研究課題/領域番号 |
23K26943
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補助金の研究課題番号 |
23H02250 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
今泉 文寿 静岡大学, 農学部, 教授 (80378918)
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研究分担者 |
西井 稜子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00596116)
高山 翔揮 静岡大学, 農学部, 助教 (10908619)
早川 裕弌 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
中谷 加奈 京都大学, 防災研究所, 教授 (80613801)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 土石流 / 地形計測 / シミュレーション / 現地観測 / UAV / LiDAR / 土石流シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
土石流は大きな破壊力と広大な影響範囲を有する土砂移動現象であり,毎年,国内外において,甚大な人的・物的被害を発生させている。土石流渓流内の地形は,崩壊地からの土砂生産や不安定土砂の流失により秒~数100年の幅広い時間スケールで変化する。しかしながら既存の地形計測手法や土石流シミュレータが有する課題により,このような地形変化を反映した土石流のシミュレーションは実現していない。本研究では「複数の地形計測技術の融合によるリアルタイム地形計測」と「急勾配河道を流下する土石流を予測可能なシミュレータ」の開発を行うことで土石流シミュレーションが有する課題を解決し,土石流の予測精度の向上を行う。
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研究実績の概要 |
大谷崩(静岡県), 七面山(山梨県),Taschgufer(スイス)の3つの観測サイトにおいて,地形計測と土石流観測を実施した。岩盤の土砂生産プロセスや不安定土砂の貯留状況を観測・調査により調べるとともに,異なる手法(UAV-SfM,UAV-LiDAR,地上型自動観測LiDAR)による地形計測実施し,各地形手法の特徴を検討した。その結果,大谷崩ではUAV-SfM(ドローンによる多地点写真測量)により,土石流発生前後の地形変化を,土石流発生地点から停止地点まで把握することができた。また七面山ではUAV-SfMにより,岩盤からの土砂生産の様子を広域的にとらえることができた。TaschguferではUAV-SfMにより,土石流の材料となる土砂の生産状況と土石流の発生との関係性についての基礎データを蓄積・解析した。大谷崩でUAV-LiDAR(ドローン搭載型レーザースキャナによる測量)を実施したところ,森林内の土石流の流下状況を把握できる可能性があることがわかった。さらに地上型自動観測LiDARによる土石流観測を大谷崩において行い,構造物が入っていない自然渓流を流下する土石流の3次元点群データの取得や,土石流による土砂の堆積の動的な把握に,世界ではじめて成功した。 これらの研究と並行して,不飽和土石流や不飽和堆積物上を流下する土石流に関する物理モデルの検討や室内実験,既往の土石流シミュレータの課題と今後の拡張についての検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り,AV-SfM,UAV-LiDAR,地上型自動観測LiDARという3つの観測手法により土石流渓流の地形計測を行うことができた。地上型自動観測LiDARによる土石流の3次元点群データの取得や,土石流による土砂の堆積の動的な把握といった,世界的にみても貴重な成果を残すことができた。また不飽和土石流に関する研究を大きく進めることができ,論文や学会発表により公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
静岡県大谷崩は,アクセスがよく,また土石流の発生頻度が高いため,様々な地形計測手法を実践するうえで最適なサイトであることが明らかとなった。そこで,大谷崩において土石流の集中的な観測を実施する。山梨県七面山は,土石流の材料を生産する岩盤の侵食状況を把握する上で最適なサイトであるため,今後は土砂生産プロセスの解明に力点を置いた研究をすすめる。 室内実験や物理モデルの検討により,土石流が流下する河床の体積含水率が,土石流の挙動に大きな影響を与えることが示唆された。そのため引き続き実験や物理モデルの検討をすすめるとともに,現地の河床の体積含水率の観測を新たに開始する。
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