研究課題/領域番号 |
23K26961
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補助金の研究課題番号 |
23H02268 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
平尾 知士 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (90457763)
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研究分担者 |
松永 孝治 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40415039)
平川 英樹 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 主任研究員 (80372746)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | クロマツ / マツ材線虫病 / 抵抗性 / 抵抗性遺伝領域 / 遺伝メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに申請者はクロマツの抵抗性品種から抵抗性遺伝領域が第3染色体上にあることを明らかにしてきた。本研究では、マツ材線虫病に関する抵抗性遺伝領域について、そのゲノム配列を決定し、遺伝子を含む機能的領域の特定と遺伝的変異の検出、さらに遺伝様式を検証することで、マツ材線虫病抵抗性に関する遺伝機構の全容を明らかにする。本研究は、マツ材線虫病抵抗性メカニズムの解明を大きく前進させる起点となり、本研究で得られた知見をもとに寄生側の病原線虫とともに生体分子の認識機構や抵抗性反応誘導機構の解明に向けた研究に進展し、ゲノム情報を活用した戦略的な抵抗性育種の展開にも繋がる。
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研究実績の概要 |
マツ材線虫病に関する抵抗性遺伝領域における遺伝機構の全容を解明するため、抵抗性品種「波方ク-73号」の全ゲノムシーケンスおよび自殖家系のゲノムワイドなジェノタイピングを行い、抵抗性遺伝領域のゲノム構造の解明を行うためのゲノム情報と遺伝的多型情報を収集した。研究計画当初、抵抗性遺伝領域を対象とした部分ゲノムシーケンス技術の適用を計画していたが、本件受託サービスの提供が終了したため、抵抗性品種の全ゲノムシーケンスに方針を切り替えて研究を遂行した。 今年度、これまで抵抗性遺伝領域を特定するために研究対象としてきたクロマツ抵抗性品種「波方ク-73号」(以下、波方73号とする)についてPacBio社のRevioシステムを用いて10セル分の全ゲノムシーケンスを行った。また現有のPacBio社のSequel IIeシステムで取得した1セル分のシーケンスと合わせて一次解析を行った。二つのシーケンスシステムを用いて取得したシーケンス数は4千万リードを超え、総取得塩基数は約7,842億塩基対(784Gb)となった。取得したシーケンス情報から推定されるゲノムサイズは約233億塩基対(23Gb)であり、取得した塩基数はゲノムの約34倍のカバレッジをもつ情報を取得した。 さらに波方73号の自殖家系135個体を対象としてゲノムワイドなジェノタイピング手法の一つであるGRAS-Di解析を用いて各個体平均0.6Gbのシーケンスを実施し、連鎖解析によって抵抗性遺伝領域を詳細に絞り込むための遺伝的多型情報を収集した。 以上の包括的な抵抗性クロマツのゲノム情報およびゲノム上の遺伝的多型情報を収集することで、今後、抵抗性遺伝領域のゲノム構造の解明に向けてアプローチすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の予定として、先行研究の遺伝解析から特定を進めてきた抵抗性遺伝領域について抵抗性品種と感受性個体を対象にした部分ゲノムシーケンスを行う予定であった。しかし、受託サービスの提供が終了したため、抵抗性品種を対象とした全ゲノムシーケンスに方針を切り替えて研究を遂行した。ゲノムシーケンスについては、新たなロングリードシーケンスシステムの提供が開始されたこともあり、当該領域を含む全ゲノム情報を網羅的に収集することができた。さらに抵抗性遺伝領域の遺伝的メカニズムの解明に向けて、抵抗性品種の自殖家系を対象にゲノムワイドなジェノタイピング手法を適用し、大規模な遺伝的多型を収集することができた。これにより来年度以降の研究となるクロマツ抵抗性品種の全ゲノム情報の整列化および抵抗性遺伝領域の絞り込みに向けて順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず取得した抵抗性品種の全ゲノムシーケンスの情報と自殖家系の連鎖地図情報、さらに近縁種アブラマツ(Pinus tabulaeformis)の染色体規模のゲノム配列情報をもとに、クロマツ抵抗性品種における染色体規模配列の構築を目指し、クロマツのリファレンスゲノムを構築する。さらに抵抗性品種の自殖家系の連鎖地図および表現形質情報をもとにQTL解析を行うことで抵抗性遺伝領域の絞り込みを行うとともに、現有の抵抗性品種および感受性集団において収集したGRAS-Diシステムによるシーケンス情報(遺伝的多型情報)をもとに当該領域における遺伝的多型の検出を検出し、抵抗性遺伝領域におけるゲノム構造とその遺伝的変異を明らかにする。
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