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樹木進化と師部輸送

研究課題

研究課題/領域番号 23K26946
補助金の研究課題番号 23H02253 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分40010:森林科学関連
研究機関京都大学

研究代表者

檀浦 正子  京都大学, 農学研究科, 准教授 (90444570)

研究分担者 小口 理一  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10632250)
隅田 明洋  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50293551)
EPRON Daniel  京都大学, 農学研究科, 教授 (60844305)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
キーワード師部輸送 / 13Cパルスラベリング / 進化 / 師板
研究開始時の研究の概要

きわめて巨大な構造をもつ樹木は、森林の中で光と水を獲得し種間の競争に生き残るうえで効率的な構造や仕組みを持つ必要がある。本研究では、師部輸送に着目し、葉から師部への糖の積み込み様式の違いを考慮して対象樹種を選定し、13Cパルスラベリングにより幹における師部輸送速度を実測し、顕微鏡観察により師部構造を観察する。そして、おそらく進化とともに発達してきた師部輸送の効率性を考察し、各樹種が自然環境下の様々な環境に適応する上で、光合成産物の輸送様式がどのような役割を果たしているのかを探る。

研究実績の概要

R5年度は、植物園における多彩な樹種を利用して、樹種ごとの師部構造の違いを明らかにするための観察を行った。基本的な師部構造として単師板をもつもの、複合師板をもつものを区別し、進化系統樹の観点から比較した。師管の両端には師板と呼ばれる端壁があり,この形状が師部輸送の抵抗に大きく影響すると考えられる。師板はふるいのような形状をしており,師液を通す部分は師域と呼ばれる。師板の形状は大きく分けて2種類あり,ひとつの師板あたり師域がひとつのものが単師板,複数あるものが複合師板である。これらの師板の種類は樹種によって異なるので,複数樹種について師板を観察し,師板の種類と系統進化に関連があるかを調べた。対象とした10種の中で最も進化的に新しいハナミズキと,比較的祖先的なクスノキ科に所属するカナクギノキの両方で単師板が見られたことから,師板の種類は一方向に進化したのではないと考えられた。さらにクスノキ科から8種,ブナ科から12種を選択した(はじめの10種と重複しているものを含む)。さらに,クスノキ科の4種,ブナ科の5種について,Liesche et al., (2016)から情報を引用した。ブナ科では,科内で最も祖先的なブナ属のみが単師板を持ち,それ以外の種は複合師板を持っていた。よって,科内の最初の節で師板の種類が分化したと推測される。一方で,師域の数は系統進化と関連が見られなかったので,師板の形状が連続的に変化しているわけではないと考えられた。クスノキ科では,タブノキMachilus thunbergii以外はすべて単師板を持っていた。またタブノキは個体によって異なる師板が見られた。これは,師板の種類はひとつの種の中で複数存在し得ることを示している。また来年度のラベリングに必要な同位体測定装置の修理が完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

R5年度は同位体測定装置の修理に加え、師部の観察を行う予定であったが、加えて糖の抽出にも着手することができた。師部の観察については、単師板・複合師板の違いだけでなく、複合師板の中の師域の数についても考察することができ、これらについても系統進化と関連が見られなかったので,師板の形状が連続的に変化しているわけではないと考えられた。師域の数について各種の最大値を抽出すると,常緑樹の方が落葉樹に比べて大きい傾向が見られた。進化と適応について植物形質に関する新しい視点が開けたという点でも、当初の期待以上の成果が得られたと考える。

今後の研究の推進方策

R6年度は葉・樹皮の糖の抽出についての作業工程を確定し、樹種ごとにローディング形式を明らかにする。師板の形質についても対象種や個体を増やしていく予定である。また秋に13Cパルスラベリングを実施し、実際に師部輸送速度を計測する予定である。ラベリング後に幹からの13CO2濃度を測定する幹チャンバーの作成および、安定同位体測定装置を屋外に設置するための準備を完了する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 進化の観点における師板の観察2023

    • 著者名/発表者名
      森田瑞穂・小口理一・檀浦正子
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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