研究課題/領域番号 |
23K26986
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補助金の研究課題番号 |
23H02293 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
後藤 理恵 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (70399997)
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研究分担者 |
中村 依子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60435667)
松原 孝博 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (60443389)
斎藤 大樹 愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (90396309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2027年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 生殖系列キメラ / 魚類 / 借腹生産 / 生殖腺形成過程 / 組織学的解析 / スマ / 生殖腺分化 / 免疫染色 / 生殖細胞 / マダイ |
研究開始時の研究の概要 |
“借腹生産”はドナー生殖腺から生殖細胞を取り出し、宿主の腹腔に移植することで、ドナー由来の配偶子を復活させる技術である。借腹を利用すると、あらゆる形質を対象とした育種が魚類で可能になる革新的技術である。しかし、利用できる生殖細胞には限りがあり、産業化に向けては効率的な借腹魚作出技術が不可欠である。借腹による生産を最大化するための近道は、借腹魚がどのようにできるのかを学術的に理解することである。その第1段階として、本研究では、生殖細胞を移植する仔魚期から稚魚期の生殖腺形成を組織学的・分子生物学的に詳細に観察・記述し、外来生殖細胞が宿主生殖腺に侵入し、生着する過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
“借腹生産”はドナー生殖腺から生殖細胞を取り出し、宿主の腹腔に移植することで、ドナー由来の配偶子を復活させる技術である。本研究では、借腹による生産を最大化するための近道として、借腹魚がどのようにできるのかを学術的に理解することを目的とした。初年度である2023年度は、スマおよびマダイの生殖腺の分化過程を詳細に把握するための定期サンプリングおよび分子ツールの探索を行った。スマについては、生殖腺隆起が形成される日齢15日から卵巣腔が形成される日齢50日までの生殖腺を固定し、順次、組織学的な解析を行なっている。マダイについても同様に、日齢10日から35日のサンプルを得て、順次解析を行なっている。分子ツールには、キメラ生殖腺でのドナー生殖細胞の検出に必要となるマーカー遺伝子として、vasa遺伝子、sox2遺伝子およびPIWIL1遺伝子を選定し、スマの生殖腺を用いてこれら抗体による免疫組織学的解析が可能かを検討した。vasaの抗体を用いて初期、20日齢、70日齢および90日齢の生殖腺の免疫染色を行なったところ、初期と90日齢では生殖細胞を検出することができた。一方、sox2の抗体では20日齢、70日齢および90日齢の生殖腺で調べたところ、90日齢で生殖細胞を検出することができた。しかし、生殖細胞が減数分裂期に入っていると考えられる時期の生殖腺ではvasaやsox2の抗体では明瞭な結果が得られなかった。そこで、生殖細胞の減数分裂期直前から発現することが報告されているPIWIL1遺伝子に対するゼブラフィッシュの抗体を用いて成魚の卵巣および精巣を用いて免疫染色を試みたが特異的な反応は得られなかった。キメラ生殖腺における生殖細胞の動態を把握するためには、10日齢から30日齢の間の生殖細胞を可視化する必要があることから、他の分子ツールについても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
愛媛大学南予水産研究センターで養殖していたスマ親魚および親魚候補が2023年の冬季に低水温が原因で死亡したため、2023年夏の実験に用いる試験魚を十分得ることが出来なかった。そのため、トランスクリプトーム解析用のサンプルやキメラ魚の作出ができなかったため、研究の進捗はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの魚類の借腹生産の研究は、移植後のドナー生殖細胞の動態など細胞レベルに焦点を合わせた研究は少ない。借腹生産において“宿主生殖腺にドナー生殖細胞を如何に生着させるか”が、その後のドナー由来配偶子の生産効率に最も重要であるにも関わらず見逃されてきた理由は、生殖系列キメラの作出効率が低く、詳細な解析が困難であったためである。当研究グループでは様々な魚種を用いて借腹生産研究を行ってきている。本研究では、スマ、マダイ、ゼブラフィッシュおよびメダカを用い、実験内容や観察方法に合わせて魚種を選択しながら研究を進めることで、現象を捉えやすくなると考えている。そのため、当初の研究計画通りに推進することとする。
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