの卵保護と子殺し行動の進化:タガメの繁殖行動の個体群間変異から迫る

研究課題

研究課題/領域番号 23K26917
補助金の研究課題番号 23H02224 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39050:昆虫科学関連
研究機関長崎大学

研究代表者

大庭 伸也  長崎大学, 教育学部, 准教授 (20638481)

研究分担者 鈴木 智也  広島修道大学, 人間環境学部, 助教 (30739503)
高橋 純一  京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (40530027)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
キーワードPaternal care / female choice / 雌による選択 / 卵壊し / 水生昆虫
研究開始時の研究の概要

オスによる子の保護と、配偶相手が抱えている子供を殺す(子殺し)行動は珍しく、これらの進化の過程は未だ解明されていない。本研究では、タガメの繁殖行動に個体群間変異があることに着目し、オスが子育てを行う亜社会性の進化・維持に、メスによる配偶者選択が与える影響(性淘汰仮説)を検証すること、子殺し行動がどのような背景で進化するのかを明らかにすることを目的とする。これらの目的を達成するため、1.子殺し(卵壊し)行動の個体群間比較と系統地理解析、2.性淘汰仮説の検証、3.卵壊し行動決定遺伝子の探索を実施する。これらを通じて、オスの子育て行動と、子殺し行動の進化的背景を明らかにできると期待される。

研究実績の概要

本研究で着目するタガメの卵壊し行動の個体群間での違いを定量的に明らかにするため、メスが卵壊しを頻繁に行う個体群Aと、卵壊しを行いにくいことが示唆されている個体群Bの卵壊し率を室内環境下で調査したところ、前者ではほとんどのメスが、後者では約半数のメスが卵壊しをして、自身の卵塊を産み付けた。個体群Bより、メスの産卵前の卵壊しの有無の行動を区別したうえで、それぞれのメスが産んだ卵の幼虫を飼育し、成虫に育てたので、次年度にその繁殖行動の調査を継続し、母親の形質をどの程度引き継ぐのかを調査する。一方で、個体群Bの卵保護オスはこれまでに知られていなかった行動として、卵保護をしながら求愛を示すことも数例であるが確認できた。そして、単独でも複数卵塊でも卵塊間で孵化率に顕著な差はなかった。その理由として、オスは単独卵塊よりも複数卵塊保護の時に保護にかける時間を増加させることが分かったことから、卵塊数の多さに柔軟に対応して、卵保護行動を変化させていると推測された。
また、国内の各地域(東北、関東、東海、関西、中国、九州地方)のサンプルを収集して遺伝子解析を実施すると、九州南部に隔離された新たな遺伝的集団がいることが分かった。またその集団も大きく2つの集団に分けられる。それ以外の国内他地域の集団もSNP解析ではさらに複数に分けられることも新たに判明した。次年度以降、それぞれの集団単位で繁殖生態を調査する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

繁殖行動が特異的な個体群を中心に室内の行動観察を実施し、当初の予想通り、個体群間の差異が検出された。これらを繁殖させて次年度に向けた系統の作出も進めている。
集団遺伝解析を実施すると、国内に複数系統存在することが分かった。今後、それらの系統と繁殖行動の違いの解明が待たれる。

今後の研究の推進方策

引き続き繁殖行動の定量的な観察を実施する。とくに、1年目に繁殖行動を観察し、成虫まで育てた2世代目の行動に着目する。次に国内で分けられる複数の集団の単位が明らかとなったので、それらの行動観察を実施し、集団の違いとの関係を解明する。加えて、繁殖行動が特異な集団について、野外での繁殖行動を定期的に調べることで、複数卵塊保護の有利・不利などを詳細に調査する予定である。最期に、サンプルの収集を引き続き行うとともに、ミトコンドリアDNAを用いた系統解析も実施する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Examples of oviposition and egg hatching in the absence of males in Kirkaldyia deyrolli (Heteroptera: Belostomatidae)2024

    • 著者名/発表者名
      Ohba S, Hara Y
    • 雑誌名

      Rostria

      巻: (69)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 熊本県南部におけるタガメ保全と新規集団発見2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木智也・大庭伸也 ・一柳英隆
    • 雑誌名

      昆虫と自然

      巻: 59 ページ: 12-17

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Discovery of a new population of the endangered giant water bug Kirkaldyia deyrolli (Heteroptera: Belostomatidae) in Kyushu and evaluation of their genetic structure2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki T, Ichiyanagi H, Ohba S
    • 雑誌名

      Entomological Science

      巻: 26 号: 4

    • DOI

      10.1111/ens.12564

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] タガメの繁殖行動に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      原優梨亜・大庭伸也
    • 学会等名
      長崎県生物学会第52回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] タガメの繁殖行動再訪:“卵壊し”は常に起こるのか?2023

    • 著者名/発表者名
      大庭伸也・北野壮真・原優梨亜・一柳英隆
    • 学会等名
      日本昆虫学会第83回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi