研究課題/領域番号 |
23K26962
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補助金の研究課題番号 |
23H02269 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
小長谷 賢一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (30582762)
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研究分担者 |
七里 吉彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (80461292)
楠本 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (80540608)
平尾 知士 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (90457763)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | ヒノキ / スミチオン / 薬害 / ゲノム編集 / エチレン |
研究開始時の研究の概要 |
針葉樹の病害虫防除に使用されている有機リン系殺虫剤により、ヒノキが異常落葉する現象が問題となっている。この落葉現象は顕性の遺伝子に支配されている可能性が示唆されている。本研究では、順遺伝学および逆遺伝学的なアプローチにより異常落葉の原因遺伝子を同定するとともに、さらに、網羅的な遺伝子発現解析やホルモンの代謝分析により、異常落葉のメカニズムを解明する。これにより薬害のないヒノキ育種の加速化や薬害防除への応用に寄与できる。
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研究実績の概要 |
針葉樹の病害虫防除に使用されている有機リン系殺虫剤により、ヒノキが異常落葉する現象が知られており、ヒノキの栽培管理や植栽を行う上で問題となっている。これまでの研究から、この異常落葉現象は殺虫成分であるMEPにより、エチレンが過剰放出されることが要因となっていること、特定の遺伝子を持つ系統にのみ発症することが示唆されているが、詳細なメカニズムについては不明点が多い。本研究では、順遺伝学的な方法とゲノム編集技術による逆遺伝学的なアプローチを活用して、異常落葉の原因遺伝子を同定する。さらに、MEPが原因遺伝子を介してどのような反応経路を経由し、エチレン誘導に伴って落葉に至るのか、そのメカニズムを解明する。これにより薬害のないヒノキ育種の加速化や薬害防除への応用に寄与できる。 MEP感受性の原因遺伝子を推定するため、感受性系統のゲノム解読と、感受性系統の自殖家系を用いた連鎖解析を開始した。本データにより候補遺伝子が絞り込まれる予定である。 植物におけるゲノム編集は、遺伝子組換えを伴うため、効率的な遺伝子組換え系が確立されている必要がある。そこでヒノキにおける遺伝子組換え系について種々の培養条件の改良を行った結果、培養細胞の凍結保存法を確立し、また、遺伝子組換え体が1gの細胞あたり約20~180系統と高い効率で得られる手法の開発に成功した。今後、本技術を活用してヒノキのゲノム編集を構築することが可能となる。 異常落葉時の遺伝子発現やホルモン生成の生理学的解析を行うため、MEP処理したヒノキ切り枝から経時的にサンプリングを行い、RNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析を開始した。また、切り枝におけるエチレン分析法を開発し、感受性はMEP処理後にエチレンが放出されることを確認した。今後、本解析結果や分析方法を用いることでMEPが作用するシグナル伝達経路の解明に活用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和5年度までは以下の研究を計画している。 ・順遺伝学的な解析として、ヒノキのMEP感受性系統の自殖家系を用いた連鎖解析により原因遺伝子の位置の特定と、候補遺伝子の絞り込みを進める。 ・逆遺伝学的な解析手法としてヒノキの遺伝子組換え系を確立するため、MEP感受性系統の未成熟種子から培養細胞を取得する。また、可視化マーカーとして緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を挿入したベクター(運搬用DNA)やスギで確立されているゲノム編集ベクターを利用し、培養細胞への遺伝子導入を行うことで、導入効率を評価する。 ・MEP処理したヒノキ切り枝から経時的にサンプリングを行い、RNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析やホルモン分析を進める。 以上の計画に対して、計画通り研究を進めており、さらに、逆遺伝学的な解析手法の開発については、効率的な遺伝子組換え系の開発に成功し、細胞の凍結保存法についても確立しているため、計画以上の進展と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
順遺伝学的な解析として、ヒノキのMEP感受性の原因遺伝子の候補を絞り込む。逆遺伝学的な解析として、前年度の遺伝子組換え系をゲノム編集に活用し、まず、モデルケースとして葉緑素合成に関与する遺伝子を標的としたゲノム編集を行う。ゲノム編集によって得られる白化という可視化マーカーを指標にヒノキにおけるゲノム編集効率を評価する。また、候補遺伝子のゲノム編集を開始する。さらに、MEP処理後のヒノキにおけるRNA-seq解析やホルモン分析を進める。これらの情報を統合して、MEPが作用する異常落葉のシグナル伝達経路を解明する。
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