研究課題/領域番号 |
23K26960
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補助金の研究課題番号 |
23H02267 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
藤井 一至 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60594265)
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研究分担者 |
早川 智恵 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10725526)
堀江 真行 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20725981)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | ウイルス / 土壌微生物 / 森林土壌 / 土壌有機物 / 炭素貯留 / 土壌炭素 / 土壌溶液 |
研究開始時の研究の概要 |
森林生態系において土壌微生物は有機物の分解者としてだけでなく、死菌体および溶菌成分(溶存有機物)の供給を通して土壌有機物の蓄積(炭素貯留)に大きく関わるが、微生物の生死を司るウイルスの実態はほとんど分かっていない。3年間にわたって微生物動態を観測した苗場山ブナ林では、微生物バイオマス・組成と溶存有機物濃度に劇的な季節変動が起こることを確認している。そこで、土壌、土壌水の成分、微生物・ウイルス組成の変動の同調性を解析することでウイルスの影響を検証し、炭素貯留を高める微生物・ウイルス・物理化学条件を解明する。
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研究実績の概要 |
森林生態系において土壌微生物は有機物の分解者としてだけでなく、ウイルスによる死菌体および溶菌成分(溶存有機物)の供給を通しても土壌有機物の安定化に寄与している。この新規炭素貯留プロセスの定量的な重要性およびプロセスを駆動する微生物・ウイルス・物理化学条件を解明するため、初年度は新潟県苗場山ブナ林試験地、栃木県日光ミズナラ林試験地において土壌溶液、土壌を定期的に採取する観測体制を確立した。さらに、土壌、土壌水中のDNAウイルス・細菌DNAの抽出・解析手法を確立した。一方で、クロロホルム抽出によって土壌中の微生物炭素量、窒素量の季節変動データを解析し、死菌体経由の潜在的な窒素生産量はブナ林のリター及び果実生産に必要となる窒素量を上回るほど大きいことを定量的に解明した。炭素量についてもリターフォール炭素量と同程度の炭素が死菌体経由で土壌に供給されることを解明した。研究成果の一部は、学術論文2本、招待講演4件、TBSラジオ『こねくと』(2023年6月29日)、BS日テレ『深層News』(2023年10月3日)、『もしもで考える…なるほど!なっとく塾』(BSフジ、2023年9月9日)、『ヒューマニエンス』(BSNHK、2023年12月26日)、NHK就活応援ニュースゼミ「土を究める」(2023年8月2日)で発信した。また、日刊スポーツ(2023年9月9日)に寄稿した記事「地球沸騰化時代 融解がすすむ永久凍土、太古の未知の病原体が現れる可能性は?」においても研究成果を一般向けに発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、新潟県苗場山ブナ林試験地、栃木県日光ミズナラ林試験地において土壌溶液、土壌を定期的に採取する観測体制を確立するとともに、土壌、土壌水中のDNAウイルス・細菌DNAの抽出・解析手法を確立した。この結果、土壌溶液を介して土壌微生物が移動することを解明した新規性の高い研究成果を得られた。また、計画にはなかったが、一般向けに研究成果を発信できたことから計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
土壌および土壌溶液中の主要なDNAウイルスおよび細菌の変動パターンについて連動性を解析するとともに、RNAウイルスの抽出方法・解析手法を確立し、RNAウイルスと菌類の変動パターンについて解析する。さらに比較対象として森林に近接する耕地・水田についても同様のデータを獲得し、森林土壌の炭素貯留メカニズムの特徴を抽出する。
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