研究課題/領域番号 |
23K26937
|
補助金の研究課題番号 |
23H02244 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
小区分39060:生物資源保全学関連
合同審査対象区分:小区分39060:生物資源保全学関連、小区分39070:ランドスケープ科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺田 徹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00619934)
|
研究分担者 |
横田 樹広 東京都市大学, 環境学部, 教授 (00416827)
田中 俊徳 九州大学, アジア・オセアニア研究教育機構, 准教授 (30612452)
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (90700930)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 都市 / 樹木 / 樹林地 / 生態系サービス / 公共政策 / 都市林 / 屋敷林 / 街路樹 / 都市計画 / 緑地計画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本において知見が不足する「アーバンフォレストリー」に関して、公有地における評価研究(街路樹、公園内樹木など)が先行していることを鑑み、民有樹林地・樹林(屋敷林、寺社林、旧薪炭林、庭木、民間施設内樹木など)も踏まえたアーバンフォレストの総合評価を東京都23区で行い、さらにその維持保全に関わる課題と保全策を検討する。そして、得られた知見を統合し、自治体による計画としてアーバンフォレストリーの展開を行う際の学術的基礎を構築する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は以下のように研究を実施した。 1)東京23区を対象に2013年から2022年の9年分の樹冠変化をリモートセンシングにより解明し、土地利用ごとに集計した上で、その変化の要因について多角的に考察を行った。またその成果を国際誌に投稿した。 2)都市農家による都市樹林の落ち葉を使った堆肥の自家生産について、東京都練馬区で行ったアンケートとインタビューの結果を国際誌へ投稿した。堆肥生産は減少傾向にあるものの、現在でも約1/3の農家が現在でも堆肥生産を行なっていること、また落ち葉の供給源は、農家が所有する屋敷林等にとどまらず、公園や神社等を含む多岐にわたる都市林であることが明らかとなった。 3)屋敷林や雑木林など、都市に残存する高い生態系サービスを有する私有林の保全手法に関する政策レビュー及び現地調査を行った。特に、2023年に制度化された自然共生サイトの適用可能性に関して調査を行った。 4)流域レベルの地表流出と人工排水の分配に関する解析(白子川流域)、庭の貯留浸透機能維持のため管理・活用に関する調査(東京都)、再開発民間緑地の機能性(23区)・名木のある環境の機能性(世田谷区)に関する意識調査を実施し、相互の関係性を検討しながら分析を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京23区の樹冠変化に関する研究について、4月に必要な解析ソフトを購入し速やかにデータ分析を進めることができたため、成果を国内学会で発表した上で、国際誌にも投稿することができた。また屋敷林の落ち葉堆肥利用に関するアンケート調査についても、分析を効率よく実施し、国際誌に投稿することができた。 私有林の保全に関わる政策については、都市計画を所管する国土交通省(公園緑地・景観課)にインタビュー調査を実施し、昨今の都市林保全に関わる政策課題を明らかにするとともに、現地調査を通じて現場の課題も理解することができた。 2023年度は現地2回、オンライン2回の全員参加型の研究会を行い、円滑に情報共有や議論を進めることができた。また、これとは別に投稿論文作成や査読対応のためのミーティングも随時行っており、これらの密な議論が研究成果につながったと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度と同様に定期的な研究会を開催し、主に以下の研究課題に取り組む。 1)豊島区の街路樹および西東京市の屋敷林を対象に温熱環境の緩和効果を測定する。また、練馬区および旧保谷市の範囲で空中写真を用いて屋敷林の変遷を明らかにする。 2)都市農家による落ち葉堆肥生産による環境負荷低減効果を定量的に算出するとともに、減少傾向にある堆肥生産を拡大させ、循環都市(サーキュラー・シティ)政策を進める方策について検討する。 3)アーバンフォレストの保全に資する既存の政策について文献調査と専門家ヒアリングから課題を整理し、主たる分析対象の選択を行う。現時点で、自然共生サイト、森林環境税、特別緑地保全地区制度のいずれかを想定している。 4)流出過程における流出源と緑地のギャップの構造を明らかにすることで、庭・民有緑地の立地的な機能性を評価する。あわせて、代表的な緑地タイプに応じた機能性維持・向上のための社会的意識の分析を行う。個々の成果を創出しつつ、相互の関連付けを検討していく。
|