研究課題/領域番号 |
23K26985
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補助金の研究課題番号 |
23H02292 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
若林 香織 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20725147)
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研究分担者 |
野方 靖行 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 上席研究員 (10371535)
神尾 道也 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30578852)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 摂餌生態 / 養殖 / 化学応答 / バイオアッセイ |
研究開始時の研究の概要 |
匂いや味を感じる化学感覚は、動物が異物を餌と認識し栄養を摂取するための行動を誘起するのに重要な生命システムの一つである。この性質を利用して、甲殻類成体を含む多くの動物で摂餌行動を化学的に誘起する配合飼料が開発されている。一方、甲殻類幼生では、嗜好する匂いや味が十分に調べられていない。本研究では、甲殻類幼生が天然で専食する餌に彼らが嗜好する匂いや味がある、という仮説を立て、天然餌料に含まれる化合物を網羅的に解析し、それらの摂餌促進効果をバイオアッセイにより評価する。さらに、解明される摂餌促進物質を飼料に添加し、幼生の摂餌率を向上する高嗜好性飼料を開発する。
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研究実績の概要 |
匂いや味を感じる化学感覚は、動物が異物を餌と認識し栄養を摂取するための行動を誘起するのに重要な生命システムの一つである。この性質を利用して、甲殻類成体を含む多くの動物で摂餌行動を化学的に誘起する配合飼料が開発されている。一方、甲殻類幼生では、嗜好する匂いや味が十分に調べられていない。本研究では、甲殻類幼生が天然で専食する餌に彼らが嗜好する匂いや味がある、という仮説を立て、天然餌料に含まれる化合物を網羅的に解析し、それらの摂餌促進効果をバイオアッセイにより評価する。さらに、解明される摂餌促進物質を飼料に添加し、幼生の摂餌率を向上する高嗜好性飼料を開発する。
今年度は、ウチワエビ類の幼生が好んで食べるクラゲ類、クシクラゲ類、サルパ類などのゼラチン質動物プランクトンを採集し、体の各部位に含まれる揮発性化合物をNMRを用いて網羅的に調べた。幼生の嗜好性がとくに強いミズクラゲとアカクラゲに着目し、高濃度に含まれるアミノ酸やその他の化合物を同定した。一方、オオバウチワエビの幼生を用いたバイオアッセイ系を確立するために、これまでに構築した幼生の飼育維持方法を見直し、均質な幼生を同時的に大量に飼育できるように整備した。新たに設置した飼育設備で本研究でのバイオアッセイ試験の実施に十分な数の後期幼生を維持できることを確認した。また、各種化合物を幼生に曝露し、その反応を観察・記録するための実験系を構築した。これまでに実績のあるグリシン水溶液を用いた実験の再現性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象とするウチワエビ類の幼生が好んで食べるミズクラゲとアカクラゲについて、体の部位ごとに含まれる揮発性化合物を調べた。また、ウチワエビの幼生を対象とするバイオアッセイ系を概ね整えることができた。次年度のはこれらを基盤にバイオアッセイ試験を実施できるので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に採集した未解析のゼラチン質動物プランクトンについても、各種に含まれる揮発性化合物を調べる。一方で、ウチワエビ幼生がゼラチン質動物プランクトンを含む様々な餌生物に対して示す嗜好性の強さの定量を試みる。具体的には、(1)近接時(接触前)の捕捉行動の有無、(2)接触による捕捉行動の誘起の有無、(3)捕捉から摂餌開始までの時間、(4)放棄の有無、などを指標にする。各種ゼラチン質動物プランクトンに含まれる揮発性化合物の組成とウチワエビ幼生が示す行動的指標に相関があるかどうかを明らかにする。
ゼラチン質動物プランクトンが比較的高濃度に含有する揮発性化合物を複数同定できたため、これら化合物についてウチワエビ幼生に対する曝露試験を実施する。化合物は人工海水中に溶解して複数の濃度を準備し、Kamio et al.(2015)の方法に従って曝露する。また、ウチワエビ幼生はある種のクラゲに対して、体の部位によって嗜好性が異なることが観察されている。このようなクラゲについても体の部位ごとに揮発性化合物の組成を調べ、あまり嗜好しない部位が含む化合物についても同様の曝露試験を実施する。
配合飼料の開発に向け、バインダーとなる素材を再検討するとともに、本研究において給餌試験に使いやすい物性となるようバインダーの濃度を検討する。さらに、化合物の組成分析とバイオアッセイによって得られる摂餌刺激物質の候補となる化合物を混合し、ウチワエビ幼生に対して摂餌試験を実施する。
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