研究課題/領域番号 |
23K26980
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補助金の研究課題番号 |
23H02287 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 北里大学 (2024) 東京大学 (2023) |
研究代表者 |
吉武 和敏 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (50646552)
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研究分担者 |
星野 浩一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 室長 (10649809)
後藤 亮 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (10769897)
宮 正樹 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (30250137)
北島 聡 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (50568045)
田所 和明 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主幹研究員 (70399575)
長井 敏 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主幹研究員 (80371962)
渡辺 剛 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(釧路), 主任研究員 (80895920)
黒川 忠英 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(釧路), 研究員(再雇用) (50372032)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 環境DNA / HaCeD-Seq / D-loop / MiFish / MitoSearch / Mitosearch |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、まず第一に魚類の網羅的なeDNAデータベースであるMitoSearchを用い、在不在データに基づき、いつ、どこに、どのような魚がいるのかを把握し、魚類の時空間的な動態 (産卵生態や回遊生態) を解明する (第一の目的)。第二に、HaCeD-Seqを種横断的な手法に発展させ、二つの技術を融合することで日本沿岸性魚類の生態および資源量を把握する基盤技術の確立を目指す (第二の目的)。
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研究実績の概要 |
- 魚類D-loopを汎用的に増幅することが可能なユニバーサルプライマーを設計し、水槽内15種類中5種類を検出した。検出された魚類は採水場所に近い表層に遊泳している種類であった。 - 実際の海のサンプルからD-loopを増やそうとしても非特異的なバクテリア由来のスメアに埋もれるが、ビオチン化したプローブでD-loopを濃縮することでD-loopのバンドが濃縮されることを確認。 - 紋別のオホーツクタワー付近で採水された10年分約600サンプルを、MiFishプライマーでPCRしてNGSでシーケンスを行った。シーケンス結果として、北海道に生息すると思われる魚を多数検出することができたが、牛、ヒト、豚といった魚ではない生物も検出されてしまっており、それらの生物が混入したステップを検証する必要がある。 - Mitosearchデータベースで、従来は1万件程度までしか素早く表示できていなかったが、データが100万件あっても実用的な速度で表示できるように、データ構造の最適化やアルゴリズムを改良した。 - D-loopのリファレンス配列の拡充としては、千葉県立中央博物館が所有している77個体の低カバレッジのショットガンシーケンスを行うことで、ミトコンドリア全長を決定することができた。 - モデル海域におけるHaCeD-Seq法の検証としては、釧路市沿岸の海水をろ過したeDNAを用いて、本研究に適したeDNA採取用のフィルターの検証を行った。また、実際の海水からD-loopが検出可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で1年目はeDNAビッグデータの収集、網羅的に魚種ごとの個体数を推定可能な手法の開発、D-loopのリファレンス配列の拡充、モデル海域におけるHaCeD-Seq法の検証を実施することが計画されていた。 eDNAビッグデータの収集については、公共データベースに登録されたMiFishデータの登録が加速したこともあり、1万件以上のデータを入手することができた。また、過去にメタゲノム解析用に紋別市のオホーツクタワー付近で採取された10年間で約600個のeDNAサンプルを提供して頂き、MiFishによる魚類組成の判定を行った。 網羅的に魚種ごとの個体数を推定するための手法開発として、魚類D-loopを汎用的に増幅することが可能なユニバーサルプライマーを設計し、水槽内15種類中5種類を検出した。検出された魚類は採水場所に近い表層に遊泳している種類であり、表層を遊泳している魚種についてはほぼすべてを検出できた。 D-loopのリファレンス配列の拡充としては、千葉県立中央博物館が所有している77個体の低カバレッジのショットガンシーケンスを行うことで、ミトコンドリア全長を決定することができた。 モデル海域におけるHaCeD-Seq法の検証としては、釧路市沿岸の海水をろ過したeDNAを用いて、本研究に適したeDNA採取用のフィルターの検証を行った。また、実際の海水からD-loopが検出可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は当初の研究計画通り、引き続きeDNAビッグデータの収集、D-loopのリファレンス配列の拡充、モデル海域におけるHaCeD-Seq法の検証を行いつつ、魚類生態の解明と海域全体の個体数を推定する数理モデルの構築に着手する。 昨年度千葉県房総半島沿岸、岩手県大槌湾、北海道紋別市沿岸の時系列データを入手することができたため、今年度はeDNAデータから魚類生態の新しい知見を解明できるのではないかと期待している。
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